綾川町出身の中村梅寿さん、高松で歌舞伎公演 花魁姿への支度も実演

女形の衣装に身を包んだ香川県出身の歌舞伎俳優・中村梅寿さん

 香川県出身の歌舞伎俳優・中村梅寿(うめとし)さんによる公演「中村梅寿 歌舞伎の世界へようこそ」が8月25日、サンポートホール高松(高松市サンポート)第1小ホールで開かれた。(高松経済新聞)

中村梅寿さん(右)と中村梅乃さん 「梅乃さんは兄弟子で頼れるおばあちゃんみたいな存在」と梅寿さん

 綾川町出身の梅寿さんは1994(平成6)年生まれ。2015(平成27)年に中村梅玉さんに入門し、香川県出身者で唯一の現役歌舞伎俳優として活動している。主に立役として舞台出演を重ねる傍ら、2022年から毎年、地元での公演を開催している。今回は、一連の公演で初めて「女形」を披露した。公演は2部制で行われ、同門の中村梅乃さんも共演。300人を超える観覧者が訪れた。

 第1部では歌舞伎ならではの「音の表現」を紹介。うちわにビーズなどを付けて振ることで雨音を再現する「雨うちわ」や、赤貝の貝殻の溝をこすり合わせてカエルの鳴き声を表現する小道具など、昔ながらの道具を使った実演を交えて効果音を解説した。三味線奏者の杵屋長之助さんは、歌舞伎における歌のない音楽「合方」を演奏しながら紹介した。終盤には梅乃さんが丸亀に伝わる「金毘羅仇(あだ)討ち物語」を下敷きにした寸劇を披露した。

 第2部では、梅寿さんが舞台上で女形の支度を整える過程を公開した。白塗りの化粧から着付け、かつらを装着するまでの一連の様子をリアルタイムで紹介し、花魁(おいらん)姿になった。衣装は、8月22日・23日に東京・日本橋で行われた梅玉さん一門による自主公演『高砂会』で使ったものと同じ。日本舞踊の演目「傾城音羽獅子(けいせいおとわじし)」を基にした踊りを披露すると、会場から大きな拍手が湧いた。

 当日の公演前には地元の小中学生を対象としたワークショップを開催した。公演では、小学生も舞台に上がり、小道具を使って効果音を出したり、着付けの様子を間近で見学したりした。

 高松市在住の稲垣泰子さんは「昨年公開の映画『国宝』に夢中になり、歌舞伎にも興味を持つようになった。映画の中で化粧する場面があったが、今日話を聞いて何をやっていたのか具体的に分かった。衣装が動かないように縫い付けるのにも驚いた。映画の描写と現実の違いも比べられて面白かった」と話す。

 梅寿さんは「培ったものを地元で披露したいと思い、この会を企画した。このこしらえを地元で披露することができて幸せ。今後も歌舞伎の魅力を少しでも多くの人に伝えるべく精進していきたい」と意気込む。

Share.