インドのムンバイで30年以上、人身売買の被害に遭った少女らを救う活動を続けているNGOの代表、トリベニ・アチャルヤさん(59)が6月に来日して葛飾区で講演を行う。アチャルヤさんは「時間をかけて被害者の自信を回復させることが重要だ」と語る。(野口恵里花)
■宿に立ち入り
アチャルヤさんが代表を務めるのはNGO「レスキュー・ファンデーション」。夫と活動を始めたのは1993年で、友人に頼まれ、売春宿から1人の少女を救ったのがきっかけだった。
新聞記者だったアチャルヤさんは取材で人身売買のひどさを知っていた。少女らは「工場で良い仕事がある」などと仲介人にだまされ、売春宿では監視と暴力におびえながら日に何十人も客を取らされる。多くが田舎の出身で、中には10歳未満の子供もいる。
現在は100人以上のスタッフを抱え、内偵調査や情報提供を基に警察とともに売春宿に立ち入り調査をし、少女らを救出している。
2005年にはアチャルヤさんの夫が交通事故で亡くなった。直後に「活動をやめなければ殺す」との脅迫電話が入り、殺されたのではないかとの疑念が浮かんだ。しかし、活動をやめることはなかった。「少女たちを見殺しにはできない」と、記者を辞め、NGOの活動に専念した。
助けた少女らは7000人以上。しかし、救出されても、エイズウイルス(HIV)に感染するなどして、自暴自棄になり、売春に戻ってしまう少女もいる。安定した生活を送れるように、NGOは国内4か所でシェルターなども運営している。
■日本からも支援
施設の一つは日本のNPO「ラリグラス・ジャパン」(東京)の支援でできた。代表でノンフィクションライターの長谷川まり子さん(58)は06年に取材でアチャルヤさんと知り合い、翌年から支援を続ける。アチャルヤさんについて、「宿への立ち入りでも先頭を行き、腹が据わっている」と話す。
日本でも、ホストクラブで借金を負った女性が売春を強制されるなど、人身売買は遠い世界の問題ではない。アチャルヤさんは「被害者は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などに悩むことがある。時間をかけてケアし、自信を取り戻すことが重要だ」と訴える。
講演は6月2日に葛飾区の共栄学園中学高等学校で行われ、救出された2人も登壇する。アチャルヤさんは「日本からは金銭的な支援のほかボランティアにも来てもらい、感謝している。講演で、皆さんの支援の成果を知ってほしい」と語る。
一般1000円、大学生以下700円。ラリグラス・ジャパンは渡航費などをクラウドファンディングで募っている。詳細はメール(info@laligurans.org)へ。
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