うめきた・中之島を舞台に繰り広げられる国際交流
暑い中も賑わう大阪・関西万博もいよいよ後半戦。10月のフィナーレに向け、さらなる盛り上がりを見せる大阪の街では、夢洲の会場だけでなく市内各所でも国際文化交流イベントが催されています。
そのひとつが、8月20日までうめきた・中之島で開催されている大型文化イベント「We TAIWAN 台湾文化 in 大阪・関西万博」。台湾ならではの独自カルチャーを、アートやパフォーマンス、テクノロジーなどさまざまな角度から楽しめます。
日本でいう文化庁にあたる台湾文化部が主催するこの企画では、台湾と日本から計38組のアーティスト、総勢545人以上が参加。最新テクノロジーを取り入れた展示やステージパフォーマンス、視覚芸術など多彩なプログラムから、台湾の風土やそこに暮らす人々の柔軟な精神を感じることができます。
台湾文化部の部長(=大臣)李遠(り えん)さんは、こう語ります。
「台湾は異なる地質プレートや海流、季節風が交差する島です。その環境のなかで、地震や台風、豪雨など自然の試練に幾度となく向き合ってきました。こうした経験によって培った『レジリエンス(困難をしなやかに乗り越える力)』は、私たち台湾人の本能とも言えるものです。台湾が多様性と豊かさに満ちた国であり、若い世代が文化的な魅力を誇りに、堂々と世界の舞台を歩んでいることを、このイベントを通して感じていただきたいです」
<写真>先日、大阪市中央公会堂 東広場で披露された公演『拚場藝術撞擊「狩 siù」拚場(台湾語の発音:びゃん・でぃゆー) feat. 電氣神將』。民間信仰のモチーフと現代パフォーマンスによって、台湾の民主化の歩みを描いている。
最新テクノロジーと芸術が描き出す、台湾文化のいま
イベントの会場の一つは、2024年秋にオープンし、建築家の安藤忠雄さんが手掛けたことでも話題となったグラングリーン大阪内のクリエイティブスペース「VS.(ヴイエス)」。映像・工芸・光を用いて、台湾の自然環境や独自のカルチャーを紹介する展示「台湾スペクトル」が始まっています(展示は8月20日まで)。
展示は、「台湾本色」「光織(こうし)自然」「島嶼声譜(とうしょせいふ)」3つの空間で構成。各空間のさまざまな芸術が多様に進化する台湾の文化を浮かび上がらせています。
台湾の画家の色彩の記憶を辿る没入型シアター「台湾本色」では、国立台湾美術館が収蔵する著名な作品を題材として、高さ15メートルの巨大な壁一面に映像を投影。陳澄波、楊三郎など台湾を代表する画家の作品が生き生きと動く映像は、街並みや山海の風景といったその絵画の世界に吸い込まれるかのようです。最新の映像技術と芸術を通して、台湾における時代の変遷を追います。
台湾の染織文化にフォーカスした展示「光織(こうし)自然」では、長年、台湾植物を研究している芸術家・陳景林さんが植物から作り出した「台湾のクラシックカラー(伝統色)」や藍染作品、テキスタイルクリエイター楊偉林さんのアート作品を紹介。今回は100色のクラシックカラーのなかから選ばれた71種類の植物染めの布を通して、台湾に原生する植物や天然染料の研究成果を学ぶことができます。
「台湾のクラシックカラーには、暮らしや風景にちなんだ名前 ――たとえば『かぼちゃ』『スイカ』『桃の花』などとつけました。古代の名前ではなく、生活に根ざした色名にすることで誰もが覚えやすく、世界の人々にも親しんでもらいたいと思っています」と陳景林さん。
今回初公開された藍染の巨大な風景画《母なる台湾の河》は、陳景林さんが取り組んでいる染色をアートに落とし込む試みの一つ。台湾最長の川「濁水渓(だくすいけい)」をモチーフに、約3カ月半、合計1000時間以上をかけて制作されました。美しい藍染によって、台湾の風光明媚な名所と工芸の美しさを伝えています。
<写真>「光織(こうし)自然」に展示されている藍染織物の風景画《母なる台湾の河》。数枚の織物を組み合わせ、幅9.2m、高さ2.94mという巨大な絵を完成させた。
最後の展示空間「島嶼声譜」では、「櫻花鉤吻鮭(タイワンマス/日本でヤマメのこと)」など台湾固有種の生物にインスピレーションを得た神獣のアートと台湾の日常の音が融合。雨の音や、街の喧騒、鳥の声など、耳から台湾を感じる展示です。神獣のパーツには、きらびやかな台湾のお寺の飾りが使用され、伝統を活かしつつ、最新技術との共演によって新たなクリエーションが生まれています。
また、別会場の大阪市中央公会堂では、VRを使って鑑賞する作品上映プログラム「未来への遺産」や野外で組み立てる大型人形劇『アイラ:中之島の出会い』が、こども本の森 中之島では台湾の絵本企画が行われるなど、「VS.(グラングリーン大阪内)」以外でも多数のプログラムが用意されています。
