サッカー日本代表DF渡辺剛(29歳)がNumberWebの単独インタビューに応じてくれた。オランダで共闘したエースFW上田綺世との友情や、センターバックとして飛躍した理由とは。
敗戦のピッチ、立ち尽くす2人
北中米W杯、ブラジル戦が終わった直後のピッチ。ペナルティーエリアの脇で、上田綺世は呆然と立ち尽くしていた。ユニフォームは汗にまみれ、視線は宙をさまよっている。そこに歩み寄ったのが、渡辺剛だった。少し話してから、上田の背中に顔をうずめた。
ヒューストンの巨大なスタジアムでは、ピッチからスタンドは数百メートルも離れている。遠く離れたスタンドからでも、肩が震えている様子がわかった。すぐ横でブラジルの選手たちが軽快な足取りでハイタッチをかわし、健闘を称え合っていたのとは対照的に、渡辺と上田はひときわ長く、その場を動かなかった――。
渡辺がピッチに立てるチャンスは最後まで回ってこなかった。事前に「早い時間から出るかもしれない」とも伝えられていた渡辺は、考えうる可能性のすべてを、頭の中でシミュレーションしていた。
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冨安健洋が右ウイングバックへ回り自分がセンターバックに入るケース。逆に自分自身が右ウイングバックとして送り出されるケース。そして、左ウイングバックで起用されるという状況まで。コーチ陣の「準備しておいてほしい」という話は常に頭のなかにあった。
後半が始まって11分がたった時点で日本は同点に追いつかれ、その10分後に菅原由勢が交代でピッチに送り出された。
「僕は由勢とかが出る前から準備していて。色々なシチュエーションをイメージしていました」
「ごめん。ごめん…」「謝んなくていいんだよ」
渡辺の名前は呼ばれなかった。しかし試合終了のホイッスルのあと、渡辺の胸に去来していたのは、悔しさだけではなかった。
「最後まで準備していたけど、出ることがないまま負けてしまって、悔しさはすごくありました。ただ、このメンバーで全てを出したかなとも感じていて。それは多分みんなも思っているはずですけど」
そんな複雑な感情を抱えたまま、渡辺は上田に歩み寄った。上田の口から出てきたのは、謝罪の言葉だった。
