現代演劇に変革をもたらした劇作家・演出家・役者の唐十郎さんの死去から一夜明けた5日、親族や演劇人、ファンからは悼む声が上がった。

アングラ演劇の寵児、唐十郎さん死去…社会の矛盾や弱者の悲哀を浮かび上がらせ時代を刺激

劇作家の唐十郎さん(2005年3月11日撮影)劇作家の唐十郎さん(2005年3月11日撮影)
 この日は唐さんが座長を務めた「劇団唐組」の代表作「泥人魚」の東京公演初日。青空の広がった東京都新宿区の花園神社境内には
紅(あか)
テントが立ち、座長代行の久保井研さん(61)が取材に応じた。

 唐さんが亡くなった4日夜、久保井さんが病院に駆けつけると、唐さんは「気持ちよく寝ているようなお顔だった」という。 2012年に転倒して頭部を強打し、演劇活動が困難になった後も、公演を見に来ていたという。「芝居を見て涙と鼻水でいっぱいになった顔も何度も見た。それほど芝居好きな人だった」と振り返る。今後も劇団は解散しない。「紅テントは唐さんの分身のようなもの。ここでしかできない芝居をたくさんの人に見てほしい」と気丈に話した。「紅テント」前で唐十郎さんへの思いを語る久保井研さん(5日午前、東京都新宿区の花園神社で)=後藤嘉信撮影「紅テント」前で唐十郎さんへの思いを語る久保井研さん(5日午前、東京都新宿区の花園神社で)=後藤嘉信撮影 観劇に訪れた劇団東京乾電池の俳優・諫早幸作さん(29)は「唐さんの舞台は、せりふの言い回しや舞台での“居方”が参考になる。唐さんは俳優としても憧れの存在だった」と話した。関東学院大名誉教授の吉原高志さん(71)は、「唐組では終演後に飲みながら劇団員と話ができる。唐さんとも何度も話したが、言葉が戯曲のせりふのよう。本当の天才だと思った。寂しいです」と惜しんだ。父・唐十郎さんとの思い出を語る大鶴義丹さん(5日午後、東京都渋谷区で)父・唐十郎さんとの思い出を語る大鶴義丹さん(5日午後、東京都渋谷区で) 長男で俳優の大鶴義丹さん(56)は出演舞台の終演後、都内のホールで取材に応じた。4日夜は公演初日だった。「役者は親の死に目に会えないと言いますけど、芝居を貫徹しないといけないということを、死をもって教えてくれた。最期まで粋な演出だった」と話した。 唐さんが演じた役に大鶴さんが挑んだこともある。「(その際には)『俺にはなかなかかなわないぞ』ってうれしそうに言ってくる。応援の気持ちもあるのかもしれないですけど、厳しい父でした」としのんだ。
 
「状況劇場」で活躍した舞踏家の麿赤児さん(81)のコメント
「1960年代に駆け抜けた時間がドドドッと脳裏に
蘇(よみがえ)
った。唐との出会いは私の人生の最大にして最深の劇的出来事。ゆっくり眠ってくれ、何また会えるさ!」

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