掲載日
2025年12月16日
米国では、中国製の繊維・衣料品の輸入が27%急減。
ドナルド・トランプ氏の新関税は米国の繊維・衣料品輸入を抑え込むには至らず、今年第1~3四半期の合計は805億ドルと横ばいにとどまった。主要サプライヤーである中国は同期間に27%減少したものの、発注企業は注文先を他のアジア諸国へ大きく移したに過ぎない。
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こうした数字の公表は、厳しい予算交渉のさなかに生じた米政府機関の一部閉鎖(シャットダウン)の影響で12月まで遅れた。一方で、4月にホワイトハウスがあらゆる方面で仕掛けた関税をめぐる攻防の影響は予想されていたところであり、その影響はいま、数字に表れている。
ドナルド・トランプ氏が貿易上の対抗相手として名指しした中国は、9カ月間で米国市場に「わずか」143億ドル相当の繊維・衣料品を輸出するにとどまった。1~9月期で27%の減少となったが、それでも中国が米国の最大の供給国である地位は揺らいでいない。
むしろ、この中国の落ち込みは、直接の競合国への米国の発注が加速している裏返しでもある。東南アジアからの繊維・衣料品の輸入は15.9%増の243億ドルに拡大した。
米国の調達の再編
ドナルド・トランプ氏は海外生産品の流入抑制を狙ったが、結果的に産地の比重をわずかに移す効果しか生まなかった。新関税の負担を相殺するため、米国の発注企業は、課税が比較的軽く、なにより生産コストの低い国々へ発注先を切り替えたのである。
たとえば、米国の繊維・衣料品における第2位の供給国であるベトナムは14.6%増。供給国ランキングでは、ベトナムに続くインドが10%増、なかでもバングラデシュは18.2%増と大きく伸びた。カンボジア(+25.8%)、インドネシア(+12.9%)、パキスタン(+9.3%)もいずれも大幅増となっている。
政治的緊張が高まったUSMCA(米国・メキシコ・カナダ)圏からの輸入は、総額38億ドル(うちメキシコ産が30億ドル)と、ほぼ横ばい(0.9%減)だった。
欧州は持ちこたえる
米国の繊維・衣料品における第7位の供給地域である欧州連合(EU)は、1.9%増の40億4,000万ドルと小幅な伸びを記録。2024年に見られた2.6%減からの持ち直しが確認できる。
イタリアは19億ドルで9カ月間横ばい、ポルトガルも4億6,900万ドルで横ばい。ドイツは9.3%増の3億7,300万ドル、フランスは2.2%増の3億3,000万ドルだった。
ユーロメッド圏では、米国税関の統計によると、トルコは6.6%減の17億ドル。エジプトは16.4%増の11億ドル、モロッコは16%減の1億7,700万ドル、チュニジアは8.2%増の8,100万ドルとなった。
1月から始まっていた傾向
この減速は、2024年の数字と比べるといっそう明確だ。当時、中国は米国に260億ドル相当を輸出しており、伸び率は3.5%で、同分野における米国の輸入全体の伸び(+2.6%)を上回っていた。
ドナルド・トランプ氏の当選後、新たな関税の発表を告げる4月2日の「リベレーション・デー」を前に、米国の発注者は動揺した。第1四半期には、彼らは突如として繊維・衣料品の輸入を2024年1~3月期比で9.4%押し上げた。
この増加分のうち中国が享受したのは3.6%にとどまり、ワシントンの標的となっていない他の国々が大きく恩恵を受けた。ベトナム(+14%)、インド(+20%)、バングラデシュ(+25%)、インドネシア(+20%)、カンボジア(+15.8%)、パキスタン(+10.5%)。
