長野県の旅館・リゾートホテルの確定推定成約ADR前年同月比(2026年1〜8月)

長野県の宿泊市場で、2026年に入ってからの推定成約ADRは「冬に強く、初夏に失速する」という極端な形を描いた。確定値が出そろった2026年1〜8月を前年同月と突き合わせると、旅館は1月が+21.9%、リゾートホテルは+22.9%という二桁の伸びで始まったのに、6月は旅館が−0.1%(¥11,556、N=501施設)、リゾートホテルが−7.3%(¥13,558、N=112施設)と前年を下回った。7月も両業態そろって前年割れ(旅館−2.8%/リゾートホテル−2.5%)となり、8月にようやく旅館+1.1%・リゾートホテル+5.0%へ戻している。つまり長野の2026年は「年間で値上がりした年」ではなく、繁忙月だけが値上がりし、閑散月の値決めが前年に置いていかれた年だった。本記事では確定月同士のYoY、6月の稼働構造、そして次の閑散期に向けた値決めの組み直し方を順に見ていく。

対象: 長野県の旅館およびリゾートホテル(当社カテゴリ定義による業態区分)。推定成約ADRの確定月N=旅館485〜551施設/リゾートホテル111〜137施設。本記事の価格指標は推定成約ADR(OTA等の販売データから推定される成約価格水準・税抜相当)、稼働率はOTA掲載在庫ベースの推定値。いずれも定義は記事末尾。データ時点: 2026年9月10日。

Key Takeaways

— 長野県の旅館の確定推定成約ADRは1月 +21.9%から6月 −0.1%へ、リゾートホテルは+22.9%から−7.3%へ。値上がりしたのは繁忙月だけだった。
— 1〜8月の合計では旅館+6.7%・リゾートホテル+5.4%とプラス。半期の合計値は谷月の失速を覆い隠す。
— 6月の推定OCCは旅館で月〜木75.7%に対し土曜87.3%(差11.6pt)。8月の差4.8ptの2倍以上で、閑散月ほど曜日の二層構造が強い。
— 45日前→27日前の上積みは平日+5.9pt・週末+5.8ptとほぼ同幅。平日の弱さは直前値下げでは回収できず、45日前の入り方で決まる。
— 旅館市場7県の横比較では、冬の二桁増と6月の失速は長野固有ではなく広域の共通形。ただし長野の6月−0.1%は7県で最も浅い下げ幅だった。

確定月同士のYoY — 二桁増で始まり、6月に前年割れへ

まず前提を揃えておく。本記事で扱う業態区分は、当社のカテゴリ定義における旅館とリゾートホテルの2つである。長野県は旅館の母数が厚く(確定月でN=485〜551施設)、リゾートホテルは施設数こそ少ないが(N=111〜137施設)客室規模が大きく、県内の高単価需要を担っている。

次の表は、確定値(過去月の履歴基準)同士だけを並べた前年同月比である。現在月・未来月は基準が異なるため、この表には一切混ぜていない。

表1 長野県 旅館・リゾートホテルの確定推定成約ADRと前年同月比(2026年1〜8月)

宿泊月
旅館 2026
推定成約ADR
旅館 2025
YoY
リゾート 2026
推定成約ADR
リゾート 2025
YoY

1月¥15,361
N=493¥12,600
N=551+21.9%¥20,938
N=132¥17,036
N=133+22.9%
2月¥13,290
N=506¥12,181
N=538+9.1%¥16,892
N=133¥15,352
N=132+10.0%
3月¥13,098
N=518¥11,472
N=548+14.2%¥15,256
N=137¥13,590
N=135+12.3%
4月¥12,945
N=523¥12,125
N=531+6.8%¥14,756
N=125¥14,314
N=120+3.1%
5月¥13,184
N=526¥12,686
N=549+3.9%¥16,588
N=124¥16,809
N=123−1.3%
6月¥11,556
N=501¥11,564
N=514−0.1%¥13,558
N=112¥14,632
N=112−7.3%
7月¥12,105
N=517¥12,455
N=519−2.8%¥15,772
N=119¥16,171
N=115−2.5%
8月¥14,521
N=515¥14,363
N=511+1.1%¥21,662
N=124¥20,636
N=117+5.0%

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(推定成約ADR・確定月=履歴基準、税抜相当)

8ヶ月分を合計ベースで見れば、旅館は前年同期比+6.7%、リゾートホテルは+5.4%で、年前半としては確かにプラスである。だが月別の内訳は一様ではない。1〜3月の二桁増が年間のプラスをほぼ作り、4月以降は伸び率が階段状に落ちて、5月にリゾートホテルが先にマイナスへ転じ、6月には両業態が谷に沈む。長野は冬季需要が価格を押し上げやすい市場だが、2026年はその冬の勢いが初夏まで持ち越されなかったということになる。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

年重ねで並べると、2つのことが見える。ひとつは、2026年の線が1〜4月では明確に2025年の上を走っているのに、5〜7月では2025年の線に接触・下回っていること。もうひとつは、谷の深さ自体が前年より深くなっていることだ。1〜8月の最高月と最安月の比率で見ると、旅館は2025年の1.25倍(¥11,472〜¥14,363)に対し2026年は1.33倍(¥11,556〜¥15,361)、リゾートホテルは2025年の1.52倍(¥13,590〜¥20,636)に対し2026年は1.60倍(¥13,558〜¥21,662)へ広がった(2026年は確定月が8月までのため、前年も同じ1〜8月に揃えて比較している)。繁忙月の上限を引き上げることには成功したが、閑散月の下限は据え置き、あるいは切り下げてしまった、という形である。

長野だけの現象か — 旅館市場7県の同月比較

ここまでの形が長野固有のものなのかを確かめるため、旅館の母数が厚い近隣・同型6県を同じ基準(確定月の推定成約ADR、前年同月比)で並べた。結論から言えば、「冬に二桁増、6月に前年割れ」は長野固有ではなく、旅館市場に広く共通する2026年の形である。7県すべてが1月に二桁増を記録し、7県すべてが6月に前年割れした。

表2 旅館(確定月)の前年同月比 — 長野県と同型6県の比較(2026年)
都道府県1月 YoY6月 推定成約ADR6月 N6月 YoY1〜8月合計 YoY

長野県+21.9%¥11,556N=501−0.1%+6.7%
栃木県+21.8%¥14,105N=209−2.3%+4.6%
静岡県+17.6%¥15,409N=449−3.6%+3.5%
群馬県+14.1%¥13,539N=285−3.9%+2.8%
岐阜県+21.9%¥12,803N=235−4.7%+2.7%
新潟県+13.1%¥11,567N=243−1.7%+0.7%
山梨県+19.3%¥10,683N=169−11.0%−1.9%

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(推定成約ADR・確定月=履歴基準、税抜相当。1〜8月合計YoYは各月の確定値の単純合計比)

ただし下げ幅には明確な差がある。6月の前年割れは山梨県が−11.0%と最も深く、岐阜県−4.7%、群馬県−3.9%、静岡県−3.6%と続く。長野県の−0.1%は7県で最も浅く、1〜8月合計の+6.7%も7県で最大である。つまり長野は「谷で負けた市場」ではなく、広域で起きた谷を最も上手く踏みとどまった市場だった。それでも山の月との落差が前年より広がったのだから、同じ谷に沈んだ他県では振幅の拡大はさらに大きい可能性が高い。

この比較は、自館の6月実績を評価する際の基準線にもなる。自館の6月が前年比−5%だった場合、それは「長野の市場平均(−0.1%)に対して大きく劣後した」とも読めるし、「旅館市場全体の下げ幅(−0.1%〜−11.0%)の中では中位」とも読める。どちらの物差しを採るかで打ち手は変わるため、県内水準と広域水準の両方を持っておきたい。業態の分かれ方をさらに細かく追う場合は、神奈川で同じ6月の折り返しをシティ/ビジネス別に分解した分析も同じ基準で読める。

6月に何が起きていたのか — 稼働は「土曜だけ」で立っていた

閑散月のADRが前年に届かなかった背景を、価格の外側から見る。ここからの指標は推定OCC(OTA掲載在庫ベース)で、価格指標とは別の軸である。2026年6月の県内推定OCCは旅館が77.8%(対象179〜257施設/客室4,439〜6,174室・主要予約サイト掲載ベース)、リゾートホテルが79.3%(対象42〜57施設/客室3,080〜3,971室)だった。水準だけを見れば決して低くはない。なお本記事の推定OCCはOTA掲載在庫ベースの推定であり、宿泊旅行統計調査が示す客室稼働率とは定義が異なる。

しかし曜日別に分解すると、この平均が何で支えられているかがはっきりする。6月の旅館は月〜木の平均が75.7%に対し土曜は87.3%で、差は11.6pt。リゾートホテルは月〜木75.8%に対し土曜88.7%で差は12.9ptと、さらに開いている。県内で最も緩んだ宿泊日は6月2日(火)で、旅館66.8%/リゾートホテル65.4%だった。

対して同じ2026年の8月は、旅館が平均90.1%(月〜木89.1%/土曜93.9%=差4.8pt)、リゾートホテルが平均93.3%(月〜木92.6%/土曜94.9%=差2.2pt)である。8月は曜日にかかわらず在庫が詰まっており、価格を押し上げる余地があった。6月は週末だけが繁忙期の顔をし、平日は別の市場になっていた。この二層構造を1本の月次レートで運用すれば、平日は取り込みのために下げ、土曜は下げなくても埋まる分を取りこぼす——結果として月全体の成約単価は前年を超えられない。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(推定OCC・OTA掲載在庫ベース)

なお、価格の曜日差についてはここでは触れない。推定成約ADRは月次が正準の集計であり、日次・曜日粒度で価格水準を示せる指標ではないためだ。曜日で読むのは稼働側の軸に限る。

平日の弱さは直前で埋まるのか — 直近のブッキングカーブ

「平日が緩いなら直前に埋まるだろう」という前提は、実際の消化ペースで検証できる。直近で観測できる長野県のブッキングカーブ(宿泊日の45日前から直近までの観測)を、平日代表の2026年10月6日(火)と週末代表の10月10日(土)で比べた。同じ旅館・リゾート構成で連休期のカーブを観測した岐阜県の9月5連休の事例も、あわせて読むと自館の位置を掴みやすい。

旅館は、2026年10月6日(火)の宿泊日が45日前時点で推定OCC 68.1%、そこから27日前までに74.0%へ+5.9pt積み上がった。一方の10月10日(土)は45日前で83.9%、31日前で89.7%と+5.8ptの上積みである。リゾートホテルも同様で、火曜が71.0%→76.1%(+5.1pt)、土曜が76.8%→82.5%(+5.7pt)。上積み幅はほぼ同じで、スタート地点の差がそのまま残るのが要点だ。平日は「後半に急に伸びる」わけではなく、45日前に開いていた差(旅館で15.8pt、リゾートホテルで5.8pt)を抱えたまま宿泊日に近づいていく。

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(推定OCC・OTA掲載在庫ベース)

この形は、閑散期の値決めに対して明確な示唆を持つ。平日の弱さは直前値下げで回収できる性質のものではなく、45日前の入り方で勝負がほぼ決まっている。逆に言えば、45日前時点の推定OCCが自館で市場水準を下回っているかどうかは、値下げよりずっと早く打てる判断材料になる。リードタイムごとの打ち手の切り分け方は、T-45で決め、T-30で動かし、T-14で諦めるという逆算の型が参考になる。

現在・未来月の位置 — 基準が異なる「現時点推定」として別に見る

ここまでは確定値のみを扱ってきた。参考として、現在月以降の推定成約ADRも押さえておく。ただしこれらは確定値とは基準が異なる現時点の販売状況に基づく推定であり、前年の確定値と単純に引き算して前年比を作ることはできない。以下は「今の売れ方から見たときの位置」を確認するための数値であり、確定値との比較は月末の確定を待つ必要がある。

表3 長野県 旅館・リゾートホテルの現時点推定 推定成約ADR(2026年9〜12月・確定値とは基準が異なる)

宿泊月
旅館(現時点推定)
リゾートホテル(現時点推定)

2026年9月¥13,970(N=506)¥18,670(N=122)
2026年10月¥14,715(N=478)¥18,980(N=122)
2026年11月¥14,530(N=446)¥18,358(N=114)
2026年12月¥15,265(N=355)¥21,742(N=102)

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成(現在・未来月=現時点の販売状況に基づく推定値。変動し得る)

秋から冬に向けては、両業態とも確定6月の水準(旅館¥11,556/リゾートホテル¥13,558)を大きく上回る位置で売れており、12月はリゾートホテルで¥21,742と8月確定(¥21,662)に並ぶ帯に入っている。これらは今後の販売状況で動くが、少なくとも「冬と盛夏では高く売れる」という長野の構造は現時点でも維持されていることが確認できる。問題は繰り返しになるが、その構造の谷側——閑散月の値決めである。

長野県の旅館・リゾートホテルを運営するレベニューマネージャーへ — 示唆とアクションプラン

1. 年間の成績は「山の高さ」ではなく「谷の値決め」で決まっていた。2026年の長野は1〜3月に旅館+21.9%〜+9.1%、リゾートホテル+22.9%〜+10.0%という強い確定YoYを出しながら、6月に旅館−0.1%・リゾートホテル−7.3%まで落ちた。繁忙月の値上げは市場全体で通っている。差がついたのは閑散月であり、自館の年間RevPARを伸ばす余地は、すでに強い1月や8月よりも6月のような谷月に残っていると読める。

2. 閑散月は「平日市場」と「土曜市場」を別建てで持つ。6月の推定OCCは旅館で月〜木75.7%/土曜87.3%(差11.6pt)、リゾートホテルで月〜木75.8%/土曜88.7%(差12.9pt)だった。8月の差(旅館4.8pt/リゾートホテル2.2pt)と比べると、閑散月ほど曜日の二層構造が強い。月次で1本のレートを敷いていると、土曜の取り逃しと平日の下げ過ぎが同時に起きる。自館の6月実績を曜日で割り直し、土曜が先に埋まっていたなら、そこは下げなくても埋まっていた枠と確認したい。

3. 平日の弱さは直前では回収できない。直近カーブでは、平日代表日の上積みが45日前から27日前で旅館+5.9pt・リゾートホテル+5.1pt、週末代表日で+5.8pt/+5.7pt。伸び幅がほぼ同じなら、45日前の差は縮まらない。閑散期の平日は「直前で値下げして埋める」より、45日前より前に別の需要(連泊・平日限定の滞在動機)を仕込む設計に寄せる余地がある。

4. 谷の深さは前年より広がっている。1〜8月の最高月/最安月比は旅館1.25倍→1.33倍、リゾートホテル1.52倍→1.60倍。振幅の拡大は季節料金表の設計が市場の動きに追いついていないサインとしても読める。谷月のフロアを見直すだけで、山を触らずに年間平均を持ち上げられる可能性がある。

以上を、実際の作業に落とすと次の3段になる。

表4 閑散月の値決めを組み直すためのアクションプラン(時間軸別)

時間軸
打ち手
判断トリガー(記事中の数値)
狙い

今日〜今週2026年6月の自館実績を曜日で分解し、土曜/月〜木を別集計する市場の6月推定OCCは旅館77.8%・リゾートホテル79.3%。自館の土曜が市場土曜(旅館87.3%/リゾートホテル88.7%)並みに埋まっていたなら、その日は値下げ不要だった候補閑散月の「下げなくてよかった枠」を特定する
今日〜今週確定6月の自館ADRを市場水準と並べる市場の確定6月は旅館¥11,556(N=501)/リゾートホテル¥13,558(N=112)。自館がこの帯を下回ったまま前年比マイナスなら、値決めの再設計対象谷月のフロア水準を客観化する
2週間以内秋〜冬の在庫を、45日前時点の消化状況で週次モニタする体制に切り替える市場の平日代表日は45日前で旅館68.1%/リゾートホテル71.0%、週末代表日で83.9%/76.8%。自館の45日前がこの帯を大きく下回る日は早期の手当て候補直前値下げに頼らない打ち手の時間を確保する
2週間以内季節料金表の「谷の段」を、山の段と切り離して単独レビューする最高月/最安月比が旅館1.25倍→1.33倍、リゾートホテル1.52倍→1.60倍へ拡大。自館の振幅が同様に広がっているなら、谷側だけの見直し余地山を触らずに年間平均を押し上げる
来月に向けて閑散期平日向けの滞在動機(連泊、平日限定の過ごし方提案)を、45日前より手前で出す前提で企画する45日前→27日前の上積みは平日+5.9pt(旅館)/+5.1pt(リゾートホテル)にとどまり、週末とほぼ同幅。直前の伸びしろは限定的平日の初期入り方を作り替える
来月に向けて冬の値決めを、確定1月の実績帯を起点に組む確定1月は旅館¥15,361(前年比+21.9%)/リゾートホテル¥20,938(+22.9%)。市場は冬の値上げを受け入れている。自館が前年据え置きなら再検討の余地山の月で取り切る

出典:メトロエンジンリサーチ、ホテルバンク編集部より作成

※ 上記は市場集計から読める検討材料であり、効果を保証するものではない。自館の商品構成・客層・販売経路によって適否は異なる。

まとめ — 長野の閑散月を測る3つの物差し

2026年の長野県は、旅館・リゾートホテルともに冬季の確定ADRを二桁伸ばしながら、6月・7月に前年割れを起こした。この非対称は、次の閑散期の値決めを組み直すときに使える3つの物差しに整理できる。

物差し1:谷月の前年比を単独で見る。年間や半期の合計(旅館+6.7%、リゾートホテル+5.4%)は、山の月の伸びに引っ張られて谷の失速を隠す。確定6月が旅館−0.1%・リゾートホテル−7.3%だったという事実は、月単位で切り出してはじめて見える。

物差し2:閑散月は曜日で二分して評価する。6月の曜日差は旅館11.6pt・リゾートホテル12.9ptで、8月(4.8pt/2.2pt)の2倍以上。閑散月の平均稼働は「土曜が高い」ことの結果でしかなく、月平均だけでは平日の弱さを検知できない。

物差し3:45日前の位置を勝負どころとみなす。平日・週末とも45日前から27日前までの上積みは+5〜6pt程度で、初期差は縮まらない。閑散期の打ち手は、直前の価格操作より前段の仕込みに重心を置く方が構造に合う。

閑散月に山の月と同じ発想で値決めをすると、平日は下げ過ぎ、土曜は取り逃す。長野の2026年前半のデータは、その二重の取りこぼしが年間の伸びをどれだけ削るかを、確定値で示している。

集計方法と出典

推定OCC(OTA掲載在庫ベース)の定義:OTA掲載在庫ベース稼働率 = 100 − 100 × OTA掲載残室数 ÷ 総客室数。対象は総客室の30%以上をOTAに掲載する施設で構成した固定コホート(各宿泊日で同じ施設集合)。OTA上で販売される在庫の消化状況に基づく推定値であり、実客室稼働率とは定義が異なる(掲載外の客室を消化済み側に数えるため高めに出る)。本記事の対象月は2026年6月・2026年8月、および2026年10月6日・10月10日の宿泊日。
ブッキングカーブ:宿泊日の45日前から直近までの観測に基づく。対象は長野県の旅館286施設/客室6,699室(10月6日宿泊)・283施設/客室6,607室(10月10日宿泊)、リゾートホテル64施設/客室4,251室(10月6日宿泊)・63施設/客室4,241室(10月10日宿泊)、いずれも主要予約サイト掲載ベース。
推定成約ADRの定義:OTA等の販売データ(最安プラン水準×業態別係数・複数チャネルのアンサンブル)から推定した成約価格水準(税抜相当)。過去月は確定値、現在・未来月は現時点の販売状況に基づく推定値。公表運営実績との照合で誤差中央値6.6%。前年同月比は確定月同士のみで算出しており、現在・未来月の推定値は前年比の計算に用いていない。
対象Nの内訳:推定成約ADRの確定月は旅館N=485〜551施設(2025年1月〜2026年8月)、リゾートホテルN=111〜137施設。現在・未来月(2026年9〜12月)は旅館N=355〜506施設、リゾートホテルN=102〜122施設。推定OCCの対象は2026年6月が旅館179〜257施設/客室4,439〜6,174室、リゾートホテル42〜57施設/客室3,080〜3,971室、2026年8月が旅館186〜257施設/客室4,563〜6,050室、リゾートホテル52〜59施設/客室3,632〜4,090室。業態区分は当社カテゴリ定義の「旅館」「リゾートホテル」に従う。
データ時点:2026年9月10日。販売状況・在庫は日々変動するため、本記事の数値は取得時点のスナップショットである。

■ データソース

推定成約ADR・推定OCC・ブッキングカーブはいずれもメトロエンジンリサーチが収集する主要予約サイトの掲載価格・在庫データを集計したもの。長野県および比較対象6県(栃木・群馬・新潟・山梨・岐阜・静岡)の旅館・リゾートホテルを対象に、2025年1月〜2026年12月宿泊分を月次で集計した。確定月は履歴基準(過去月の実績観測)、現在・未来月は現時点の販売状況に基づく推定である。データ取得時点は2026年9月10日。

■ 試算前提

前年同月比は確定月同士のみで算出し、基準の異なる現在・未来月の推定値は前年比の計算に含めていない(表3)。1〜8月合計の前年比は各月の確定推定成約ADRの単純合計比であり、施設数・稼働・客室規模による加重は行っていない。最高月/最安月比は2026年が確定8か月分のため、前年も同じ1〜8月に揃えて算出している。曜日別の推定OCCは月〜木を平日、土曜を週末代表として区分した。表4のアクションプランは市場集計から読める検討材料であり、効果を保証するものではない。

■ 限界・留意点

推定成約ADRは公表運営実績との照合で誤差中央値6.6%であり、本記事の月次水準は同程度の幅を持つ推定値である。前年同月比が数ポイント以内の差にとどまる月(旅館6月−0.1%など)は、この推定誤差の範囲内で符号が入れ替わり得る点に留意されたい。推定OCCはOTA掲載在庫の消化状況に基づくため、掲載外の客室を消化済み側に数え、実客室稼働率より高めに出る。施設数Nは月ごとに変動し(旅館485〜551施設)、母集団の入れ替わりが月次比較にわずかな影響を与える。また本記事は県単位の集計であり、同一県内でも立地(高原リゾート・温泉地・市街地)によって季節変動の形は大きく異なる。

■ 参考資料

メトロエンジンリサーチ 推定成約ADR集計(長野県ほか6県/旅館・リゾートホテル/2025年1月〜2026年12月)、同 OTA掲載在庫ベース推定稼働率集計(2026年6月・8月)、同 ブッキングカーブ観測(2026年10月6日・10月10日宿泊分)。いずれもホテルバンク編集部が2026年9月10日時点で取得。

あわせて読みたい

Share.