台湾政府、TSMC 半導体 2nmプロセスを東京エレクトロンへ漏洩させた3名を起訴

台湾・高等検察署知的財産検察分署は2025年8月27日、TSMC(台積電)の2nm製造プロセスに関する機密を不正取得・域外使用しようとしたとして、元社員の陳力銘氏と在職エンジニア吳秉駿氏、戈一平氏を起訴しました。検察は国家安全法(国家核心関鍵技術)および営業秘密法違反を適用し、最長14年の実刑を求刑しています。TSMCは7月8日に不審を検知し告訴、7月末に当局が拘提・収押、8月27日に偵査終結・起訴に至った流れです。

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事件の概要

2025年8月27日、台湾の検察当局はTSMCの2nm製造プロセスに関する機密資料が不正に取得・持ち出されたとして、元社員の陳力銘氏と在職エンジニアの吳秉駿氏、戈一平氏の3名を起訴しました。捜査によれば、陳氏は退職後に装置サプライヤーの東京エレクトロン(東京威力科創)に転じ、旧知の在職者らに働きかけて技術資料を撮影・複製させ、エッチング装置の性能改善やTSMCの2nm量産ライン採用を狙ったとされています。

TSMCは7月8日に社内監視で異常を検知して告訴し、当局は7月25~28日にかけて捜索と拘提を実施、今回の起訴に至りました。検察は国家安全法(国家核心関鍵技術の域外使用)および営業秘密法違反を適用し、陳氏に最長14年、吳氏に9年、戈氏に7年の実刑を求刑しています。東京威力科創は当該社員を解雇し、当局に協力していると報じられています

現地報道では、東京エレクトロンとTSMCが9月に協議する可能性も報道されています。

起訴内容と求刑の内訳

陳力銘氏:国家安全法(域外使用)ほかで計14年求刑。

吳秉駿氏:同9年求刑。

戈一平氏:同7年求刑。

なぜ2nmは重要なのか

2nmは資本・人材・装置の総力戦で、わずかな条件・レシピ情報でも歩留まり向上や開発短縮に寄与し得ます。

先端ノードは分業・モジュール化が進むため単一断片で完全再現は困難とされますが、良率調整のパラメータや工程統合の“勘所”は競争力に直結します。よって、漏えいの実効性評価と対外説明は投資家・顧客・規制当局の三正面で重要です。

サプライチェーンとガバナンス:装置ベンダ側の要諦

今回のケースは、装置ベンダに転籍した個人と現職側の“横断的結託”が疑われる点が特徴です。装置ベンダには以下の対応が求められます。

機密区分の整合:ファウンドリ提供情報とベンダ自社情報の分類・隔離(閲覧権限と二要素の紐付けを個人単位に)。

移籍者のクーリング:機微領域(プロセス統合、レシピ最適化)は一定期間の業務制限と監査ログ強化を雇用契約に明記。

持出し経路の遮断:社内/顧客先での撮影・画面転送・個人クラウドを技術・物理の二重で抑止。

共同開発PJの監査:誰が・いつ・どの図面/写真にアクセスしたかを追える不可改ざんログを共同管理。

 

一部参照

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投稿者:三村

セキュリティ対策Labのダークウェブの調査から執筆まで対応しています。
セキュリティ製品を販売する上場企業でSOC(セキュリティオペレーションセンター)や脆弱性の営業8年、その後一念発起しシステムエンジニアに転職。MDMや人事系のSaaS開発を行う。

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