
「Korea Blockchain Week 2026(KBW 2026)」で講演するDigital Asset共同創業者兼CEOのユヴァル・ルーズ氏(9月30日、ソウル市広津区のグランド・ウォーカーヒル・ソウル、写真=オ・サンヨプ記者)
米ブロックチェーン基盤企業のDigital Assetが、Shinhan Financial GroupやHanwha Investment & Securitiesなど韓国の金融機関との連携を広げている。Canton Networkの活用を軸に、トークン化や貿易金融、国際決済分野での事業化を見据え、韓国市場での展開を本格化させる。
Digital Asset共同創業者兼CEOのユヴァル・ルーズ氏は9月30日、韓国メディアの取材に対し、「韓国は伝統的な金融をオンチェーン化するうえで非常に興味深い市場だ」と述べ、現地金融機関との協業に期待を示した。
協業が最も進んでいるのはShinhan Financial Groupだ。同グループは6月、Canton Foundationとネットワークガバナンス参加に向けた業務提携を締結した。7月にはShinhan Investment Corp.とShinhan Venture InvestmentがDigital Assetに戦略出資した。
9月には、Shinhan Asset Managementが韓国の金融機関として初めてCanton Networkの「スーパーバリデーター」への参加承認を取得した。
Shinhan Financial Groupは、銀行の決済・清算インフラ、証券のトークン化資産流通、資産運用における実物資産トークン化などで、Canton Networkとの連携を検討している。
29日には、Shinhan Financial Groupのチン・オクトン会長がルーズCEO、Canton Foundationのビブ・ディワカール代表と会談し、グループとしてのトークン化金融に関する協力策を協議した。
ルーズCEOは、Shinhanとのトークン証券に関する具体的な事業計画への言及は避けた。そのうえで、「Shinhanが発表すべき内容のため詳細は話せない」としつつ、韓国の金融当局に対し、Canton Networkの技術や規制対応力を説明していると明らかにした。
Hanwha Investment & Securitiesとの協業も進んでいる。同社は4月にDigital Assetと業務提携を結び、7月には約300億ウォン規模の戦略出資を完了した。
今後はCanton Networkのエコシステムへの参加や、グローバル金融機関との連携を通じて、デジタル資産と次世代金融サービス事業の拡大を目指す。
ルーズCEOは「HanwhaとShinhanはDigital Assetに出資しており、ShinhanはCanton Networkのバリデーターとしても参加している」と説明したうえで、韓国市場について「グローバル金融との接続余地が大きい」との見方を示した。
韓国企業との協業分野としては、貿易金融と国際決済に注目している。輸出依存度の高い韓国経済の特性を踏まえ、電子や防衛産業など輸出企業の取引・決済をオンチェーン金融と結び付ける余地があるとみる。
ルーズCEOは「韓国は製造業や人工知能関連企業への世界的な関心が高く、輸出主導型の経済でもある」と指摘。「貿易金融やグローバル決済は、韓国で有望なユースケースになり得る」と語った。さらに、韓国の上場株式がオンチェーン化されれば、海外投資家の需要を取り込める可能性があるとの見通しも示した。
Digital Assetは、韓国の規制環境に即したCanton Networkの活用モデルづくりも進めている。Cantonは、ネットワーク自体はオープンに保ちながら、個別の金融サービスごとに参加権限や個人情報保護の条件を設定できるよう設計しているという。
ルーズCEOは、韓国規制に適合した環境を切り分けたうえで、将来的には制度変更に応じて他国のCanton Networkと接続する方式も可能だと説明した。
一方、Digital Assetはグローバル市場で、上場投資信託(ETF)や株式、マネー・マーケット・ファンド(MMF)、国債といった既存金融商品のオンチェーン化も進めている。ルーズCEOは、将来的にはCanton Network上でETFの設定・償還を24時間行える商品が登場する可能性があるとの見方を示した。
同氏は「技術そのものが恒久的な競争優位になるわけではない」としたうえで、「すでに多くの大手金融機関がCantonに参加していることが最大の競争力だ」と強調した。既存参加機関がCanton上で実際の事業を広げられるよう支援に注力する考えも示した。