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佐賀バルーナーズは、人口約23万人の佐賀市を本拠地とするプロバスケットボールクラブであり、現在はBリーグの最上位カテゴリーに位置しています。

その佐賀バルーナーズが近年力を入れているのが、バスケットボールの枠を超えた地域活動「SAGA Take Action」です。

今回は、Bリーグクラブによるこども食堂・居場所づくりの先進事例として、取り組みの背景や運営方法など、佐賀バルーナーズでSAGA Take Actionを担当する眞柴啓輔さんにお話しを伺いました。

佐賀バルーナーズの眞柴啓輔さん

取り組みの背景

佐賀バルーナーズは2017年に設立され、5年で地域リーグからB3・B2・B1と駆け上がった新興クラブです。今シーズンは集客数でBリーグ全体5位、平均で約5700名を動員するなど、中規模都市でありながら圧倒的な地域密着を実現しています。

しかしクラブが目指したのは、「試合の勝敗」だけではありませんでした。
バスケットボールの枠を超えた地域活動として、地域の人・行政・企業が一体となって社会的価値づくりに取り組む挑戦をしています。

その実践として2025年、県のスポーツ推進組織と合同で「SAGA Take Action」を始動。地域・教育・環境をテーマに毎月アクションを起こし、なかでもこども食堂の取り組みは15回・延べ1,500人以上の参加を生み出すなど、地域に根差した活動として注目を集めています。

「SAGA Take Action」の説明図©SGBL

BALLOONERS CAFE こども食堂

◆ さがっことの出会いと協働のスタート
こども食堂の取り組みは、クラブとしてSAGAアリーナ敷地内(SAGAサンライズパーク)に新設した空間を活用しながら、子どもの居場所づくりを支援するネットワーク「さが・こども未来応援プロジェクト実行委員会(以下さがっこ)」との連携のもとスタートしました。

クラブとさがっこの関係はSAGA Take Action以前からあり、旧知の仲である両代表は試合へのこども招待や地域連携の機会を以前から共有していました。「もう一歩踏み込んだことをしたい」という双方の思いが重なり、新たなアリーナ空間の活用とともに本格的な協働がスタートしました。

◆ 「リレー型」という独自の運営モデル
こども食堂は2025年8月からこれまでに15回(※自主開催等を含む)開催しています。月1〜2回のペースで実施しており、特徴的なのはその運営形式です。1つの団体が固定で運営するのではなく、毎回異なるこども食堂団体が担当する「リレー型」を採用しています。

さがっこが「佐賀バルーナーズのアリーナでこども食堂をやりたい団体」を募集したところ、予想を大幅に上回る手が挙がり、ほぼ毎回異なる団体が運営を担当しました。眞柴さんは最初「近所の団体がいくつか手を挙げてくれればいいかな」と想定していたと言いますが、蓋を開けてみれば8団体が入れ替わりで参加する形になりました。

当日は原則事前申込なし・先着なし・開放型で実施しており、クラブ側からマスコット「バルたん」や選手の来場をあえて事前告知しないようにしています。ファン向けだけのイベントになりすぎないよう、フラットな参加機会を保つための判断です。

◆ クラブと地域団体の役割分担
クラブが持つ「場所・資金調達力・影響力」と、さがっこや各こども食堂が持つ「ノウハウ・人・ネットワーク」を組み合わせるのがこのモデルの肝となっています。クラブ側は「B.LEAGUE×日本財団まちづくり助成」の採択を受け、助成金を活用して運営資金を確保し、活動場所も提供しています。一方で、実際の運営オペレーションは各こども食堂に委ねるという役割分担を行うことで、円滑な運営を実現しています。

こども食堂開催の様子

こども食堂を始めてみて

◆ 「楽しいから行く」に変わった
最も印象的なエピソードの一つが、「佐賀バルーナーズが企画しているから行こう」という動機が、初めてこども食堂に来る親子の後押しになっていることです。

未だにこども食堂は「困っている子が行く場所」というイメージを持っている方もいて、利用をためらう家庭も少なくないとのこと。
しかしスポーツクラブの色がつくことで、“楽しいから行く”という動機で来場できるという声が、こども食堂運営者からも多数寄せられています。

◆ 「告知なし」でも利用者は1,500人以上
告知を最小限にしているにもかかわらず、毎回平均100人前後が集まります。リピーターだけでなく、毎回新しい参加者が多いのが特徴で、15回・延べ1,500人以上という数字は、クラブ側にとっても想定外の規模でした。

「試合への子ども招待枠を用意したイベントでは、数年前は最後までなかなか枠が埋まらなかったのですが、こども食堂を始めてから実施したイベントでは、200人の定員を超え、300人近くが来場するまでになりました。こども食堂を始めてから、地域との関わりの量は明らかに変化しています」(担当者・眞柴さん)

眞柴さん自身も街なかの公園にいると子どもたちから普通に声をかけられるようになったといいます。「佐賀バルーナーズのことをバスケのチームじゃなくて、地域のチームだと思ってもらえるようになったのをすごく感じている」と語ります。

こども食堂での様子©SGBL

今後の展望

◆ バスケのチームから「地域のチーム」へ
地域の認知が変わったことで、地域団体から佐賀バルーナーズへ「一緒にやりませんか」という相談が増えています。佐賀市の大きな祭り「栄の国まつり」でも、障がい者が花火を見やすい環境づくりの場にクラブとしての参加を依頼されるようになりました。

「選手に来てほしい」ではなく「佐賀バルーナーズとして関わってほしい」という依頼が増えていることは、クラブの存在意義が地域の中で変化してきていることを示しています。

◆ 持続可能な財源モデルへ
現在は助成金によって活動資金を拠出していますが、眞柴さんが見据えるのは行政支援に頼らない自走モデルです。従来のアリーナ広告・胸スポンサーといった枠組みに加え、「SAGA Take Actionパートナー」という形で地域企業が社会的価値の創出に直接投資できる枠組みを始めています。

「助成金がなくなっても、地域企業の継続的な支援で回る財源を作ることが次のステップ。そのためにも今の取り組みをちゃんと社会的価値として示していくことが大事になる」(担当者・眞柴さん)

◆ 「佐賀モデル」を全国へ
人口約22万人の佐賀市は、日本に多数存在する中規模都市の一つです。大都市でないからこそできることがあると眞柴さんは語ります。

「佐賀でできるならうちでもできるんじゃないか、と思ってもらえたら嬉しい。大都市型の資本投下ではなく、地域の人・行政・企業が一体となる“ALL SAGAモデル”で成功できれば、同規模の都市のロールモデルになれるという確信があります」(担当者・眞柴さん)

こども食堂での集合写真©SGBL

最後に

「街なかで子どもに声をかけられるようになった」——眞柴さんがさらっと口にしたこの一言が、取り組みの本質を表していると感じました。告知なしで100人が集まり、アリーナがバスケを観に行く場所から「地域のみんなが集まれる居場所」に変わったのも、地域のパートナーがいたからこそ。クラブの影響力と地域団体の想い・ノウハウが掛け合わさることで生まれる価値があると、この取材を通じて改めて実感しました。

株式会社佐賀バルーナーズ
https://ballooners.jp

一般社団法人さが・こども未来応援プロジェクト実行委員会
https://saga-codomo.org/

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