土田陽介のユーラシアモニター
【土田陽介のユーラシアモニター】ボルソナロ氏の敗北で親中路線が継続、中東・ロシアへの依存を和らげる選択肢
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土田 陽介
三菱UFJリサーチ&コンサルティング・主任研究員
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2026.10.28(水)
ルラ氏の再選を祝う支持者(写真:ロイター/アフロ)
10月25日、ブラジル大統領選の決選投票が行われた。決選投票では、現職で通算4期目を目指す反米左派のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領(ルラ大統領)が勝利し、親米右派のフラビオ・ボルソナロ上院議員は敗北した。最終的な得票率は、ルラ大統領が51.79%、ボルソナロ上院議員が48.21%と僅差だった。
決選投票の事前調査ではボルソナロ上院議員の得票率がルラ大統領を上回っていただけに、ボルソナロ上院議員は当初、選挙結果の無効を求めるなど、強く反発した。事実、午後5時に打ち切られるはずだった投票が、深刻な渋滞のため投票所に行けない有権者がいるというルラ大統領側の主張で2時間延長されたことは禍根を残した。
続投するルラ大統領は81歳とかなりの高齢で、健康不安に対する懸念もある。このことを憂慮した有権者の多くがボルソナロ上院議員に投票した模様だ。また、今回の勝利は僅差のため、国民の大多数が大統領を信任していると評価することもできない。続投は決まったが、ルラ政権は盤石とは言い難い状況だ。
ところで、今回の選挙結果を最も歓迎しているのは、太平洋を隔てた先にある中国だろう。
第一に、今回のルラ大統領の勝利は、中南米における“トランプ旋風”に陰りが生じたことの証左と言える。2025年4月のエクアドルでの政権交代以降、ボリビア、チリ、コロンビア、ペルーで、トランプ政権に呼応した親米政権が相次いで成立していた。
この流れにブラジルも乗るかと考えられたが、ルラ大統領が辛勝とはいえ続投する運びとなった。ブラジル大統領選で左派のルラ大統領が勝利したことは、トランプ政権の中南米における影響力にも限界があることを示唆している。実際に米国でも、トランプ大統領が率いる与党・共和党は11月の中間選挙で下院の過半数を失う可能性が高い。
