奈良工業高等専門学校(奈良高専)で、将来は技術者や研究者になって社会の役に立つことを目指す学生さんに、ものづくりの道に進んだきっかけや研究内容、科学を楽しむヒントなどについてのインタビュー。2回目は物質化学工学科専攻科2年木田さん、指導教官の山田先生です。
同インタビューは奈良小学生新聞(夏号)と一部連動しています。
1.研究テーマは「安全で高性能な未来の電池」
木田さんは、スマートフォンや電気自動車など、現代社会に欠かせない「リチウムイオン二次電池」の研究に取り組んでいます。この電池は充電して繰り返し使える便利なものですが、強い衝撃や高温によって発火する危険性が課題となっています。
研究室では、電池の内部を満たす「電解液」という液体に着目。現在の可燃性の高い液体に代わる、より安全で、かつ高い電圧や温度にも耐えられる新しい電解液の開発を目指しています。この技術が実用化されれば、私たちの暮らしはさらに安全で便利になります。
電池は、液体の材料や構造を少し変えるだけで性能が大きく変わる面白さがある一方で、同じ手順で実験しても毎回同じ結果が出るとは限らない難しさもあります。そのような時は、先生や研究室の仲間と試行錯誤を重ねながら、根気強く研究を進めていきます。
2.化学の道へ進んだきっかけ
化学、特に電池に興味を持ったのは中学生の時。理科の実験で、2種類の金属を液体につけるだけで電気が生まれる「ボルタ電池」の仕組みに触れ、「金属をつけただけでエネルギーが生まれるなんてすごい!」と感動したことが、現在の道に進む大きなきっかけとなりました。
また、小学生の頃に通っていた科学実験教室でスライム作りなどを楽しんだ経験も、理科を好きになる素地になったと語ります。
大阪出身の木田さんは、地元にも高専がありましたが、自分の学びたい「物質化学」の分野があった奈良高専への進学を決意。推薦入試で見事合格を果たしました。
3.高専での学びと生活
高専での5年間は、専門的な知識を深く学べる貴重な時間です。コロナ禍の2020年に入学し、当初はオンライン授業が中心で戸惑うこともありましたが、実験が始まると、白衣と安全メガネを身に着けて専門的な装置に触れることに「研究者になったみたいで楽しかった」と感じたそうです。
高専では、数学や理科の基礎を一つずつ理解していくことが大切だと山田先生は語ります。教科書に出てくる基本をしっかり理解していけば、理科や数学の学びも少しずつ楽しくなっていきます。
まずはいろいろなことに触れて「不思議だな」「面白いな」と興味を持つことが、学びへの一番の近道ですとアドバイスをいただきました。
物質化学工学科の研究の様子、安全のためゴーグルを着用
4.未来の科学者たちへのメッセージ
将来は大学院に進学し、リチウムイオン電池の研究開発に携わりたいという目標を持つ木田さん。
科学実験教室など、手を動かして何かを体験できる機会があったら、ぜひ積極的に参加してみてください。本を読むことも大切ですが、自分でやってみる方が何倍も楽しいし、記憶にも残ります。そこからきっと、新しい興味が生まれるはずです。
山田先生から
私たちの身の回りには、不思議なことや面白いことがたくさんあります。自然の中で遊んだり、実験キットを試したりする中で『なぜこうなるのだろう~』と考えることが、科学の第一歩です。高専では、夏休みの体験入学や秋の高専祭で、小学生でも楽しめる実験体験を用意しています。ぜひ一度、奈良高専のものづくりや実験の楽しさを体験しに来てください。
【取材協力】
奈良工業高等専門学校(大和郡山市矢田町22番地)
https://www.nara-k.ac.jp/
