土佐のfood記。今回は高知県室戸市の日南地区で生産される希少な伝統野菜「ぼたなす」を紹介します。
■樺山アナウンサー
「室戸市吉良川町の日南地区。この地区で全国でも珍しい『幻のナス』がいま収穫の最盛期を迎えています」
ナス生産者の谷口精作さん(76才)です。
ぼたなすは通常のナスと比べて約5倍の大きさ。大きいものは30センチを超え、重さはなんと500グラムにもなります。
ぼたなすはこれまで露地栽培が中心で、8月から9月の限られた時期にしか収穫できませんでしたが、通年栽培できるようにと谷口さんは2025年からハウス栽培も始めています。
ぼたなすは100年以上前から、日南地区で家庭菜園を中心に受け継がれてきました。
どこから持ち込まれたのか、どのような品種なのかについては詳しい記録が残っておらず、そのルーツは今も謎に包まれています。
ではここでクイズです。
ぼたなすの名前の由来はなんでしょうか。
①香りが牡丹に似ている
②猪肉(ぼたん)と合う
③ぼた餅に似ている
正解は・・・
③です。
以前はもっと丸みを帯びた形だったため、その形がぼたもちを連想させることから、ぼたなすと呼ばれるようになったといわれています。
謎の多い「ぼたなす」。その特徴はとろける食感と甘み。谷口さんのおすすめの食べ方は?
■谷口精作さん
「焼きナス」
■樺山アナウンサー
「そのままでいいんですか」
切らずに1本まるごと焼くのがポイント。
フォークで全体に穴を開け、網の上でそのまま焼きます。こんがり焼き目が付いたら完成です。
かつて日南地区では約40軒の生産者がぼたなすを栽培していましたが、現在は3軒のみとなっています。
栽培に手間と時間がかかる一方、十分な収益を確保することが難しく、高齢化も重なって担い手不足が課題となっています。
■谷口さん
「(地区の)平均年齢が(上がっている)。私が一番年上なのでだんだん若い人がいなくなるので、近所の人たちに作り方を教えていきたい」
ぼたなすの魅力を知ってもらおうと、地域では食べ方の発信にも力を入れています。集落活動センター・ひなたぼっこ観光交流部会のみなさんにおすすめ料理を作ってもらいました。
まずは、とろっとした食感を楽しめる「ぼたなすフライ」。
さらに、ぼたなすを半分に切って素揚げし、味噌とチーズをのせて焼くと―ぼたなすを器にした「ぼたなすグラタン」の完成です。
■樺山アナウンサーと集落活動センターひなたぼっこ観光交流部会のみなさん
「味噌の甘みが、ぼたなすの濃厚な甘さを引き立てている」
「酢味噌も合う」
「あとオーブンで焼いて、一層とろとろ」
「飲めるでしょ。歯がいらない。子どもからお年寄りまで、離乳食にもできる」
口いっぱいに広がる甘みと、とろけるような食感。
「ぼたなす」は子どもから大人まで日南地区の人たちに親しまれてきたふるさとの味です。
■谷口さん
「各家庭で5本から10本ほど作って、この時期に美味しいものを食べられるのを楽しみにしながら作っている。赤ちゃんからお年寄りまで食べられるナスで普通のナスと比べると全然違う食感もあり、これからもぼたなすを大いに食べてもらいたい」
地域の暮らしとともに受け継がれてきた、ぼたなす。
その味と文化を次の世代へ。
地域の宝を守るため、谷口さんたちの挑戦は続きます。
