ウクライナ上空に飛来したロシアのジェットドローンと見られる機体(写真:ロイター/アフロ)

「遺憾なことだが、迎撃率が必要な水準を大きく下回っている」——。ウクライナのゼレンスキー大統領が演説でこう述べたのは、2026年9月28日のことです。ロシアとの戦争を続けるウクライナの上空にはこの日、ロシアから大量のドローンが飛来し、首都キーウの科学アカデミーや病院を攻撃しました。現れたドローンはおよそ120機で、そのうち約90機はジェット式。ゼレンスキー大統領が迎撃率の低下に言及したのは、このロシア製の最新兵器に手を焼いたからです。

 ゼレンスキー大統領だけではありません。ウクライナでは政府要人や軍幹部らが相次いで、「ジェットドローン」に言及するようになりました。旧来型のドローンと違い、速度や性能に優れており、展開によってはウクライナ戦争の局面に大きな影響を与えかねないと言われています。

 いったい、ジェットドローンとは、どんな兵器なのでしょうか。防御の手立てはあるのでしょうか。やさしく解説します。

時速600kmで飛行、ウクライナは「主導権を取り損ねた」

「ジェットドローンシャヘドに対応するための時間は、たった数秒しかないんだ」

 ウクライナの防空部隊に所属する兵士はこの9月、ロイター通信の取材に「たった数秒」を強調しました。迫ってくる無人機をどう迎え撃つか。その判断に数秒の猶予しかない、というのです。従来型のプロペラ式ドローンは時速180km程度で、10キロの距離を飛んでくるのに3分余りの時間がありました。

 ところが、最新のジェット式は時速600km。同じ10キロの距離をたった1分で飛来してきます。ロイターの取材に答えた兵士は、その恐怖を語ったのです。

 ロシアがウクライナ戦争に投入しているドローンは、もともとはイランが開発していた「シャヘド」と呼ばれるドローンの技術を用いています。低コスト・長距離飛行が特徴で、ロシアはこれを改良した「ゲラン」を開発してきました。そして、2026年夏ごろからは、ジェット推進のゲランをウクライナ戦線で拡大投入するようになったのです。ジェットエンジンを備えた新型は、速度だけでなく、誘導システムも高度化しているとされ、低コストの巡航ミサイルに近い攻撃用ドローンです。

 現地からの報道によると、夏以降にロシアが投入しているジェットドローンは、1日に数十機の規模。ウクライナ軍が常備している迎撃ドローンでは、速度が足りません。実際、ウクライナの第3軍団副司令官マクシム・ジョリン氏はテレグラムに投稿し、「(ジェットドローンに関しウクライナは)主導権を取り損ねた」と語っています。

 ウクライナでは、新たな迎撃ドローンの開発を急いでいます。実戦での使用は始まっていますが、性能の改善と大量配備が課題として残されています。

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