ドイツのフリードリヒ・メルツ首相(9月23日撮影、写真:AP/アフロ)
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2026年9月24日付)
またしても、我々はこれをやるのか。それなら仕方がない。
嫌われている指導者が退場し、別の人物に交代する。その人が次に不人気の新記録を打ち立てる。すると、また次のトップ交代について憶測が飛び始める。
仕事そのものが本当に遂行可能なのかどうか問うよりも個人をすげ替える方が容易だからだ。
ここで議論しているのは、もちろん、ドイツだが、それだけではない。英国と米国、その他の国々も同様だ。
各国で首脳がころころ交代
ドイツ首相のフリードリヒ・メルツは、パリの指導者も嫌われていることが多少の慰めにできるだろう。
エマニュエル・マクロンの前のフランス大統領2人も不人気で、どちらも2期目を勝ち取ることさえできなかった。
直近5人の米国大統領(ドナルド・トランプを2回数えた人数)は誰一人として平均支持率が50%を超えていない。それ以前の3人はこの基準をクリアしていた。
英国はどこまでも公平で、2016年以降、白人、アジア系、男性、女性、若手、年長者、保守党、労働党、南部出身、北部出身を問わず、あらゆる首相を嫌った。
それ以前は首相が10年にわたって政権を維持することも珍しくなかった。
オーストラリアでは、1975年から2007年までに首相が4人いた。その後はケビン・ラッドの短期間の再登板を含めて7人を数える。
イタリア首相のジョルジャ・メローニは人気がある長期政権として通用する存在だ。そのメローニは憲法改正の是非を問う国民投票で敗れた。
また、メローニには(大したものでないにせよ)国内改革の緩衝材となる欧州連合(EU)資金があった。
リーダーの質が低下したのか、有権者の期待が高まったのか
ここで考えられる可能性は2つある。
規模が大きく豊かな先進国がほぼ同時に指導者の質の低下に見舞われたか、あるいは有権者を満足させるのが難しくなったかどちらかだ。
いずれの可能性も荒唐無稽ではないが、どちらの方がありそうな話かは明らかなはずだ。
西側諸国は「リーダーシップ問題」を抱えていない。
現在の政府のトップ全体が20世紀の先人たちより劣っているという考えは、少なくとも立証するのが難しい。政策の結果には移民管理のように悪化した分野もあれば、犯罪率のように改善した分野もある。
近年の指導者は誰も、リンドン・ジョンソンとは異なり、徴兵制による勝ち目のない戦争に臨んだことがない。ハロルド・ウィルソンとは異なり、通貨切り下げを経験したこともない。
世界大戦の経験が過去の指導者に今日欠けている真剣さを授けた可能性はあるが、それは有権者にも当てはまることであり、本質的な問題は有権者だ。
西側が抱えているのは「フォロワーシップ問題」だ。
有権者は、客観的にどれほど必要であったとしても、自分に少しでも負担を強いる政策を拒絶する。その結果の一つが巨額の政府債務で、現在では投資家がその資金を賄うためにより高い利回りを要求している。
もう一つは、この問題やその他のあらゆる問題を是正しようとする指導者がほぼ例外なく激しい批判にさらされることだ。
2020年代を振り返っただけでも、指導者が立ち直れないほどの打撃となった政策がいくつもある。
フランスでは公的年金の支給開始年齢を64歳へ引き上げたことがそうだった。英国では年間14億ポンドに上る冬季燃料補助金の削減がそうだった。
人々が猛烈に反発しているのはギリシャ型の苛烈な緊縮策ではなく、小規模で申し訳なさそうな歳出削減だ。
