唐鎌大輔の為替から見る日本
【唐鎌大輔の為替から見る日本】円からユーロへ移った通貨売り、ECBの「抜かずの宝刀」と救済に慎重な仏政府の思惑
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唐鎌 大輔
みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト
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2026.10.10(土)
フランス国債の混乱でECBは「抜かずの宝刀」を抜くのだろうか。写真右の高層ビルがECB本部(写真:AP/アフロ)
通貨売りの関心は円からユーロにシフト
金融市場の注目は引き続きフランス債券市場を中心とするユーロ圏の経済・金融・政治情勢に注がれている。
フランス債券市場の危うさが域内全体に波及している現状については、円金利上昇に伴うキャリー取引の巻き戻しという外的要因に加え、2027年のフランス大統領選挙において極右政党・国民連合(RN)の勝利が既定路線化しているという内的要因も寄与していることは前回の記事でも確認した。
◎日本の金利上昇がフランス国債を直撃、日本勢のレパトリと大統領選への不安が招くユーロ圏の新たな火種(JBpress)
フランス国債は域内の中核資産の一つであるため、ここが崩れることでその他加盟国の国債にも影響は及びやすい。しかし、実際のところ、現在のユーロ圏が抱えている問題はフランスだけではない。少なくとも政治面に関して言えば、ドイツでは地方政治における極右勢力の伸張が著しく、スペインもで10月5日、少数与党による議会運営が行き詰まり前倒し総選挙に踏み切るとの一報が飛び込んできた。
フランス政治だけが動揺しているわけではなく、ドイツやスペインなどの域内のコア、セミコア国が困難に直面している。こうした中、ゼロサムゲームである為替市場では、売りの関心が円からユーロに一時的にシフトしている。
この状況を終わらせるためには、ユーロ圏債券市場の混乱を鎮圧する必要がある。恐らく、混乱が続けば、ECB(欧州中央銀行)の「次の一手」にも注目が集まるだろう。
こうした状況に対し、ECBはどのような政策枠組みを有しているのか。ユーロ圏が直面する混乱が久しぶりということもあって、改めて整理が必要かもしれない。
この種の問題に陥った際、伝統的にキーワードになるのが「域内市場の分断(market fragmentation)」と「金融政策の波及経路(transmission)」である。単一通貨でつながっているはずの域内市場が何らかの事情で寸断され、金融政策の波及が上手く担保されないという厄介な状況である。
