広島から反核・反戦・平和を発信し続けるプロジェクト『TO FUTURE』。彼らが目指すのは、イベントを続けることではない。平和を訴える場そのものが必要なくなる未来だ。

ハードコアパンクバンド・愚鈍のメンバーであり、広島の原爆ドームや平和記念公園のすぐ近くにある「RECORD SHOP MISERY」の店主でもあるGUYは、広島で生まれ育ちながらも「自分たちは平和について何も知らなかった」と語る。その気づきと戸惑いを起点に、2003年から『TO FUTURE』の前身となるZINEの制作を手探りでスタート。2005年からは毎年8月6日にライブイベントの開催を続けてきた。活動を続ける中で、自身を見つめ直す出来事が幾度となくあったという。豪雨災害の被災地支援で受けた衝撃、BRAHMANのTOSHI-LOWらとの出会い、アーティスト集団・Chim↑Pom from Smappa!Group(以下、CHIM↑POM)にぶつけた怒りと対話 ────。その一つひとつの経験が、音楽やアート、立場の垣根を越え、人々が平和への気持ちをひとつにする、現在の『TO FUTURE』へとつながっている。

今年も8月6日(木)、広島・BLUE LIVE HIROSHIMAで『To Future Gig & BAD FOOF STUFF – EXTRA 反戦 – ロックとアート』が開催される。今回SPICE編集部は、GUYが店主を務める「RECORD SHOP MISERY」を訪ねた。聞き手は、イベントを長年支え、GUYとも親交の深い「STEREO RECORDS」店主・神鳥孝昭。「イベントを終わらせるために、イベントを続ける」。その一見、矛盾した願いの先にある未来への想いを訊いた。

『TO FUTURE』の起点、ボランティア活動の衝撃と転機

ーー『TO FUTURE』は、『SILENT NOISE』というZINEの制作が前身にあるんですよね。これはどういった経緯でスタートしたのでしょうか。

キッカケとなった3つの事柄がありました。ひとつは、2000年8月6日に広島市のclub CHINATOWNで東京のハードコアバンドのASSFORTとBEARBONESが主催した、ピースイベントを手伝ったことです。ふたつめは今村(進吾)くんが始めたピースイベント『EIGHT SIX』です。3つめは、2003年の8月6日に平和公園に一番近いライブハウス・OTISで遠藤ミチロウさんの弾き語りライブを観に行ったことでした。STALIN時代から憧れていた人を生で見たのも初めてだったし、原爆をテーマにしたナンバーも衝撃的でした! 打ち上げもフリーダムで参加できたので、いちファンとして、そして反戦反核に興味を持ち始めたミュージシャンとしていろいろ話をきいてもらったんです。この3つの出来事が重なった時に、「何故、自分は広島にいて、こういうこと(平和、反戦についての発信)をやってこなかったんだろう」と初めて思ったんです。

ーーそうした経験から、『SILENT NOISE』がスタートしたと。

『SILENT NOISE』は、広島のハードコアバンド、蟲酸のben-kが始めた自分が始めた音楽系ZINEだったんですよ。ben-kに相談して、『SILENT NOISE』別冊という感じで「ヒロシマ」について発信したのが始まりです。その考えに共感して参加してくれた地元の仲間たちと8月6日や平和について発信しようと始めた活動です。

ーーそこから、2005年には『TO FUTURE GIG』を開催。2009年から冊子も『TO FUTURE』に改名されて、今のプロジェクトに繋がると。

そうですね。8月6日にピースライブイベントを立ち上げて、無料でスタートすることになり、2009年にイギリスのクラストハードコアバンド、EXTREME NOISE TERRORと札幌のSLANGを呼んだのがきっかけで有料化しました。ゲストバンドと広島のバンドが一緒に出演するスタイルが出来上がっていったのもこの年からです。同年に『TO FUTURE ZINE』として新たに発行するようになり、発行とギグの主催を自分がするようになりました。

神鳥孝昭

神鳥孝昭

ーーZINEの制作から始まり、ライブイベントを開催へと展開を広げ、20年近く毎年ブラッシュアップしながら活動を続けて来られたと思います。その原動力はなんだったのでしょうか?

最初は冊子を無事つくることができたという達成感だったと思います。そもそも自分は「ヒロシマ」について声を上げるようなタイプでもなかったから、「反戦」「平和」と言い始めた時は、びっくりした人も多かったと思いますが、同様に「ヒロシマ」について関心が少ないと思ってた後輩が、「今まで言えなかったんですけど、実は被爆二世なんです」と話してくれるようになったり、母が若い頃、原爆ドームの保存運動に関わっていた話を聞いてジンの記事に繋げた仲間がいたりしたのが、やりがいに繋がったのだとおもいます。

ーー使命感、ですかね。

最初は使命感みたいなものがあったと思います。ボランティアに初参加したときも同じでしたね。

ーーGUYさんにとってのボランティア活動は、『TO FUTURE』を形作る上での重要な要素になっていたのではないかなと、側で見ていても感じました。

2005年に『TO FUTURE GIG』を始めた頃から、反戦・反原発活動にはアクティブに参加するようになっていました。隣の山口県の上関原発建設に反対する人たちと繋がって、祝島や田ノ浦へ何度も通い、取材をさせてもらいました。同時に抗議活動にも参加していました。

そんな時に起こったのが2011年3月11日の東日本大震災と福島原発事故です。それから少し考え方が変わったように思います。原発を止めるために活動することも大切だけど、一方で実際に震災被害に遭った人がいて、その人たちを助けるために動いている仲間もいたので、「今、自分がやるべきなのはどっちなんだろう」と考えたんです。

原発を止める活動を続けることが大事なのか。それとも、震災や原発事故によって困っている人を直接助けることが大事なのか、と。悩んだ後、暫くして『はだしのゲン』の作者である中沢啓治さんの奥様に許可をいただいて、東北復興支援Tシャツを作りました。皆さんが購入してくれたことで集まった売上を、SLANGのKO氏が始めた支援活動「NBC作戦」に寄付したことで、自分としてはやっと復興支援に参加した気持ちになることができたんです。

ーーこれまでのデモに参加することとはまた違ったアクションですね。

そうですね。継続して反原発デモにも参加してましたが、Tシャツ以外にも復興支援に繋がるグッズの販売もミザリーでするようになりました。そして3年後の2014年8月20日に、地元の広島で豪雨による大きな災害(安佐南区北区豪雨災害)が起きたんです。その時にも「自分はどうするんだ」と考えた結果、東日本大震災のときと同じように中沢啓治さんの奥様の許可をいただき、はだしのゲン復興Tシャツを販売して寄付しようと思ったんです。そんな時に後輩たちが「現場へ行きます」とSNSに発信していたのを見て、はっとしたんです。「あれ、わしは何しとるんだ?」「はだしのゲンに頼ってるだけじゃダメだ!」と思ったんです。

「反原発や反戦デモには参加するくせに、地元が災害で困っているときは参加しないのか。手前こそ行くべきだろう」って。それで初めて実際にボランティアに参加してみたら、それまで頭の中で考えていたことが全部吹き飛んだんですよ。「何を難しく考えていたんだ。長靴はいて、スコップを持って行けばいいだけじゃないか」と。8時間働けば、8時間分だけ土砂がなくなる。平和活動は結果がすぐ出るわけじゃないけど、ボランティアは自分が動いた分だけ目の前の状況が変わるわけだから、体感的なインパクトが強烈でしたよね。とはいえ、当時はずっとボランティアを続ける気持ちはなかったんですけど、「自分みたいなおっさんでもやれるから、みんなもやった方がいいよ」とSNSで発信したら、BRAHMAN/OAUのTOSHI-LOWから「俺たちも行きたいんだけど、明日はどう?」と電話がかかってきたので、案内を兼ねてもう一日だけ災害ボランティアをしようと決めたんです。翌日朝、近くの駅で待ち合わせてたんですけど、TOSHI-LOWの所属するBRAHMAN(その時はOAU)だけかと思ったら「仲間のthe HIATUSと一緒にいたから、連れてきた」と、結果十数名の大所帯を被災地に連れていくことになったんですね。

その日に一緒に土砂にまみれて彼らと働いたことがボランティア団体『SAVE THE HIROSHIMA』の結成に繋がっていますし、現在の『TO FUTURE』にも繋がってます。みーちゃん(細美武士 – the HIATUS/MONOEYES/ELLEGARDEN)とはその日が初でしたが、TOSHI-LOWと三人で風呂場にたまった大量の土砂を掻き出した時にはもう友達になっていましたね。因みに、現SAVE THE HIROSHIMAの副代表のガル憎氏と出会ったのもその時です。

ーーこれまで毎年開催されていますが、特に印象に残っている回はありますか。

毎年それぞれ印象的ではあるんですけど、一番印象的なのは2020年ですね。コロナ禍の真っただ中で、今はなくなっちゃったんだけど、平和の鐘を擁するハノーバー庭園を会場にフリーライブを開催したときです。

ーーその年の開催は個人的にもとても印象に残っています。僕は『EIGHT SIX』に参加していたこともあり、もちろん『TO FUTURE』のことも知ってはいたのですが、その時に初めて手伝わせていただいたんですよね。日本中のイベントが中止になっている状況だったので衝撃的でした。

「ライブを開催するのは悪いことなのか?」「なにかあったら中止だ」「バンドも前日まで来れないかもしれない」……というような状況でね。そういう空気感の中で開催したことは、2度と味わえない強烈な達成感がありました。

「ロックとアート」のテーマに影響を与えた河村康輔と
Chim↑Pom from Smappa!Groupの存在

今年の『To Future Gig & BFS - EXTRA 反戦 - ロックとアート』メインビジュアルとなった河村康輔による作品

今年の『To Future Gig & BFS – EXTRA 反戦 – ロックとアート』メインビジュアルとなった河村康輔による作品

ーー近年は『TO FUTURE GIG』で、コラージュアーティストの河村康輔さんが毎年ビジュアル制作やライブドローイングなど、音楽だけでなくアートの要素も取り入れられていますね。今回のテーマが「ロックとアート」ですが、ライブイベントだけではなくアートを取り入れているのは、GUYさんの中で何か理由があるのでしょうか。

子供の頃から、イラストや漫画を描くのが好きだったんですよ。だから、ずっとアートには興味がありました。河村康輔氏は、今回もイベントに参加してくれるDJ HAROに紹介してもらったんです。河村氏は広島出身で、高校生の頃によく自分の店へ遊びに来てくれていて。彼自身、「自分の作品の原体験にはハードコア・カルチャーがある」という話もしてくれたことから意気投合して、ビジュアルをお願いしたのが始まりですね。2017年以来、毎年デザインを担当してもらっています。「ロックとアート」のテーマには他にも影響があります。それが2008年に原爆ドーム上空に飛行機雲で「ピカッ」と書いたことが地元の中国新聞で大きく扱われて、騒動になったアーティスト集団のChim↑Pomとの邂逅です。

当時、自分は多くの広島市民と同じように本当に腹が立ちました。「ピカッ」の撮影に立ち会った広島市現代美術館に抗議と共に取材にも行きました。もちろんChin↑Pomについても調べました。「なんでこんなことをするんだ!許さない!」と強い怒りを持って発信もしていました。それが向こうにも伝わったらしく、リーダーの卯城竜太氏から会ってみたいと連絡がきて、会うことになりました。文字通り「どういうつもりなんだ」という俺の文句から始まったんですけど、しっかりと対話もしたことで分かり合える部分もありました。

ーーどういった風に分かり合えたのでしょうか?「どういうつもりなんだ」というところから。

自分が投げかけた言葉に対して、ちゃんと自分の言葉で返してくるということです。SNSでよくあるような感情的な言い合いや揚げ足の取り合いじゃなく、自分はこう考えていると筋道を立てて話してくれたのが、理解するキッカケになりました。彼らが高円寺を拠点にしていたことからハードコアやアンダーグラウンドカルチャーの話もたくさんできたことから、「この騒ぎがなければ、気の合うやつかもしれないな」と思えたのもありましたね。

でも、その時にすぐ和解したわけではないですよ。それだけ怒りのほうが勝っていましたから。その後、彼らが出版した『なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか』という本を卯城氏が送ってきてくれたことで彼らの考えを冷静に読むことができたし、坪井直さん(故人・元広島県被団協理事長)と彼らについて話したことから自分の気持ちも少しづつ解れていったんだと思います。2011年の東日本大震災の後に渋谷駅に飾られた岡本太郎の作品「明日の神話」に施したアートの手法には感銘も受けましたしね。そんなこんなで最終的には彼らが2013年に広島市中区基町の市民公園で表現したアート作品を手伝うことになるんですけど(笑)。

ーーそして今年のイベントにも参加されると。

会場にメンバーが来るわけではないですけど、今回、《ヒロシマの空をピカッとさせる》という問題になった作品を『TO FUTURE』で初めて展示してもらうんです。広島の人ももちろんだけど県外の人にも見てほしいなと思います。当時のことを覚えている人も多いと思いますからね。そういう意味では、アートの中で一番見てほしいポイントかもしれません。因みに今夏のCHIM↑POMの参加(展示)を発表したら、「広島のピースイベントにCHIM↑POMを呼ぶなんてけしからん」というSNS投稿を見たんです。最初は何を言ってるんだと思ったけど、考えてみるとその人の気持ちも当然なところがあって。俺は十数年かけてCHIM↑POMと対話をしてきたけど、当時の報道しか知らない人たちはあの時の怒りを持ったままなのは当たり前なんですよね。だからこそ「何が問題だったのか」だけじゃなく、「彼らの表現しようとしていたのは何だったのか」まで含めて、来場した人に自分の目で見て考えてほしいんです。そういうキッカケになればいいなと。

音楽は「分かるやつだけ分かればいい」と思ってた
でも反戦や平和のメッセージは「メジャー」にしたい

ーーさて、今年の『TO FUTURE』は1997年から開催されているライブイベント『BAD FOOD STUFF – EXTREA』と共催に。そして、BACK DROP BOMBが今回初めてTO FUTURE GIGに出演しますね。

共催しているトシちゃん(田原 “104” 洋/STREET系アパレルブランド「MOBSTYLES」代表)から、タカ(白川貴善(Vo)/BACK DROP BOMB)に声をかけようと思うという話があって。そうしたらタカから「2年ぶりに『BAD FOOD STUFF』をやってみたいんだけど、どうだろう」と言われたことがキッカケですね。『BAD FOOD STUFF』が『TO FUTURE』と一緒になったら強力だなと思って即答でOKしました。今村くんの主催する『EIGHT SIX』にも何度も出演していることから8月6日に対する彼らの思いも理解していましたしね。

ーーBACK DROP BOMBの小島真史(Vo)さんが、広島出身で『EIGHT SIX』主催の今村くんと同級生なんですよね。

そうですね。同じく『EIGHT SIX』に何度も出演しているHUSKING BEEが少し先輩で、その2バンドをゲストに迎えて始めたのが『EIGHT SIX』の起源だったと記憶しています。

ーー愚鈍、NEVER AGAINと広島のバンドのほか、先程お話にも上がったBRAHMAN、そしてLOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS、FRONTIER BACKYARDが出演しますね。

BRAHMANとはさっき話したボランティアでの繋がりが大きいですね。『TO FUTURE』の活動についても理解してくれているのに、イベントで一緒にやったことがなかったので、今回ようやく実現できました。LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSは、去年の8月15日に開催した「TO FUTURE GIG IN TOKYO」で出演をお願いしていたんですけど都合が合わずでして、それが今回のラインナップに入ったことに、意味があると思います。FRONTIER BACKYARDも候補に上がっていたバンドなのでそれらをまとめて出演してもらえるのは願ったりかなったりですよ。

ーー『TO FUTURE』はハードコアを出発点に始まったZINE/イベントですが、年々ジャンルの垣根を越えた出演者が増えていますよね。ハードコアの枠だけにとどまらず、さまざまな人たちと一緒にやっていこうという意思があるのでしょうか。

今でもたまに「NO FUTUREですよね?」って間違えられるんですよ。いやいや、『TO FUTURE』ですって(笑)。
パンク・ハードコアを超えて、もっといろんな人に届くようにしたかったから『TO FUTURE』という、ポジティブなタイトルを付けたんです。自分はちょっと人より沸点が低いとよくいわれるんですが(笑)、平和について伝えるときには、その部分は絶対に出さないように気を付けてきました。だからこそ、できるだけ柔らかく「反戦」や「平和」を訴えようと。でないと、すぐ強い言葉を使ってしまうから(笑)。

「反戦」や「平和」について知るため、そしてそれを多くの人に伝えるために、専門的な方や、今まで接したことのない人にも積極的に話を聞いていくことを大事にしてきたから、自分たちが知らなかったところ、まだ経験したことのないところへ興味を広げていくことができたと思ってます。そのひとつに『はだしのゲン』の作者の中沢啓治さんのインタビュー(2008年)がありました。この号から一気に部数が増え、多くの方が読んでくれるようになったのは今でも感謝しています。Chim↑Pomの邂逅ともダブるのですが、元被団協理事長の故坪井直さんとの出会いも大きな出来事でした。

ーーなるほど。

自分たちがやってきたハードコアパンクという音楽は、所謂アンダーグランドのジャンルだと思うんですが、「分かるやつだけ分かればいい」と思ってました。でも、反戦や平和、災害ボランティアについては、その感覚じゃ駄目だなって、活動を続ける中で気付いたんです。アンダーグランドのジャンルの中だけで反戦反核を広げるだけではなく、このテーマに関しては、「メジャーデビュー」したい。しなきゃいけないと思うようになりました。そうやって、自分のこだわりを少しずつ外して、より開かれたイベントにしようと意識したら、これまで自分が知らなかったバンドやお客さんと出会えたりする。そこで感じる平和への思いと、アンダーグラウンドのハードコアバンドが持っている反戦の気持ちに、どちらが上とか下とかはないことが理解できたんです。それが分かってから、ジャンルに対するこだわりはなくなりましたね。

ーーその意識の変化に繋がる、ターニングポイントとなる出来事はあったのでしょうか。

TOSHI-LOWと愛樹(タートルアイランド/ALKDO)、そしてOLEDCKFOGGYの存在はデカいですね。TOSHI-LOWを通してメジャーなアーティストから平和や反戦の気持ち、想いを聞くことができるようになったし、愛樹が開催する『橋の下世界音楽祭』には多大な影響を受けました。毎年のように参加してくれるだけでなく、一昨年から『TO FUTURE GIG IN TOKYO』を開催するキッカケとなったOLEDICKFOGGYのボーカル 伊藤のアドバイスには今でも感謝しています。

それと、『TO FUTURE GIG』を続けていく中で気付いたことがあって。イベントを5年、10年と続けていると、「何周年」という区切りが出てくるじゃないですか。それで、「周年イベントでもやるか」と考えたんですけど、ふと「これは一体、何を祝うんだ?」と思って。続けてきたことを、自分で祝ってどうするんだと。そうやって考えていくと、そもそも「反戦」や「平和」を願うこんなイベント、本当はないほうがいいんじゃないかと気づいたんですよ。戦争がなければ、平和ならしなくていいわけですからね。そこで「俺は『TO FUTURE』の最終回を求めてやっているんだ」と気づいたんです。最終回を目指さなきゃ意味がない。一年一年の中でどれだけのことができるかは分からない。でも、「来年こそは最終回にしよう」と今でも思いながら続けています。そう考えたら、メジャーだとかインディーズだとか、アンダーグラウンドだとかオーバーグラウンドだとかにこだわっても意味がない。SNSでも「来年こそ最終回にしたい」と発信してますし、仲間にもそう話しています。そうすると、みんな最初は驚くんですよ。だけど気持ちを話せば、「そうか。ずっと続くものだと思っていたけど、終わらせなきゃいけないんですね」と分かった上で、協力してくれています。

ーー最終回に向けて、『TO FUTURE』がこれからどんなふうに歩みを進めるのかも気になります。

「もう、わしがおらんでもええか」というところまで引き上げられたら、いいと思っています。それと、友達とかじゃないですけど、吉川晃司や奥田民生が広島出身の同い年なんですが、数十年、メジャーの音楽シーンで活動している彼らが、ここ20年くらいで「反戦」や「平和」について発信するようになってきたと思うんですよ。自分自身、40歳になる少し前くらいから平和について声を上げ始めたから、同世代のミュージシャンたちが同じような時期に広島について語り始めたことはすごく興味深かったですね。彼らのようなミュージシャンが参加するようになれば、TO FUTURE GIGというイベントがより身近になるんではと思っています。今の段階ではただの妄想ですけどね(笑)。

そして平和を考えるイベントがもっと増えて、『TO FUTURE』もその中の一つにすぎなくなれば、いいと思います。今よりももっと広島で8月6日に、いろんな場所で同時多発的にピースイベントが開かれて、長崎でも8月9日にたくさんの人が集まるイベントが開催され、8月15日には、全国からたくさんの人たちが東京のピースイベントに集まる。そういう状況になれば、それこそ最終回は見えてきますよ! 共催のトシちゃんが今年、全国を廻るピースツアーにも可能性を感じています!

ーー最近では、海外から広島を訪れる方も増えていますよね。8月6日が、世界中からも多くの方が広島に集まる日になればいいですね。それこそが、ひとつの平和を象徴する景色かもしれません。

そうですね、そうなったらいいですね。そういう意味でも、今年の『TO FUTURE GIG』にはたくさんの方に来ていただきたいです。『TO FUTURE GIG』には会場全体が平和に包まれた幸せな感じになる、何とも言えない瞬間があるんです。出演者もスタッフもお客さんも、「戦争は絶対に嫌だ!」「平和が一番」という同じ気持ちを共有できる。その空気を感じてみてほしいですね。そしてこのイベントが、来場者の皆さんにとって「平和とは何か?」「そのためにできることは」を考えるひとつのキッカケになればと思っています。

取材=神鳥孝昭 取材協力=RECORD SHOP MISERY
文・撮影=SPICE編集部(大西健斗)

イベント情報

『To future gig & BFS – EXTRA 反戦 -ロックとアート』
日程:2026年8月6日(木)
時間:OPEN 14:00/START 15:00
会場:広島・BLUE LIVE HIROSHIMA
出演:愚鈍、NEVER AGAIN、BACK DROP BOMB、BRAHMAN、LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS、FRONTIER BACKYARD
MC:田原104洋
Art:SHUTOPIA、BOBartwork、河村康輔、Chim↑Pom from Smappa!Group
DJ:HARO、RODRIGUEZ
フード:ラコスバーガー、大三島ひとりマルシェ、primitive trive

:前売 6,900円/U22 3,500円/当日 7,900円(共に別途1drink代必要)

イベント情報


『TO FUTURE GIG 前夜-The night before-』
日程:2026年8月5日(水)

時間:OPEN 18:00 START 18:30
会場:広島4.14
オープニングアクト:田原104洋
出演:ライブゾーン – 茂木洋晃&TOSHI-LOW/松田”CHABE”岳二/伊藤雄和(OLEDICKFOGGY)
MC : 田原104洋
:前売 3500円/当日 4500円(共に別途1drink代必要)

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