戦争で強まる経済的負担
米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のマリア・スネゴバヤ氏ら一部専門家は、ロシアが首都モスクワのような大都市の近郊に働きかけ、学生に入隊を促したり外国人を増やしたりすることで、新兵採用の問題を切り抜けることができるとの見方を示す。
ロシア軍の人件費、新兵補充活動費は毎年数百億ドルに上り、連邦予算の9.5%、国内総生産(GDP)の2%を占めるとも推定される。軍事活動を維持するための財政負担は増していると、スネゴバヤ氏は強調する。
ロシアでは今、経済成長が停滞し(景気後退に入ったとみるエコノミストもいる)、企業が次々と倒産したり、消費者信頼感指数が下がったりしている。
賃金はいくらか上昇したが、長引くインフレに所得が追いついていない。重要インフラがウクライナの攻撃を受け、一部の地域でガソリンが不足したり、空港での遅延が慢性化したりしている。
全体的なインフレ率は落ち着いてきたが、消費者心理は冷え込んだままだという。
スネゴバヤ氏は「こうした流れで戦争への支持が低下し、社会的不満が高まる可能性もある」としつつ、「政権は抑圧的な体制を強化している」と述べた。
「ロシア政府は目標を後退させるどころか、さらに強く主張している」と、同氏は警告する。
技術革新はウクライナ優位
一方のウクライナはドローン(無人機)技術の進歩によって、ロシアに対し、当初よりはるかに大きな人的被害を与えるようになった。
ウクライナのゼレンスキー大統領は今年の春、ドローンとロボットのみで初めてロシアの拠点を制圧したと主張。今年第1四半期だけで、無人の任務を2万2000件以上遂行したと述べた。

集中軍事訓練に参加するロシア兵=1月19日、ロストフ州/Sergey Pivovarov/Reuters
ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官は、先月奪還した領土がロシア軍に奪われた領土より100平方キロメートル近く多かったと発表。2カ月連続で、奪還した面積が奪われた面積を上回ったと述べた。
欧米当局者らによれば、ロシア軍の死傷者は毎月3万~3万5000人前後に上っているともいわれる。シルスキー氏によると、先月ウクライナ軍のドローンで死傷したロシア兵は、ロシア軍が採用した新兵の人数より多かったという。
ウクライナの技術が向上する一方で、ロシア軍は弱体化していると、専門家らは指摘する。元囚人や訓練を受けていない兵士を前線に送り込むケースが増えているからだ。
米シンクタンク、戦争研究所(ISW)のアナリスト、カテリーナ・ステパネンコ氏によると、ロシア軍はドローン専門部隊に学生を採用しようとしているものの、国防省が一部のドローン操縦者を前線の地上攻撃に派遣したことが分かって、不信を招いている。
「無人システム部隊の採用にはかえって逆効果のPRになった」と、同氏は指摘した。
