1年間にわたるウェスタンオーストラリア大学(UWA)での留学生活を終え、帰国しました。
留学生別科での留学前準備教育のスタートから、留学の最後の日まで、何を考え、何を感じ、何に苦しみ、そして何を学ぶことができたのか、留学レポートを通じてすべてを発信してきました。レポートを振り返りながら「私は何を得ることができたのか」「留学は私にどんな意味をもたらしたのか」を改めて考えてみることにしました。
▼空港でお別れの前に撮影しました。いつも近くで支えてくれた友達です(右から4人目が栗岡さん)
そもそも、なぜ私はこれほど愚直なまでに留学レポートを書き続けることができたのでしょうか。それまでにしばしば目にしていた「留学は楽しかった」「留学は意義深かった」という、どこかキラキラとした体験談に現実味のなさを感じていたからではないかと思っています。
1年のころ、留学報告のスピーチを聞く機会がありました。しっかりとまとめられていて、編集された動画は「楽しく充実した留学生活」であふれていました。しかし当時の私は「楽しく充実した留学」をどうしても想像できず、どこか疑いの目さえ向けていました。
実際の留学生活は、想像していたように思い通りにいかないことばかりでした。私自身、オーストラリアのパースに飛び込んで3カ月あたりで、〝グダグダなこと〟の方が圧倒的に多いことに気がつきました。〝グダグダなこと〟ばかりなのに、レポートを書き続けたのには理由があります。
それは、この泥臭い現実こそがリアルな留学生活だと証明したかったからです。グダグダな日常の中に潜む「考える」という行為、つまり、留学の本質である「内省の機会」をありのまま表現したかったのだと思います。リアルタイムでレポートに落とし込むことで、ともすれば楽しい思い出で終わりかねない日々の葛藤が、意味のある深い気付きへと変わっていきました。
▲学校の裏にあるマチルダ湾です。少し肌寒くなってきたので太陽の日差しがとても気持ちよかったです
知らない土地で、知らない人たちと生活する毎日は、自分にとっては今まで当たり前だったことを疑い続けることの繰り返しでした。日本にいるだけでは考える必要のなかったことや、比較することなどなかったさまざまなことに、嫌でも向き合わされました。
日本から離れた外の世界に身を置くことで、初めて自分を客観視する「相対的内省」を積み重ねることができました。
「自分はどんな価値観を持っているのか」
「どんな人間なのか」
「将来何がしたいのか」
生まれてから21年間、安全で、自由で、快適な生活してきたことを同時に痛感しました。これまでは、自分と似た価値観を持つ人たちと、似た経験をして過ごし、親や学校、さまざまなルールに守られてきたのだと気付かされました。
▲パースから車で3時間ほどのマーガレット・リバーです。海と勘違いするほど大きな川です
これまでのレポートを読み返してみると共通点があります。それは、「〜とは何か」「〜なのはなぜか」と常に問い続けたことです。少し振り返ってみます。
Study Abroad REPORT Vol.7 では、留学先のウェスタンオーストラリア大学での経験から、間違えることよりも自分の主張をすることの重要性をまとめました。それまでほとんど経験しなかった価値観や文化の違いを肌で感じました。
またStudy Abroad REPORT Vol.12では、自分の道徳観や倫理観がアップデートされていくプロセスについて書きました。「なぜ留学をするのか」という問いに正面から向き合い、「留学の醍醐味は、この価値観や考え方のすり合わせを身をもって体験できることにある」という、自分なりの答えを導き出しました。
このようにさまざまな問い掛けを重ねながら、毎月この留学レポートを書く中で、私自身の考えはさらに深まり、内省は何倍も面白いものになりました。
▲1年間お付き合いした〝相棒〟です。毎日、朝食後は欠かさずこのピアノで練習していました
帰国してから1年間の思い出を一気に振り返っていたら、これほど生き生きとした言葉で書くことができなかったと思います。そのときどきに抱いた葛藤やズレを、レポートにまとめて昇華させてきたからこそ、その経験が自分を成長させる糧に変わっていったように思います。
一見、1つ1つがバラバラで、つながりのないレポートのように感じるかもしれません。しかし、実は「問い続ける」ことですべてが私の留学経験へとつながりました。
だからこそ、これから留学に行く皆さん、あるいは日々の生活で何かを問い続けている皆さん。「自分だけのレポート」をぜひつくって欲しいと思います。雑記帳に書き殴る日記のようなものでも構いません。せっかくたくさん考えるなら、それを言葉に書き残してみてはいかがでしょうか。テーマは何でも構いません。
「世界共通語としての英語とは何か」
「日本のおもてなしとは何か」
「歴史とは何か」
▲留学生活の最終日、みんな温かく見送ってくれました
私の18本の留学レポートが、皆さんに「何か」を伝えることができたのであればとてもうれしく思います。
今まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
くりおか・りょうご/大阪府出身。大阪府立いちりつ高校卒業後、2023年4月に関西外国語大学外国語学部英米語学科に入学した。留学前は、留学生と外大生の交流を深めるイベントのリーダーを務めるなど、学内での国際交流活動に活躍した。
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