ウズベキスタン・サマルカンド(2026年5月5日)— ドイツ政府は、アジア開発銀行(ADB)の「ネイチャー・ソリューションズ・ファイナンス・ハブ」(Nature Solutions Finance Hub)に資金パートナーとして参画し、550万ユーロ(650万ドル)の無償資金(グラント)による協調支援を提供した。本拠出は、アジア・太平洋地域における生物多様性および生態系の保護、管理、復元に向けた取り組みの規模拡大を後押しするものである。
神田眞人ADB総裁は、「自然は、アジア・太平洋地域におけるインクルーシブな成長、強靱性、そして長期的な発展の中核である」とした上で、「ドイツのコミットメントは、協調的な行動と革新的なファイナンス手法を通じてネイチャー分野への投資拡大に取り組む、拡大しつつあるパートナー連合を強化するものである。私たちは共に野心から実行へと歩みを進めている」と述べた。
ドイツによる資金支援は、ドイツ連邦経済協力・開発省(BMZ)を通じて行われ、ドイツ国際協力公社(GIZ)が実施機関を務める。今次発表は、ADBとGIZがパートナーシップの正式化に向けた実施合意書に署名したタイミングで行われた。
ドイツのADB総務でもあるBMZのヨハン・ザートホフ政務次官は、「ドイツは、ネイチャー・ソリューションズ・ファイナンス・ハブの誇りあるパートナーである」とした上で、「本パートナーシップを通じて、ドイツが有する技術面・資金面での経験と、ADBの地域における影響力や専門性を結集し、アジア・太平洋地域における生物多様性や気候変動に関する課題に対応する、自然を基盤とした解決策(nature-based solutions: NbS)を実施していく」と述べた。
2023年に設立されたネイチャー・ソリューションズ・ファイナンス・ハブは、2030年までに少なくとも50億ドル規模のネイチャーポジティブな投資を促進することを目指している。本ハブは、ネイチャーファイナンスの拡大における2つの主要な障壁、すなわち、投融資可能なプロジェクトが不足していることと、民間資本を大規模に呼び込むための金融手段が限定的であることに対応する。
ドイツに加え、フランス開発庁(AFD)、欧州連合(EU)、石油輸出国機構(OPEC)国際開発基金、地球環境ファシリティ(GEF)、そして英国および緑の気候基金(GCF)の支援を受ける、東南アジア諸国連合(ASEAN)カタリティック・グリーン・ファイナンス・ファシリティ(ACGF)の各基金が、技術パートナーとともに本ハブのパートナーとして参画している。
本ハブは、NbSに重点を置き、ADBのパイプライン案件約20件を支援している。これには、フィリピンにおける洪水に対する強靭性の強化、タイにおける沿岸生態系管理、バングラデシュにおける流域再生、そしてウズベキスタンにおける集水域の再生などが含まれる。
ADBの報告書『アジア・太平洋気候報告書:開発に向けた自然の可能性の解放』(Asia‑Pacific Climate Report: Unlocking Nature for Development)で指摘されているとおり、アジア・太平洋地域の国内総生産(GDP)の約75%は、農業、林業、漁業、観光業など、自然への依存度が中程度から高い分野に由来している。他方で、世界全体におけるネイチャーファイナンスの不足額は、年間9,000億ドル超にものぼる。本ハブは、この資金ギャップの縮小と、同地域におけるネイチャー分野への投資拡大を目的とした、新たなパートナーシップ・モデルを体現するものである。
ADBは、アジア・太平洋地域の持続可能でインクルーシブかつ強靭な成長の促進に向けて取り組む主要な国際開発金融機関である。ADBは、加盟国・地域やパートナーと緊密に連携し、複雑な課題に対応するために革新的な金融手段を駆使し、戦略的パートナーシップを通じて地域の人々の生活向上や質の高いインフラ整備を進めるとともに、地球環境の保護にも貢献している。ADBは1966年に創立され、50の域内加盟国・地域を含め69の加盟国・地域によって構成されている。
