山形実業人野球 早朝はつらつ60年(5・完) 大会がもたらしたもの

前夜祭で60回連続出場の表彰を受けた(左から)山形スラッガーズ、きらやか銀行、レッズ、山形市消防本部の関係者=4月21日、山形市・山形グランドホテル

(山形新聞)

 山形実業人野球大会(主催・山形新聞、山形放送、山形市、市教育委員会、山形地区野球連盟)は、野球を通して地域住民や企業内の親睦を深めようと始まった。第1回大会から出場を続けるレッズ、山形市消防本部野球部、きらやか銀行、山形スラッガーズの4チームの監督に、大会が地域や職場にもたらしたものを聞いた。

 レッズは同市金井地区の住民が中心となって発足した。監督を務める武田裕一郎さん(40)は祖父、父に続いて親子3代にわたり同チームを率いている。武田さんは幼い頃、祖父に抱きかかえられて見た試合の光景を覚えている。

 スタンドに詰めかけた多くの地区住民がレッズに声援を送っていた。早々と敗退した年には「今年の夏は長い」と残念がる人も。また別の日には、近所の住民が昼間から集まって野球について熱く語り合い、「明日は勝つべね」と言って帰っていく。「モーニング野球」は地域の共通の話題で、住民にとって大きな楽しみの一つだ。

 武田さんは「それだけレッズが金井地区の代表として認知され、注目されていたんだと改めて思う」と述懐する。祖父の幸雄さんは2022年に他界した。試合の応援に来てくれていた祖父を思い、武田さんは「墓前に優勝を報告したい」と決意を語った。

 山形市消防本部の監督を務める谷藤裕紀さん(41)は「職場の交流という点でこの大会が果たす役割は大きい」と話す。主力選手を試合に集めるためには職場の協力が欠かせず、1カ月前から勤務日を調整するなど入念な準備を重ねて試合の日を迎える。「市民の命や財産を守る仕事。仲間と気負いなく野球に打ち込み、職場での連携強化に役立てている」と強調する。

 谷藤さんと同様に「チーム内だけでなく、実業人野球は職場の活性化にもつながっている」と語るのは、きらやか銀行監督の大向誠さん(53)。かつて都市対抗野球大会にも出場した硬式野球部や、羽黒高を率いた経験豊富な新監督は「野球は人と人がつながるツール」とした上で「出場を60年も継続できたことはすごいこと。大会が60回も続いていることをありがたく思う」と感謝した。

 山形スラッガーズ監督の渋谷勝弥さん(84)は、実業人野球を「他チームとの交流を深める貴重な機会だ」と語る。そして「野球愛好家にとっては大きな目標になる大会。ずっと継続してほしい」と願いを込めた。大会は14日に開幕する。

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