(CNN) スペイン・マドリードの賃借人組合は7日、市内の賃貸住宅から強制退去させられた87歳の女性が死亡したと発表した。スペインでは女性の立ち退きをきっかけに全土で抗議デモが巻き起こり、女性はスペインの住宅危機の象徴的存在となっていた。

死亡したマリア・デル・カルメン・アバスカルさん(通称マリカルメン)は数週間前、70年以上も暮らしていた賃貸住宅から担架に乗せられて強制退去させられた。当日、自宅前には何百人もの人が集まり、立ち退きを阻止しようとした。

アバスカルさんが暮らしていた賃貸住宅はマドリードの高級住宅街にあり、この物件を所有する民間投資会社が家賃を500ユーロ(約8万8000円)から2650ユーロ(約47万円)へと値上げした。アバスカルさんの年金で払える額ではなかった。

賃借人組合は、アバスカルさんが7日に死去したと発表し、9月23日の立ち退き後はずっと入院していたことを明らかにした。

アバスカルさんの死去を受け、マドリードのスペイン国会議事堂付近に抗議デモの参加者が集まった=7日/Vasco Cotovio/CNN
アバスカルさんの死去を受け、マドリードのスペイン国会議事堂付近に抗議デモの参加者が集まった=7日/Vasco Cotovio/CNN

アバスカルさんの立ち退きを発端として、スペインでは住宅危機をめぐる抗議デモが全土に広がった。マドリード中心部のプエルタ・デル・ソル広場では、デモ参加者が何百ものテントを張って野営した。

家主は家賃値上げの撤回を余儀なくされ、アバスカルさんが退院後は元の部屋に戻ることを認めていた。「歴史的な合意が成立して彼女は自宅に戻れることになった。だが解決に至るのが遅すぎた」と賃借人組合は言い添えた。

警察が87歳のアバスカルさんをマドリードの自宅から強制立ち退きさせる様子(Reuters)

アバスカルさんは先月、病院から動画経由で「どうか闘って」「皆さんに大きなハグを。何もかもありがとう」と支持者らに語りかけ、自分の住宅のために闘い続けるよう呼びかけていた。

スペインのペドロ・サンチェス首相は、X(旧ツイッター)への投稿で哀悼の意を表した。

Share.