【振り返り】
本プログラム「Selecting
Italy」は、イタリアの文化と技術を紹介し、日伊間の経済交流を促進することを目的として開催されました。日本とイタリアの関係を深めるタイムリーで先進的なプラットフォームを提供するとともに、同様の社会・経済的変化に直面する他国・地域にとっても示唆に富む内容となりました。
両国には多くの共通点があります。まず、文化的景観が非常に豊かで社会基盤に深く根ざしている一方、地域ごとに大きく異なる点が挙げられます。また、長い歴史を有し、職人技やイノベーション、品質へのこだわりへの情熱を共有しています。イタリアは、日本との結びつきを一層深め、国際投資の誘致を進め、すでにイタリアに進出している630社を超える日本企業に加えようとしています。
代表的な企業としては以下があります。
塩野義製薬 –
感染症分野に特化した世界でも数少ない企業の一つで、新型コロナウイルス対応の研究開発にも貢献。
フロイント産業株式会社 –
医薬品プラントの製造を手掛け、世界中の顧客に供給。
日立精密工業(NIDEC) –
自動車分野の世界的リーダーで、電動モーターの生産に注力。イタリア国内では15拠点で約2,000名の従業員を擁する。
特に フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州 と カラブリア州
は、日本企業の投資に適した地域です。戦略的に重要な港(トリエステ港・ジョイア・タウロ港)、税制優遇措置、地域の大学(カラブリア大学等)が育む研究・イノベーションの豊かなエコシステムといった利点があります。
日本とイタリアに共通する、ものづくりや技術・美意識の融合といった文化・産業的特性は、他国にとっても伝統と革新の両立という課題を考える上で有益な視座となりました。全体を通じて、人間中心で価値主導の国際協力の在り方が提示され、多文化共生や包摂性を重視するグローバルな連携モデルへの貢献が期待されます。
【会期後の取り組み】
本プログラムで取り上げられた、地域の多様性を尊重した包摂的イノベーションの視点や、制度と文化を横断する協働の在り方は、会期後も様々な分野で注目を集めています。とりわけ、日本とイタリアの地方自治体・大学・NPO等の間では、政策形成や人材育成に関する継続的な交流が生まれつつあります。
具体的には、イタリア側では、日本の地域づくりにおける官民連携や社会包摂の実践を参考に、若者・女性のエンパワーメントや伝統文化を活用した地域振興策の企画が始動。一方、日本側では、イタリアのPNRR(国家復興・レジリエンス計画)など、分野横断型の制度構築のあり方に関心が高まり、地方行政関係者や研究者を対象とした対話型セミナーが準備されています。
さらに今後は、両国の実務者間でのスタディーツアーやオンラインフォーラムの実施も検討されており、農村振興、文化産業、起業支援など、共通課題を軸とした協働の深化が期待されます。これらの動きは、第三国・他地域を巻き込んだ多国間連携の出発点ともなり得るものです。
「Selecting
Italy」は、制度・文化・人材を横断する対話を促進する場として、万博の理念を継承しながら、地域発の国際連携の新たな可能性を切り拓いていきます。
