
取材&文:西澤裕郎
GANG PARADEが2026年8月19日(水)、英国全3都市を巡る最初で最後のイギリスツアー〈GANG PARADE in the UK Tour〉を、マンチェスターのSalford Arts Theatreでスタートさせた。
彼女たちが所属するWACKは、2023年11月からロンドンのライブハウス・The Underworldで海外公演〈WACK in the UK〉を重ねてきた。GANG PARADEはvol.2(2024年3月)とvol.5(2025年3月)に出演しているが、複数都市を巡るツアー形式での海外公演は今回が初めて。昨年12月に発表された“WACK第1章”の終了に伴い、グループは2026年内での解散が決まっており、6月にラスト&ベストアルバム『GANG FINALE』をリリースし、国内ではラストツアー〈GANG PARADE SO LONG TOUR〉を開催中。その最中に実現した最初で最後の海外ツアーの第一歩が、このマンチェスターで踏み出された。

初日の舞台となったマンチェスターは、ジョイ・ディヴィジョン、ザ・スミス、オアシスらを輩出してきた音楽都市。会場のSalford Arts Theatreは、市中心部から西へ15分ほどのサルフォード地区にある小劇場だ。WACKのグループがこの会場に立つのは、今回が初めてとなる。客席は段々に組まれた椅子席で、普段は演劇が上演されている空間だ。音楽ライブを想定した会場ではないぶん、開演前には入念にリハーサルを重ねていく。メンバーたちはひとつひとつ立ち位置を確かめ、マイクの声量や音のバランス、そして11人のフォーメーションを順に確認していく。






19時30分、オープニングSEが流れ、ステージ脇からメンバーたちの掛け声が漏れ聞こえると、場内には大きな歓声が上がり、遊び人(※GANG PARADEファンの総称)たちは席から立ち上がった。1曲目は、昨年12月にリリースされた10周年イヤー記念シングルの表題曲「KIMI☆NO☆OKAGE」。続けて、前身グループPOP時代の1stシングル表題曲「Happy Lucky Kirakira Lucky」、the telephonesの石毛輝が作詞作曲を手掛けた「Gang Gang Disco」と、疾走感のある楽曲を3曲畳みかけ、のっけから会場の温度を上げていく。

MCでは英語と日本語の両方を使い、現地の遊び人にも、日本から駆けつけた遊び人にも語りかけていく。客席から上がった「ありがとう」の声に、ヤママチミキは「本当にこちらこそ来てくれてありがとうございます。Thank you very much」と応え、「みんなの遊び場を作っていきましょう。Are you ready?」と英語を交えて呼びかける。「忘れられない夜にしましょう! 最後までよろしくお願いします!」という声から、超能力戦士ドリアンがフルプロデュースした自己紹介ソング「So many members」、KOTONOHOUSEによる和のテイストを感じさせる「躍動」、ユメノユアが作詞を手掛けた2016年の初期楽曲「sugar」と、振り幅の大きい3曲を続け、グループの楽曲の幅広さで客席を楽しませていく。続く「FOUL」では、曲の出だしで「CAN’T STOP」の音源が並行して流れる音響トラブルが起きたが、11人は動じることなく、パフォーマンスを見せていった。



「メモリアルな1日にしましょう! ラストパートです、楽しんでいきましょう!」と、本編は終盤へ。「CAN’T STOP」ではメンバー同士、そして観客同士が手を繋いで飛び跳ね、「BREAKING THE ROAD」では11人のひたむきさが激しいパフォーマンスに乗り、WANIMAのケンタが作詞作曲した「GANG RISE」まで、一気に駆け抜けた。



「次で最後の曲になります。みんなで一緒に歌おう! ロックを止めるな!」というキャ・ノンの言葉から、活動後期に生まれたアンセム「ROCKを止めるな!!」へ。遊び人たちの歌声が重なり、劇場はひとつの大きな声に包まれた。
本編が終わると、すぐにアンコールを求める声が起こり、やがてそれは「まだ足りない」のコールへと変わっていく。大きな声援の中、再びステージに現れた11人。キャン・GP・マイカが客席にマイクを向けた。初めてのマンチェスターに緊張していたこと、日本から毎日届き続けたファンの声に心強さをもらったことを語ったうえで、解散を控えたいまUKツアーが叶った理由を、「GANG PARADEは解散間際にはなってしまったけど、UKツアーをすることができて、それは紛れもなく、ここに来てくれたみんなが日頃から応援して支えてくれてるからです。本当にありがとうございます」と述べ、感謝を伝えた。

そして、THEイナズマ戦隊の上中丈弥が作詞、山田武郎が作曲を手掛けた、解散前最後の新曲「GANG PARADE SO LONG!!」へ。ココ・パーティン・ココがメンバーに向かって指揮をとり、卒業式の合唱を思わせる振り付けで11人が歌い上げていく。そして、前身グループのプラニメ時代から歌い継がれてきたアンセムのアップデートバージョン「Plastic 2 Mercy(GANG FINALE ver.)」で、大きな盛り上がりの中、初日のステージは締めくくられた。
「I love Manchester and I love UK。皆さん、今日は来てくれてありがとうございました。初めてマンチェスターに来ることができて本当に嬉しかったです。明日はブリストルに行きます。We love you so much! バイバーイ!」というチャンベイビーの挨拶で、この日の遊び場は幕を閉じた。
日本とは勝手の違う会場、そして思いがけない音響トラブル。初めてづくしの初日は、いわば洗礼のようなものだった。それでも、結成から10年以上をかけて積み重ねてきた経験が、その一つひとつをよりよい形へと変えていく。国が違っても、場所が違っても、目の前にいる遊び人が違っても、彼女たちは「みんなの遊び場」を作り上げられる。マンチェスターの小さな劇場が、それを確かめる最初の一歩になった。
翌8月20日、一行はブリストルへと向かう。

related
