リーブス英財務相は年金生活者や家主、自営業者らの税負担を増やすことで、被雇用者の懐を痛めずに税収を60億ポンド(約1兆2000億円)増やすことができるだろうと、有力シンクタンクが論じた。

  英レゾリューション財団は11月26日の予算発表を前に公表した分析で、国民保険料(NI)率を2ポイント引き下げ、所得税の基本税率を2ポイント引き上げることを提案した。これにより被雇用者は守られつつ、所得税のみを支払う層の負担が増え、両者の税負担は均等に近づくという。

  もっとも、この提案を採用すれば政治的には大きな波紋を呼びそうだ。労働党は昨年の総選挙で、個人に対する税負担を増やさないと公約して勝利し、政権の座に就いた。所得税の基本税率が引き上げられれば、50年ぶりとなる。一方、被雇用者の税負担は変わらないため、労働党は「勤労者」を守るとの公約に違反はしていないと主張できる余地はある。

  レゾリューション財団の提案について、ペニークック住宅担当相はタイムズ・ラジオで、「勤労者の手取りにかかる所得税、国民保険料、付加価値税(VAT)の税率を引き上げない」という政府の公約をあらためて強調した。

  この提案が特に注目されるのは、同財団の元幹部が現在、財務省の要職を占めているためだ。元最高責任者のトルステン・ベル氏は、スターマー首相の経済顧問であるミヌーシュ・シャフィク氏とともに首相官邸の予算委員会の共同議長を務め、予算編成を主導する立場にある。ベル氏自身、年金担当相と財務政務官を務め、同財団出身のダン・トムリンソン氏も財務省の財務担当政務官に就いている。

  相次ぐ政策撤回と借り入れコストの急騰、予算責任局(OBR)による生産性見通しの引き下げを受け、リーブス財務相には巨額の財政不足を埋めるための選択肢が尽きつつある。ブルームバーグ・エコノミクスは、リーブス氏が3月に見込んでいたわずか99億ポンドの財政余力を回復するには、最大350億ポンドの増税が必要になると試算している。

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原題:Reeves’ Path to £6 Billion Tax Hike Floated by UK Think Tank (1)(抜粋)

— 取材協力 Andrew Atkinson

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