ノボ ノルディスク ファーマ株式会社 (代表取締役社長:小谷 啓輔、本社:東京都千代田区) と愛知県春日井市 (市長:石黒 直樹) は、2024年に締結した肥満症対策に関する包括連携のもと、健診・保健指導を起点に高度肥満 (BMI35以上) の市民を専門医療機関へつなぐ受診勧奨モデルを構築し、その実運用を日本で初めて検証しました¹。本パイロット事業では、専門医療機関を受診した市民において全員が医師により肥満症と診断され、健診から治療へとつなぐ導線の有効性が確認されました。
■背景
肥満症は医学的に治療が必要な疾患であるにもかかわらず、「自己責任」といった誤解や思い込みにより、適切な受診や治療につながりにくい現状があります。一方で、医師の診断のもと適切な治療を行うことで、肥満症そのものだけでなく、関連する健康障害の改善も期待されています。また、2026年7月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針2026)」では、「攻めの予防医療」の一環として、健康増進や肥満症を含む疾病予防、早期発見・早期介入、さらには行動変容の支援について、関係機関が連携して取り組む方向性が示されました。このような背景から、自治体における肥満症対策と適切な医療への受診導線の構築は、今後ますます重要になると考えられます。
春日井市は、メタボリックシンドローム該当者が増加傾向にあり、BMI35以上の高度肥満に該当する市民は2023年時点で約2,500人いると推計され² ³、早期に適切な医療へつなぐ仕組みの構築が課題となっていました。
こうした背景を踏まえ、ノボ ノルディスク ファーマと春日井市は、2024年10月に「肥満症対策による健康寿命延伸の連携協定」を締結しました。本協定は、肥満症に起因する生活習慣病の重症化予防を目的とし、両者は市民の健康意識の向上や肥満症に関する正しい知識の普及に取り組むとともに、生活習慣の改善や適切な医療機関の受診を通じた行動変容の促進を目指してきました。
■主な取り組み
パイロット事業 (2024年10月〜)
春日井市総合保健医療センターにおける人間ドック等健診を活用し、BMI35以上かつ医療機関未受診者を対象に保健師が直接受診勧奨を実施。保健指導から専門医療機関への接続フローを実運用の中で検証しました。
本事業
パイロット事業で整理したフローに基づき、以下3つの仕組みで受診勧奨を実施しました。
① 市の健診センターでの保健指導時の勧奨
② 対象者全員への郵送一括勧奨
③ かかりつけ医から専門医療機関への紹介

受診勧奨レター
対象者が自身の状態を適切に認識し、医療機関受診の必要性を理解できるよう、視覚的に分かりやすいチラシを作成しました。肥満症を「疾患」として捉える認識の醸成とともに、受診行動への心理的ハードルの低減を意識した構成にしています。
パイロット事業で使用した受診勧奨レター
本事業で使用した受診勧奨レター
■主な成果
健診~保健健診~治療までをスムーズに接続できる仕組みを全国で初めてモデル実証
受診時のアンケートの結果、受診勧奨対象のうち67%が「医療機関を受診したい」と回答
BMI35以上の保健指導を受けた方104名のうち、かかりつけ医のない44人に対して受診勧奨、そのうち7名を専門医療機関の受診につなげ、全員が肥満症と診断された
■コメント
春日井市長 石黒 直樹
春日井市では、「心と体のかすがい健康計画2035」のもと、生活習慣病の予防と健康寿命の延伸を重要な施策として推進しています。今回、肥満症のリスクが高い方を健診・保健指導から専門医療機関へつなぐ受診勧奨モデルを全国に先駆けて実証できたことは大きな成果と考えております。今後も医師会を始め関係機関と連携し、健康で元気にいきがいを持ち、安心して暮らすことのできるまちづくりを推進してまいります。
ノボ ノルディスク ファーマ株式会社 医療政策・渉外本部 本部長 加藤亮
肥満症は治療が必要な慢性疾患である一方、疾患認知が低く、早期に適切な診療・治療につながる環境づくりが重要となります。春日井市にて、健診・保健指導を起点に高度肥満 (BMI35以上) の市民を専門医療機関へつなぐ全国で初めてとなる受診勧奨モデルが構築され、その有効性が検証・示唆されたことは、市民の皆様にとっても、今後他の自治体で官民連携を進めるうえでも、大変画期的なことであると考えます。当社はこれからも、本事業で得られた知見を活かし、各地域における慢性疾患対策・肥満症対策の推進に貢献してまいります。
■今後の展開
今後は、受診勧奨の開始段階における接触手法 (通知・面談等) の見直し、医療機関との連携深化(紹介後フォローや情報共有の整理)、中長期評価指標の整備および追跡体制の構築を進め、持続可能な地域モデルの確立を目指します。
詳細については春日井市肥満症対策事業報告書(https://www.city.kasugai.lg.jp/kenko/iryo/1039607.html)からご覧ください。
■参考
協定名:肥満症対策を通じた健康寿命延伸に向けた取り組みに関する包括連携協定
締結日:2024 年 10 月 23 日
目的:春日井市における肥満症対策の構築および市民の健康寿命延伸
主な連携・協力項目:肥満症対策の構築、健康・医療のデータ活用、医療政策の動向や先進事例等の情報提供、その他目的達成に必要な事項
協定有効期間:2024 年 10 月 23 日から2025 年 3 月 31 日(更新済)。最長 2028 年 3 月 31 日まで更新可能。
肥満と肥満症について
日本では、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数 (BMI) 25以上のものが 「肥満」 と定義されています。「肥満症」 は、肥満があり、肥満に起因ないし関連する健康障害※を合併するか、その合併が予測され、医学的に減量を必要とする病態と定義されています。
※肥満症の診断に必要な健康障害:1. 耐糖能障害 (2型糖尿病・耐糖能異常など) 、2. 脂質異常症、3. 高血圧、4. 高尿酸血症・痛風、5. 冠動脈疾患、6. 脳梗塞・一過性脳虚血発作、7. 非アルコール性脂肪性肝疾患、8. 月経異常・女性不妊、9. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群、10. 運動器疾患 (変形性関節症:膝・股関節・手指関節、変形性脊椎症) 、11. 肥満関連腎臓病
春日井市について
春日井市は、1943 (昭和18) 年に勝川町を始めとする4か町村の合併により誕生しました。現在は、中部圏最大の都市の名古屋に隣接した人口30万人を擁する中堅都市として発展しています。利便性の高い交通網、快適な都市基盤を備える自然豊かなまちとして、「暮らしやすさと幸せをつなぐまち かすがい」を将来像に掲げ、地域住民や多様な主体と連携し、地域を共に創っていく地域共生社会の実現、そして、人生100年時代である今、子どもから高齢者まであらゆる世代が、健康で生きがいを持ち、安心して暮らせるまちづくりをめざしています。
ノボ ノルディスクについて
ノボ ノルディスクは、1923年創立のデンマークに本社を置く世界有数のヘルスケア企業です。私たちのパーパスは、糖尿病で培った知識や経験を基に、変革を推進し深刻な慢性疾患を克服することです。その目的達成に向け、科学的革新を見出し、医薬品へのアクセスを拡大するとともに、病気の予防ならびに最終的には根治を目指して取り組んでいます。ノボノルディスクは現在80カ国で事業を展開し、製品は約170カ国で販売されています。日本法人のノボ ノルディスク ファーマ株式会社は1980年に設立されました。詳細はウェブサイトをご覧ください。(www.novonordisk.co.jp)
参照資料
1.当社調べ、8月21日現在
2.令和5年度国民健康・栄養調査結果の概要(001338334.pdf)
3.春日井市の人口・世帯数の推移(人口・世帯数の推移|春日井市公式ホームページ)