新旧の魅力が満載な奈良を味わい尽くすべく、訪れるべき場所や評判のお土産は?奈良をよく知る方々に、とっておきを伺いました。
今回は寺社、名勝、ミュージアムをご紹介します。
とっておきを教えてくださった奈良ラバーの方々
花山院弘匡さん[春日大社宮司]
かさんのいんひろただ◯1962年佐賀県生まれ。85年國學院大學文学部神道学科卒業。奈良県立奈良高校などの教諭を経て2008年より春日大社宮司。『春日若宮を宮司が綴る』(中央公論新社)ほか著書多数。
川邊りえこさん[日本雅藝倶楽部主宰]
かわべりえこ〇美術家、書道家。日本文化をもとにした表現活動として、1995年に日本文化を伝える会員制「日本雅藝倶楽部」を設立。2025年、明日香村の古民家を改築して活動拠点を構える。
佐藤佳子さん[紫翠ラグジュアリーコレクションホテル奈良マーケティング部長]
さとうよしこ〇「紫翠ラグジュアリーコレクションホテル奈良」のほか、京都、沖縄のホテルで統括を務める。マリオット・インターナショナルのAPECおよびグローバルマーケティングリーダー賞を受賞。
澤田瞳子さん[作家]
さわだとうこ◯1977年京都府生まれ。同志社大学大学院卒業。2010年『孤鷹の天』(徳間文庫)でデビュー。古代から近代の美術や人間模様を緻密に描く。21年『星落ちて、なお』(文春文庫)で第165回直木賞を受賞。
白洲信哉さん[文筆家、日本伝統文化検定協会副会長]
しらすしんや◯1965年東京都生まれ。日本伝統文化検定協会副会長。幼少期より美術や工芸に親しみ、日本文化や骨董に造詣が深い。著述や展覧会プロデュースを通じ、日本の豊かな美意識を現代に伝えている。
竹田博康さん[奈良県ビジターズビューロー専務理事]
たけだひろやす〇長年、奈良県の行政に携わり、地域振興に貢献。2025年3月に奈良県観光局長を退職後、同年6月より現職。豊富な知見とネットワークを生かし、奈良の観光振興に尽力する。
西村円香さん[ライター]
にしむらまどか〇奈良県出身。フードライターとして関西の食にまつわる記事を執筆。お笑いや舞台などのエンタメ好きを生かし、芸人、俳優、アイドルなどのインタビューも多数担当。
平塚小夕里さん[ディレクター、ライター]
ひらつかさゆり〇幅広いメディアで食や伝統文化、旅などを中心に執筆。文化遺産に関するプロジェクトのディレクションを手掛け、「飛鳥・藤原の宮都」プロモーション事業にも携わる。
森川裕一さん[明日香村村長]
もりかわゆういち〇1956年生まれ。京都大学大学院工学研究科修了。奈良県庁で約30年勤務し、奈良県立医科大学を経て2011年に明日香村長に初当選。現在4期目。歴史的風土の保全と地域活性化、世界遺産登録に取り組んだ。
西村円香さん推薦大神(おおみわ)神社
大神神社
原初の神祀りの姿を残す日本最古の神社
ご祭神、大物主大神(おおものぬしのおおかみ)がお鎮まりになる三輪山を拝するため、本殿を設けずに拝殿のみの珍しい神社。
「山そのものを神とする古代からの信仰が受け継がれ、子どものころからお参りすると、空気が違うと感じていました。毎月1日、神社の社頭は『朔日詣(ついたちまい)り』をされる方々でにぎわいます」と西村さん。
DATA
参拝自由 ※祈祷受付時間は9時~16時(正月期間などは変動あり)
tel.0744-42-6633
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奈良県桜井市三輪1422
大神神社
白洲信哉さん推薦談山(たんざん)神社大化の改新の主人公が語らったとされる名所
紅葉の名所と知られ「昼間は光の具合がフラットなので、できれば一泊して早朝と夕方に散策してほしい」と白洲さん。国の重要文化財15棟を有し、中大兄皇子と中臣鎌足がこの山で密談したとされる古の歴史ロマンを感じる名勝。
DATA
拝観時間/8時30分~16時30分 ※最終受付は30分前まで
拝観料/700円
tel.0744-49-0001
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奈良県桜井市多武峰319
談山神社
平塚小夕里さん推薦金峯山寺(きんぷせんじ) 3体の青の秘仏が鎮座する修験道の聖地
本尊の蔵王権現立像3体の中尊は、約7メートルの高さ。「慈悲を表す青の国重文『蔵王権現』など修験道、山岳信仰を美しく表現」と平塚さん。「国宝仁王門大修理勧進秘仏本尊特別ご開帳」は10月24日から11月30日まで。
DATA
拝観時間/8時30分~16時 ※最終受付は30分前まで
拝観料/800円(開帳時は別途料金)
tel.0746-32-8371
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奈良県吉野郡吉野町吉野山2498
金峯山寺
澤田瞳子さん推薦長谷寺(はせでら)
長谷寺
多くの古典文学に登場する「花の御寺」
本堂は牡丹の名所として有名な初瀬山の中腹にあり、『枕草子』『源氏物語』『更級日記』などにもその名が。「平安時代の女性からも信仰された古刹。長い登廊、本堂からの見晴らし、日本最大級のご本尊などに圧倒されます。山が近く紅葉も美しい」と澤田さん。
DATA
拝観時間/9時~17時(10・11月、3月)~16時30分(12月~2月)8時30分~17時(4月~9月) ※最終受付は30分前まで
拝観料/500円
tel.0744-47-7001
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奈良県桜井市初瀬731-1
長谷寺
佐藤佳子さん推薦薬師寺 世界遺産に登録される日本最古の寺のひとつ
約1300年前の創建時から残る国宝の東塔など、誰もが知る名刹。佐藤さんのおすすめは「お写経」。「気軽に体験できて、とても奥深い時間が魅力。墨をすり、筆で般若心経を書き写し、自分自身と静かに向き合う時間は、日常では味わえない特別なひとときです」
DATA
拝観時間/9時~17時 ※最終受付は30分前まで
拝観料/1,000円
tel.0742-33-6001
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奈良県奈良市西ノ京町457
薬師寺
西村円香さん推薦おふさ観音
おふさ観音
四季折々に花が楽しめる「花まんだらの寺」
「おふさ観音」こと観音寺は、江戸時代、娘・おふさが観音様を祀ったことから。「毎年10月から翌年6月に開催される『提灯まつり』は、境内に数千個もの提灯が飾られ、本堂や回廊を優しい灯りが包み込みます。夕暮れには幻想的な光景へと一変」と西村さん。
DATA
拝観時間/8時30分~17時
拝観料/無料
tel.0744-22-2212
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奈良県橿原市小房町6-22
おふさ観音
澤田瞳子さん推薦曽爾(そに)高原約38ヘクタールの山肌にすすきが群生する高原
関西屈指のすすきの名所で、山々が一望できるほか、露天風呂のある天然温泉「お亀の湯」も有名。「秋の風情を満喫。夕日ですすきが黄金に染まる時間帯が美しいと聞きますが、爽やかな秋空や大自然のパノラマが広がる昼間に行っても楽しいです」と澤田さん。
DATA
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奈良県宇陀郡曽爾村太良路
曽爾高原
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●もみじの燃えるような紅が絶景の「吉城園」
●聖徳太子が悩み事があると馬で登り思索した「上居の丘」など(残り1,245文字)
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佐藤佳子さん推薦吉城園(よしきえん)
吉城園
若草山を借景に多彩な趣の3つの庭園
かつては興福寺子院の摩尼珠院があったと伝わる日本庭園は、かやぶきの離れ茶室や大正時代の家屋なども。
「庭園は3つのテーマ(池の庭、苔の庭、茶花の庭)に分けられていて、秋には回遊式庭園『池の庭』に植えられている、もみじの燃えるような紅が池を取り囲む様子は絶景」と佐藤さん。
DATA
開園時間/9時~17時 ※最終受付は30分前まで
休園日/2月24日~28日
tel.0742-22-5911
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奈良県奈良市登大路町60-1
吉城園
川邊りえこさん推薦上居(じょうご)の丘
rieko kawabe
棚田や飛鳥の山々を見渡せる絶景の地
奈良県明日香村、石舞台古墳の東側に位置する静かな里山で、聖徳太子ゆかりの伝説が残る高台の集落エリアです。
川邉さんは「石舞台から5分ほどの場所にあり、聖徳太子が悩み事があると馬で登り思索したという丘は絶景です。特に夕方は神がかったような雰囲気があります」と語ります。
DATA
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奈良県高市郡明日香村上居
上居の丘
西村円香さん推薦龍鎮(りゅうちん)の滝 透明度の高い水が美しい深い森の神秘的な滝
山あいに静かに佇む小さな龍鎮神社の、その先にあるのが龍鎮の滝です。「龍神が棲む場所として信仰され、滝壺は神域で屈指のパワースポットとして知られています。エメラルドグリーンに輝く滝壺は、息を呑むほどの透明感。木漏れ日が水面を照らす光景は幻想的で時間を忘れます」と西村さん。
DATA
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奈良県宇陀市榛原荷阪
龍鎮の滝
竹田博康さん推薦みたらい渓谷 自然の造形美を感じる吊り橋からの景観
整備された遊歩道があり、秋には紅葉の地としても有名な、自然豊かな「みたらい渓谷」。滝や巨岩など見どころも多く「大地を貫くような水音、吸い込まれそうな清流。古来人々が畏敬の念を抱き、祈りを捧げてきた『水のはじまりの地』、すなわち聖なる水源そのものを感じられる地」と竹田さん。
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奈良県吉野郡天川村北角
みたらい渓谷
森川裕一さん推薦甘樫丘(あまかしのおか)
rieko kawabe
飛鳥の中心にそびえる大和三山を一望できる丘
森川さんが「飛鳥・藤原の世界遺産を一望できる、飛鳥を象徴する場所」と話す「甘樫丘」は、標高148メートルの飛鳥の中心にある丘で、かつての権力者、蘇我蝦夷・入鹿親子が麓に居宅を築いたとされます。頂上からは、明日香村や、大和三山(耳成山、畝傍山、天香久山)も眺めることができます。
DATA
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奈良県高市郡明日香村豊浦
甘樫丘
川邊りえこさん推薦男綱(おづな)・女綱(めづな) 豊作や子孫繁栄を願う奥飛鳥の綱掛神事
飛鳥川に架けられた大きな藁の綱で、稲渕地区の「男綱」と栢森地区の「女綱」があります。村に悪いものが入ってこないよう結界のような役割を果たしているともいわれます。「古代信仰の綱掛神事が現代でも息づいている貴重な場。1月初旬に新しい綱を架ける瞬間が見られます」と川邊さん。
DATA
男綱
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奈良県高市郡明日香村稲渕
女綱
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奈良県高市郡明日香村栢森
平塚小夕里さん推薦奈良県立万葉文化館
奈良県立万葉文化館
『万葉集』をテーマに古代を繙く文化拠点
古代文化の魅力を視覚的、かつわかりやすく紹介した美術館・博物館。現代日本画家が『万葉集』の歌を題材に描いた絵画や研究員と『万葉集』を読み解く公開講座、当時の儀礼や暮らしなどがわかる体感型展示、復原遺構が人気の施設です。
日本の古代文化の資料などを集めた万葉図書・情報室も備えており「富本銭を鋳造していたといわれる飛鳥池遺跡にある、『万葉集』に特化した施設。こちらは展示も面白いのですが、図書館がとてもいいんです」と平塚さん。
DATA
開館時間/10時~17時30分 ※最終受付は30分前まで
休館日/月曜、年末年始、展示替え日
入場料/無料(展覧会は有料)
tel.0744-54-1850
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奈良県高市郡明日香村飛鳥10
奈良県立万葉文化館
花山院弘匡さん推薦奈良監獄ミュージアム
奈良監獄ミュージアム
「美しき監獄からの問いかけ」がテーマ
明治政府が全国に建設した5つの近代監獄で唯一全貌が現存する重要文化財「旧奈良監獄」を保存・活用した、星野リゾートが運営する文化施設。中央看守所から放射状に収容棟が並ぶ「ハヴィランド・システム」を取り入れた赤れんがの西洋建築は必見。
館内には監獄をテーマにしたさまざまな展示やアート作品が会します。花山院さんは「歴史を色濃く感じさせる建物が生まれ変わる。悠久の歴史が残る奈良には、ふさわしい場所です」と話します。敷地内にはホテル「星のや奈良監獄」も併設。
DATA
開館時間/9時~17時 ※最終受付は 1時間前まで
入場料/2,500円~
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奈良県奈良市般若寺町18
奈良監獄ミュージアム
取材・文=田中 晃、菅原信一 編集=吉岡博恵、吉田陽(婦人画報編集部)
『婦人画報』2026年10月号より
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