ビシケクでのプーチン氏の発言は好戦的だったが、トランプ米政権について語る際には、やや融和的な姿勢も見せた。
米中央情報局(CIA)のラトクリフ長官が先月下旬、ロシアの首都モスクワを訪問したことについて問われると、プーチン氏は、ラトクリフ氏とロシア情報当局者との接触は建設的だったと示唆したものの、新たな詳細には触れなかった。
「接触は常に存在する。冷戦の最も困難な時代でさえそうだったし、今はなおさらだ」とプーチン氏は指摘。「いかなる交渉であれ、まず何より具体的な中身を伴う必要がある。もし誰かがこのプロセスに具体的な貢献をしている、あるいはできるのであれば、我々はそれを全面的に歓迎する」
プーチン氏はまた、トランプ大統領との間で何らかの取引を行う際、誰を交渉相手として望んでいるかも明確にした。スティーブ・ウィトコフ特使と、トランプ氏の娘婿ジャレッド・クシュナー氏という異例の外交コンビだ。
「彼らはトランプ大統領に近い人物だ。私の考えでは誠実な人々であり、我々の取り組みに具体的な中身を持たせようと努めている。大統領が彼らを信頼しているという点は非常に重要であり、その信頼がなければ通常、いかなる交渉も不可能だ」とプーチン氏は語った。「クシュナー氏もウィトコフ氏も、我々にとっていつでも歓迎すべき客人であり、喜んで協力していく」
トランプ氏が2期目の大統領任期を開始して以降、ウィトコフ、クシュナー両氏はモスクワを何度か訪問している。だが、プーチン氏が両氏を好ましい交渉相手とみていることは、ウクライナ政府に不安を抱かせる可能性がある。両氏はトランプ氏の和平交渉担当としての役割を担って以来、一度もウクライナを訪れておらず、一部の観測筋からはロシアに有利な取引を支持するのではないかとの懸念が出ている。

ロシアのプーチン大統領が米国のスティーブ・ウィトコフ特使や、トランプ氏の娘婿ジャレッド・クシュナー氏と会談する様子/Kristina Kormilitsyna/AFP/Getty Images
ウクライナには厳しい冬が待ち受けている。今月後半の議会選挙後、ロシアが新たな動員に踏み切るのではないかとの懸念もある。プーチン氏はそうした臆測について「全くのでたらめだ」と一蹴した。だが、動物界についての発言は、プーチン氏が現在、何を考えているかをうかがわせる材料になるかもしれない。
シャチとホッキョクグマをめぐる話は、先月29日にモスクワ国立教育大学で開かれた会合で、参加者の1人が北極圏を訪れた経験を語った際に初めて浮上した。プーチン氏は想像力をかき立てられたようで、その学生にホッキョクグマを見たかと尋ねた。
「すぐそばにはシャチもいる。シャチはこれらのクマを小魚のように食べてしまう。群れで襲いかかり、引き裂くのだ」とプーチン氏は語り、さらに政治的な文脈を付け加えた。「これが食物連鎖だ。子どもたちにもこのことを教える必要がある。我々がどんな世界に生きていて、なぜ特別軍事作戦を実施しているのか理解してもらうためだ」
複数の観測筋は、実際にはシャチがホッキョクグマを捕食することはないと指摘し、プーチン氏が、AI(人工知能)が生成した低品質な動画でも見たのではないかとの臆測も出た。だが、疑わしい動物学はさておき、トランプ氏を思わせるような唐突な発言からは、ウクライナとの戦争を続けるかという根本的な問題について、プーチン氏の姿勢が今なお極めて強硬であることがうかがえる。プーチン氏の世界では、いつだって米テレビ番組「シャーク・ウィーク」さながらに、弱肉強食の論理が支配しているのだ。
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本稿はCNNのネイサン・ホッジ記者の分析記事です。
