
福岡県のビジネスホテル(N=178施設・約22,800室)の2026年9月を、主要予約サイト掲載在庫ベースの推定OCCで曜日別に集計すると、月平均90.0%に対して土曜92.8%・日曜89.2%・月曜90.8%と、週内の最高と最低の差が5.0ptに収まる平坦な市場に見える。ところが9月19日〜23日の5連休(9/20・9/21がいずれも98%超)を除くと、日曜は85.7%・月曜は88.2%まで下がり、最高の土曜92.4%との差は6.7ptに広がった。連休中も最終日の9/23(水・祝)が74.6%と月間最低を記録しており、「高稼働市場の谷は日曜・月曜と連休最終日に集まる」構図が浮かぶ。本稿では9月の曜日パターンを事実ベースで整理し、10月下旬・11月の3連休に向けて同じ谷がどう形成されつつあるかをブッキングカーブで確かめたうえで、残室を埋める打ち手を機会フレームで考える。
対象: 福岡県ビジネスホテル N=178施設・約22,800室(日によりNが変動するため最頻値)。参考値としてシティホテル N=23施設・3,321室。本記事の価格指標は推定成約ADR(OTA等の販売データから推定される成約価格水準・税抜相当)、稼働率はOTA掲載在庫ベースの推定値。いずれも定義は記事末尾。データ時点: 2026年10月16日。
本記事のデータについて
• OCC(稼働率)=エリア内の総客室数に対する販売済み客室数の割合(OTA販売在庫に基づく推定値)。本記事では総客室の30%以上をOTAに掲載する施設の固定コホートを対象に算出している(対象施設数は宿泊日によりわずかに変動する)。
• ADR(平均客室単価)=OTA等の販売データから推定した成約価格水準(推定成約ADR・税抜相当)。推定値であり、各施設の実際の成約価格・会計数値とは異なる。本文中の金額は100円単位に丸めて表記している(表は実測値)。
• 詳しい定義は記事末尾の「データについて」を参照。出典:メトロエンジンリサーチ
Key Takeaways
— 推定OCC 90.0%(2026年9月・福岡県ビジネスホテル N=178施設)。全30日の曜日差は最高の土曜92.8%と最低の水曜87.8%の5.0ptにとどまる。
— 連休除きで日曜85.7%・月曜88.2%(2026年9月)。9/19〜23の5連休を外すと土曜92.4%との差が6.7ptに開き、谷が日曜・月曜に出る。
— 6.7ptは客室5,000室以上の26都道府県で2番目に浅い谷。沖縄県5.9ptに次ぎ、京都府11.5pt・大阪府15.8ptより大幅に小さい。
— 連休最終日9/23は74.6%で月間最低。連休除き平均との差−15.1ptは主要6都道府県で最大で、11/23(月・祝)も39日前時点61.9%と翌平日並み。
— 日曜・月曜の需要は遅く来る。10/25(日)は45日前から+16.8pt、10/26(月)は+22.9ptを直前に上積みしており、早期の値下げより連泊条件・法人枠で埋める余地がある。
9月の曜日別推定OCC — 全30日では平坦、連休を外すと日曜・月曜に谷が出る
まずは9月の30日分を曜日ごとに平均した姿から確認したい。福岡県ビジネスホテルの推定OCC(OTA掲載在庫ベース・宿泊日前日時点の観測・観測カバレッジ100%)は、月90.8%・火90.7%・水87.8%・木89.5%・金89.0%・土92.8%・日89.2%で、最高と最低の差は5.0ptにとどまる。平日と週末の落差が目立つ観光地型のパターンとは違い、出張需要と観光需要が重なる福岡では、曜日による在庫の消化差が小さい市場だといえる。
ただし、この平坦さの一部は5連休が作っている。9月19日(土)から23日(水・祝)までのシルバーウィークのうち、9/20(日)が99.9%、9/21(月・祝)が98.7%と事実上の満室水準に達しており、日曜と月曜の月間平均をそれぞれ押し上げた。連休5日間を除いた25日で再集計すると、月88.2%・火91.3%・水91.1%・木89.5%・金89.0%・土92.4%・日85.7%となり、土曜と日曜の差は6.7ptに開く。連休を外した日曜3日の実績は84.3%・87.9%・84.8%と揃って80%台半ばにあり、曜日の標本数は3〜5日と少ないものの、「日曜から月曜にかけて浅い谷がある」傾向として読んでよいだろう。同じ9月を同じ方法で連休除きにした京都府のビジネスホテルでは日曜が76.1%まで下がっており、福岡の谷が相対的に浅いことは京都のビジネスホテル、9月は土曜89.6%・日曜82.1%と並べると分かりやすい。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(福岡県ビジネスホテル N=178施設・2026年9月・推定OCCはOTA掲載在庫ベース)
表1 福岡県ビジネスホテルの曜日別推定OCC(2026年9月・全30日と連休除き)
曜日ビジネス 全30日ビジネス 連休除き標本日数(全/連休除き)参考: シティ 連休除き
月90.8%88.2%4/383.6%
火90.7%91.3%5/485.7%
水87.8%91.1%5/485.8%
木89.5%89.5%4/484.5%
金89.0%89.0%4/487.7%
土92.8%92.4%4/392.7%
日89.2%85.7%4/383.3%
月平均90.0%89.7%30/2586.1%(全30日 87.1%)
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(ビジネス N=178施設・約22,800室、シティ N=23施設・3,321室。連休除き=9/19〜9/23を除外)
参考として同じ月のシティホテル(N=23施設・3,321室)を並べると、連休除きで土曜92.7%・日曜83.3%・月曜83.6%と、土曜のピークはビジネスホテルとほぼ同じ高さにある一方で、日曜・月曜の谷はビジネスより2〜5pt深い。宿泊単価の高いシティホテルほど日曜の落ち込みが大きいのは、週末の観光・レジャー需要が土曜に集中し、日曜泊が出張前泊の受け皿になりにくいためだと考えられる。逆にいえば、ビジネスホテルの日曜85.7%は「谷」とはいえ依然として高水準で、残る1割強の在庫をどの需要で埋めるかが論点になる。
福岡の6.7ptという谷の浅さを、他の主要市場と同じ物差しで並べておきたい。同じ2026年9月・同じ方法(宿泊日前日時点の推定OCC、9/19〜23の5連休を除く25日)で、ビジネスホテルの客室規模が大きい6都道府県を比べたのが表2である。6都道府県すべてで日曜が週内の最低だったが、最高の曜日との差は福岡の6.7ptに対し、愛知7.7pt・東京8.1pt・北海道10.5pt・京都11.5pt・大阪15.8ptで、福岡が最も浅い。ビジネスホテル客室が5,000室以上ある26都道府県に広げても、福岡より曜日差が小さいのは沖縄県(5.9pt)だけだった。
一方で、連休最終日9/23の落ち込みを各地の連休除き平均と比べると、福岡は−15.1ptと6都道府県で最も大きく、北海道−13.3pt・大阪−12.0pt・東京−8.8ptが続いた。愛知は9/23も91.7%と平常の水準を保っている。福岡の残室は、週内の谷よりも「連休明けに需要がまとめて抜ける日」に偏って生じやすい市場だと読める。
表2 主要6都道府県のビジネスホテル 9月の連休除き曜日差と連休最終日(推定OCC・2026年9月)
都道府県対象(最頻値)土曜日曜曜日差(最高−最低)9/23(水・祝)9/23と連休除き平均の差
東京都547施設・78,977室90.0%85.7%8.1pt(水−日)81.0%−8.8pt
大阪府298施設・48,583室83.7%67.9%15.8pt(土−日)66.2%−12.0pt
愛知県175施設・26,141室91.0%84.8%7.7pt(木−日)91.7%+1.5pt
北海道226施設・26,057室94.3%85.2%10.5pt(木−日)79.6%−13.3pt
福岡県178施設・22,837室92.4%85.7%6.7pt(土−日)74.6%−15.1pt
京都府196施設・19,892室87.6%76.1%11.5pt(土−日)79.2%−3.9pt
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(各都道府県のビジネスホテル固定コホート・2026年9月・宿泊日前日時点の推定OCC。土曜・日曜・曜日差は9/19〜9/23を除く25日の曜日別平均。客室規模の大きい順)
5連休の日次推移 — 中日の満室から最終日74.6%への急落
次に、曜日平均を押し上げた5連休の内側を日次で見ていく。9/19(土)94.1%で立ち上がった推定OCCは9/20(日)に99.9%、9/21(月・祝)に98.7%と2日連続で満室水準に達し、完売施設率(OTA等で掲載在庫が確認できない施設の割合・推定)も9/20が93.9%、9/21が81.4%と、大半の施設で在庫が尽きた状態だった。ところが連休4日目の9/22(火)は88.5%に落ち、最終日の9/23(水・祝)は74.6%と、月間で唯一の70%台になっている。翌9/24(木)も82.4%と連休明けの反動が残り、連休直前の9/18(金)83.0%と合わせて、山の前後に深い谷ができていた。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(福岡県ビジネスホテル N=178施設・2026年9月日次・宿泊日前日時点の推定OCC)
この形は、連休中の滞在客が中日に集中し、最終日は帰路に就くため宿泊需要が抜ける典型的なパターンといえる。9/20〜9/21の2日間は完売施設率が8割を超えており、この期間に関しては販売制限や単価の問題ではなく物理的に在庫が足りない状態だった。一方で9/23(水・祝)の完売施設率は8.2%と、連休外の平日(9/24は9.1%)と同じ水準まで落ちている。連休の「山」で取り切れた需要と、「最終日」で取り逃がした需要の差が、月間の曜日平均を平坦に見せつつ、実際の運営では日曜・月曜・連休最終日の残室として表れていたわけだ。
なお、同じ9月の価格面を月次の推定成約ADRで確かめると、福岡県ビジネスホテル(N=342施設・確定値)は約11,000円で、前年同月の約10,000円(N=331施設・確定値)に対して+9.9%だった。高稼働を保ちながら単価も前年を上回っており、日曜・月曜の谷を埋める打ち手を単価の切り下げに頼る必然性は薄い。1〜8月の確定値でシティとビジネスの伸びがどう分岐してきたかは、福岡のADRはシティ+6.2%・ビジネス+2.2%へ分岐 — 推定成約ADRのYoYで読む2026年1〜8月確定値で月次に追っている。曜日や日単位の価格差はここでは扱わず、以下では在庫の埋まり方に焦点を絞る。
10月下旬の土・日・月はどう積み上がっているか — ブッキングカーブで見る谷の形成
9月に見えた谷が10月以降も同じように形成されているかを、宿泊日の45日前から直近(10月15日)までのブッキングカーブで確かめたい。10/24(土)・10/25(日)・10/26(月)の3日を比べると、土曜は45日前の時点で既に88.9%に達し、30日前94.2%、直近の9日前には97.8%と、ほぼ満室に近づいている。これに対して日曜は45日前64.7%・30日前72.1%・直近10日前81.5%、月曜は45日前60.4%・30日前68.8%・直近11日前83.3%で、いずれも土曜より20pt以上低い位置から立ち上がった。この10/24(土)を施設単位の分布に分解し、早期完売・直前消化・残り型の3つに分けた見方は福岡の10/24(土)、14日前で残り枠の中央値1.1%・完売中48.9%で扱っている。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(福岡県ビジネスホテル N=178〜179施設・約22,800室。宿泊日の45日前から直近までの観測に基づく推定OCC・現時点の販売状況に基づく推定)
注目したいのは上積み幅の違いである。土曜が45日前から直近までに+8.9ptしか積めていない(もともと高いので余地がない)のに対し、日曜は+16.8pt、月曜は+22.9ptと、谷の曜日ほど直前の積み上がりが大きい。土曜との差は45日前の24.2pt(日曜)・28.5pt(月曜)から、直近では16.3pt・14.5ptまで縮まっており、日曜・月曜の需要は「無い」のではなく「遅く来る」ことが読み取れる。9月の連休除き日曜85.7%・月曜88.2%という最終着地も、この直前の積み上がりを経た結果だと考えると辻褄が合う。
さらに先の11月21日(土)〜24日(火)の3連休前後については、まだ観測が宿泊日の45日前から37〜40日前までに限られるが、形は9月の連休と同じである。11/21(土)は45日前85.3%から37日前90.4%へ、11/22(日)は73.4%から77.0%へ進んだのに対し、連休最終日の11/23(月・祝)は59.9%から61.9%、翌11/24(火)は59.5%から61.5%と、祝日であるはずの月曜が連休明けの平日と同じ水準で推移している。9/23(水・祝)が月間最低の74.6%で着地した経緯を踏まえると、11/23も「連休最終日の谷」になる可能性を織り込んで仕込みを始める時期といえる。ただし30日超先の宿泊日であり、在庫の最終的な消化状況を断定する段階ではない。
表3 10月下旬・11月3連休前後の宿泊日別ブッキングカーブ(推定OCC・2026年10月15日観測時点)
宿泊日45日前30日前直近観測(残り日数)45日前→直近の上積み
10/24(土)88.9%94.2%97.8%(9日前)+8.9pt
10/25(日)64.7%72.1%81.5%(10日前)+16.8pt
10/26(月)60.4%68.8%83.3%(11日前)+22.9pt
11/21(土)85.3%—90.4%(37日前)+5.1pt
11/22(日)73.4%—77.0%(38日前)+3.6pt
11/23(月・祝)連休最終日59.9%—61.9%(39日前)+2.0pt
11/24(火)59.5%—61.5%(40日前)+2.0pt
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(福岡県ビジネスホテル N=178〜179施設・約22,800室。推定OCCはOTA掲載在庫ベース・現時点の販売状況に基づく推定で日々変動する。11月分は30日前の観測に未到達)
福岡のビジネスホテルを運営するレベニューマネージャーへ — 示唆とアクションプラン
運営目線のインサイト
1. 自館の曜日カーブを「連休除き」で引き直す。市場の9月平均90.0%は、全30日で見ると日曜89.2%・月曜90.8%だが、連休を外すと日曜85.7%・月曜88.2%に下がる。自館の曜日別実績も祝日を含めた平均のままでは谷が見えない。連休日を分けて集計し、土曜92.4%に対する日曜の差(市場では6.7pt)が自館では何ptあるかを把握することが出発点になる。
2. 日曜・月曜の需要は「遅く来る」前提でカーブを読む。10/25(日)・10/26(月)は45日前に60%台前半〜半ばから立ち上がり、直近10〜11日前で81〜83%まで積み上がった。土曜(45日前88.9%)と同じ尺度で日曜の45日前を見て「弱い」と判断すると、必要以上に早く在庫を安く出す誘因になりやすい。市場では日曜で+16.8pt、月曜で+22.9ptが直前に乗っており、自館のカーブもこの型に沿っているかを照合したい。
3. 連休は「中日の満室」と「最終日の谷」をセットで設計する。9/20・9/21は完売施設率が8〜9割で市場全体が在庫切れだった一方、最終日9/23は74.6%・完売施設率8.2%と連休外の平日と同じ水準に落ちた。中日に単泊で埋め切るか、最終日まで含む連泊条件で埋めるかは、最終日の谷の深さを前提に決める問題になる。11/23(月・祝)が61.9%と11/24(火)の61.5%とほぼ同じ水準で推移している現状は、同じ構図の再現を示唆している。
4. 単価を譲らずに谷を埋める余地がある。9月の推定成約ADRは約11,000円(N=342施設・確定値)で、前年同月比+9.9%と高稼働・単価上昇が両立していた。日曜85.7%の谷は、価格を下げないと埋まらない水準ではなく、法人の週初出張・月曜早朝の業務需要・連泊客の取り込みといった需要の組み替えで対応できる範囲と考えられる。
谷を埋めた場合の客室売上の感度(試算)
日曜・月曜の谷がどの程度の売上機会にあたるかを、客室100室の施設を想定した機械的な試算で確かめておく。連休のない月には日曜と月曜が計8泊あり、この8泊の平均推定OCCを1〜5pt上積みできた場合の客室売上の増分を、9月の推定成約ADR(10,958円・確定値)とその±10%で示したのが表4である。中位のADRで3pt上積みすると1か月あたり約26.3万円、ADRが1割低く上積みが1ptにとどまれば約7.9万円、ADRが1割高く5pt上積みできれば約48.2万円となる。5ptは、連休除きの日曜(土曜との差6.7pt)と月曜(同4.2pt)をおおむね土曜の水準に近づける幅にあたる。月間平均の推定OCCへの寄与は最大でも+1.3pt程度で、平均値だけを見ていると見落としやすい規模の機会であることが分かる。
表4 日曜・月曜の推定OCC上積み幅×ADRの増収感度(客室100室・連休のない月の日曜・月曜計8泊・1か月あたり試算)
推定成約ADR(税抜相当)+1pt+3pt+5pt
ADR −10%(9,862円)7.9万円23.7万円39.4万円
中位(9月確定値)(10,958円)8.8万円26.3万円43.8万円
ADR +10%(12,054円)9.6万円28.9万円48.2万円
月間平均OCCへの寄与(30日換算)+0.3pt+0.8pt+1.3pt
出典:メトロエンジンリサーチの推定成約ADR(福岡県ビジネスホテル N=342施設・2026年9月確定値)をもとにホテルバンク編集部が試算。増分=100室×上積み幅×ADR×8泊。日曜・月曜の実際の成約単価は月平均と異なる可能性がある
以上を踏まえ、仕込みの時間軸に沿ったアクションプランを整理する。市場値はいずれも本稿で示した9月実績と10月15日時点の観測に基づく判断トリガーであり、効果を保証するものではない。
表5 仕込みの時間軸別アクションプランと判断トリガー
時間軸打ち手判断トリガー(記事中の数値に紐づく)狙い
T-45〜T-30連休最終日・翌平日を含む連泊条件(土日月・日月など)の設定11/23(月・祝)の自館の進捗が市場の61.9%(39日前)と同程度か下回り、11/21(土)が市場の90.4%に近い水準で先に埋まりつつある場合土曜の強い需要に最終日を抱き合わせ、9/23型の谷(74.6%)を浅くする
T-45〜T-30土曜単泊の販売制限(最低泊数)を限定的に検討自館の土曜が45日前時点で市場の88.9%(10/24の例)を上回る進捗で、かつ日曜が市場の64.7%を下回っている場合土曜の余剰需要を日曜に波及させる
T-30〜T-14法人・出張需要向けの日曜前泊・月曜泊の枠を確保(企業向け契約や会員向け販路の在庫配分)自館の日曜・月曜が30日前で市場の72.1%・68.8%に届いていない場合遅く来る業務需要を取りこぼさない受け皿を先に作る
T-30〜T-14日曜・月曜の価格を「市場の月次推定成約ADR」で点検(曜日単位の値下げは先行させない)自館の日曜・月曜の設定が市場の推定成約ADR 10,958円(9月確定値)を大きく下回ったまま、稼働も市場の85.7%・88.2%に届いていない場合単価と稼働の両方を取り逃がす状態を避ける
T-14〜直前日曜・月曜の直前ピックアップを日次で追い、残室が市場の着地(日曜85.7%・月曜88.2%)に届く見込みかを判定自館の10日前時点の進捗が市場の81.5%(日曜)・83.3%(月曜)を下回る場合直前需要の取り込み余地を数値で確認してから販路を広げる
T-14〜直前連休明け平日(9/24型・82.4%)の在庫を長期滞在・ワーケーション等の滞在型需要に振り向ける連休中日の自館が完売見込みで、最終日と翌平日に2割前後の残室が見込まれる場合連休の山と谷をならし、週全体のRevPARを平準化する
まとめ — 福岡の週内カーブを読む3つの物差し
福岡県ビジネスホテルの2026年9月は、月平均90.0%の高稼働のなかで、曜日差が全30日ベースでは5.0ptに収まっていた。しかしその平坦さは5連休の中日(9/20 99.9%・9/21 98.7%)が日曜・月曜の平均を押し上げた結果であり、連休を除くと土曜92.4%に対して日曜85.7%・月曜88.2%と6.7ptの谷が現れる。連休最終日の9/23(水・祝)は74.6%と月間最低で、11/23(月・祝)も現時点では翌平日と同じ水準で推移している。
運営側の物差しとして、第一に「曜日平均は連休除きで引き直す」こと、第二に「日曜・月曜は45日前の低さではなく直前の上積み幅(市場では+16.8pt・+22.9pt)で評価する」こと、第三に「連休は中日の満室と最終日の谷をセットで設計する」ことを挙げたい。推定成約ADRが前年同月比+9.9%の約11,000円で着地した市場であり、谷を埋める手段は単価の切り下げよりも、連泊条件・販売制限・法人需要の受け皿づくりといった需要の組み替えに余地があるといえる。
よくある質問
Q. 福岡のビジネスホテルで、2026年9月に最も稼働が低かった曜日はいつですか。
A. 連休を除くと日曜です。推定OCC(OTA掲載在庫ベース・N=178施設)の曜日別平均は、9月19〜23日の5連休を除いた25日で日曜85.7%、次いで月曜88.2%でした。全30日の平均では水曜87.8%が最も低く、連休中の日曜・月曜が平均を押し上げていました。
Q. 福岡の曜日差は他の都市と比べて大きいですか。
A. 小さい部類です。連休を除いた2026年9月の曜日差(最高−最低)は福岡が6.7ptで、ビジネスホテル客室5,000室以上の26都道府県のうち沖縄県(5.9pt)に次いで2番目に小さく、東京8.1pt・京都11.5pt・大阪15.8ptを下回りました。
Q. 連休の最終日はどのくらい下がりましたか。
A. 9月23日(水・祝)は74.6%で、9月で唯一の70%台でした。完売施設率は9月20日の93.9%から8.2%まで下がり、連休除きの月平均89.7%との差は−15.1ptと、主要6都道府県で最も大きい落ち込みでした。
Q. 10月・11月の日曜・月曜はどのように予約が積み上がっていますか。
A. 45日前は低く、直前に大きく伸びる形です。10月25日(日)は45日前64.7%から10日前81.5%へ+16.8pt、10月26日(月)は60.4%から11日前83.3%へ+22.9ptでした(2026年10月15日観測時点の推定値)。11月23日(月・祝)は39日前時点で61.9%と、翌24日(火)の61.5%とほぼ同じ水準です。
Q. 日曜・月曜の谷を埋めると、どの程度の売上になりますか。
A. 客室100室の施設で、連休のない月の日曜・月曜計8泊の推定OCCを平均3pt上積みすると、2026年9月の推定成約ADR 10,958円(税抜相当)で1か月あたり約26.3万円の試算です。ADRを±10%、上積み幅を1〜5ptで動かすと約7.9万〜48.2万円の幅になります(表4)。
データについて
表6 本記事のデータ定義と対象
項目内容
推定OCCの定義OTA掲載在庫ベース稼働率 = 100 − 100 × OTA掲載残室数 ÷ 総客室数。対象は総客室の30%以上をOTAに掲載する施設で構成した固定コホート(各宿泊日で同じ施設集合。本稿の N= がその施設数)。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、実客室稼働率とは定義が異なる(掲載外の客室を消化済み側に数えるため高めに出る)。9月の曜日別・日次の値は宿泊日前日時点の観測(観測カバレッジ100%)。
ブッキングカーブ宿泊日の45日前から直近までの観測に基づく。定点は45日前・30日前・直近観測の3点。10月・11月の宿泊日は現時点の販売状況に基づく推定であり、日々変動する。
推定成約ADRの定義OTA等の販売データ(最安プラン水準×業態別係数・複数チャネルのアンサンブル)から推定した成約価格水準(税抜相当)。過去月は確定値、現在・未来月は現時点の販売状況に基づく推定値。公表運営実績との照合で誤差中央値6.6%。本稿では2025年9月・2026年9月の確定値のみを月次で引用し、曜日・日次の価格は扱っていない。
対象 N= の内訳推定OCC: 福岡県ビジネスホテル N=178施設・約22,800室(9月は日により175〜181施設・22,795〜23,218室で変動するため最頻値を採用。10〜11月の宿泊日は178〜179施設・約22,800室)。参考のシティホテル N=23施設・3,321室(日により21〜25施設)。推定成約ADR: 福岡県ビジネスホテル 2026年9月 N=342施設、2025年9月 N=331施設。曜日別平均の標本は各曜日3〜5日と少なく、月単位の傾向として示している。
データ時点データ時点: 2026年10月16日(ブッキングカーブの最新観測日は10月15日)。販売状況・在庫は日々変動するため、本記事の数値は取得時点のスナップショットである。
出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成
参考資料・出典一覧
■ データソース
メトロエンジンリサーチ集計データ。都道府県別・業態別の推定OCC(OTA掲載在庫ベース・宿泊日前日時点の観測、2026年9月)、宿泊日別のブッキングカーブ(宿泊日の45日前から2026年10月15日までの観測)、都道府県別・業態別の月次推定成約ADR(2025年9月・2026年9月の確定値)。表2の比較は各都道府県のビジネスホテル固定コホートを同じ方法で集計したもの。
■ 試算前提
表4は客室100室の施設を想定し、連休のない月の日曜・月曜計8泊について、平均推定OCCが1・3・5pt上積みされた場合の客室売上増分を、推定成約ADR 10,958円(福岡県ビジネスホテル・2026年9月確定値・税抜相当)とその±10%で算出した(増分=100室×上積み幅×ADR×8泊)。月間平均OCCへの寄与は30日の月で換算している。
■ 限界・留意点
曜日別平均は各曜日3〜5日の標本に基づく月単位の傾向であり、断定的な曜日特性ではない。推定OCCは掲載外の客室を消化済み側に数えるため実客室稼働率より高めに出る。10〜11月の宿泊日は現時点の販売状況に基づく推定で日々変動する。日曜・月曜の実際の成約単価は月平均と異なる可能性があり、表4は単価を月平均で固定した機械的な試算である。
