ドイツの大手代理人事務所「Sports360」に所属し、W杯日本代表選手を複数人担当する日本人エージェントが、欧州サッカー移籍市場の知られざる内幕とビジネスの生々しい現実を明かす。書籍『最強の代理人 欧州最前線の代理人が日本サッカーを強くする』(KADOKAWA)から一部転載でご紹介します。
【サッカー界の「悪役」か、不可欠な「伴走者」か】
「石の上にも三年」が通用しない移籍市場
選手のキャリアは、移籍の選択によって大きく変わります。
たとえば、日本代表クラスの選手がヨーロッパのクラブで出番が減ったとしましょう。自分に矢印を向けて内省し、序列を覆すために日々練習に打ち込むのはもちろんですが、同時にキャリアを俯瞰する冷静さも必要です。
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移籍市場においては「石の上にも三年」は必ずしも美徳になりません。
ヨーロッパ5大リーグには計96クラブあり、オランダ、ベルギー、ポルトガル、イングランド2部を合わせると、その数は計172クラブにも上ります。つまり、日本代表クラスの選手なら必ずどこかに自分を生かせる場所があります。
ただし、待っているだけでは、自分に合うクラブに見つけてはもらえません。なぜならば世界的な強豪クラブを除いた一般的な規模のクラブが雇用しているスカウトは、5大リーグで5人ほど。それ以下の規模ならばもっと少ないからです。とてもすべての試合をカバーしきれないのです。最近でこそ、データによるスカウティングが盛んになってきましたが、そもそも試合に出なければ数字は残りません。
そこで、真価を発揮するのが代理人です。
ネットワークをフル活用して「どの国のクラブが、どのポジションにどんな選手を必要としているか」を調べ上げ、適切なクラブを見つけ出します。ネットワークは広ければ広いほど、パイプは太ければ太いほどいい――。まさに情報が命です。
なぜ代理人事務所は大規模化したのか
そのようなネットワークの価値の高まりによって、あるトレンドが生まれました。
代理人事務所の大規模化です。
