北朝鮮兵捕虜の韓国移送公表で韓国とウクライナが対立 謝罪要求と「合意なし」主張

ウクライナのゼレンスキー大統領が、ロシアによるウクライナ侵攻を支援するため派遣され、ウクライナ軍の捕虜となった北朝鮮兵士2人を韓国へ移送したと公表した問題で、韓国政府とウクライナ政府の対立が表面化しています。ゼレンスキー氏は2026年9月23日、国連総会の一般討論演説で移送事実に言及しました。韓国メディアによると、北朝鮮兵の捕虜が韓国へ移送されたのは、ロシアのウクライナ侵攻後初めてとみられます。

2人は2025年1月、ロシア西部クルスク州でウクライナ軍に拘束され、その後、韓国への亡命意思を示していたと報じられています。韓国政府は詳細な事実関係について明確な確認を避けているものの、移送自体を事実上認めたとされます。報道では、2人が韓国の情報当局に保護されていると伝えられています。

問題となったのは、移送を公表したこと自体です。韓国政府は、北朝鮮兵の処遇が外交、安全保障、朝鮮半島情勢、本人や家族の安全に関わる極めて敏感な案件であるとして、ウクライナ側と移送を非公開とすることで合意していたと主張しています。李在明大統領は24日、X(旧ツイッター)に投稿し、非公開合意に反して公表したウクライナ側の対応を「非常に残念だ」と批判しました。

韓国大統領府は27日、ウクライナ政府に対し公式な説明と謝罪を求めました。大統領府は、ウクライナ側が一方的に情報を公開したうえ、非公開合意は存在しなかったと発表したことを「虚偽の広報だ」と非難。両政府間の信頼を深刻に損なう行為だと述べ、強い遺憾の意を示しました。

韓国が大使代理を呼び抗議 ウクライナは合意を否定

韓国外務省は28日、ウクライナの駐韓大使代理を外務省に呼び、正式な抗議を行いました。韓国側は、移送を非公開とする明確な合意があったと主張し、ゼレンスキー氏による公表と、その後の「合意はなかった」とする説明について、公式な説明と謝罪を求めました。

これに対し、ウクライナ側は非公開とする合意はなかったという立場です。ウクライナメディアの報道などによれば、ゼレンスキー氏の側近は、秘密保持に関する合意は存在しなかったと説明したとされます。両国は北朝鮮兵の移送という事実そのものでは食い違っていないものの、事前協議の有無や情報公開の約束をめぐる認識が大きくずれています。

韓国政府は、ウクライナ側から、捕虜を韓国へ送還すれば自国兵との捕虜交換の機会を失うとして、公表しないよう求められていたと説明しています。韓国側も本人や家族の安全、外交・安全保障上の影響を考慮し、非公開での手続きを進めていたとしています。

一方、ウクライナが公表に踏み切った背景には、北朝鮮のロシアへの兵力派遣や朝鮮半島情勢への関与を国際社会に訴え、支援を取り付ける狙いがあるとの見方も出ています。ただし、今回の公表は、韓国との協力関係に亀裂を生じさせる結果となりました。

今後は、2人の身柄の扱いや、韓国政府が北朝鮮兵をどのような法的・人道的枠組みで受け入れるかが焦点となります。韓国政府は追加措置の検討にも言及しており、両国間の信頼回復に向けた協議ができるかどうかが注目されます。

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