2026年2月に3代目へとフルモデルチェンジしたプジョー 5008。ボディサイズは従来よりひと回りは大きく堂々たる体躯となったが、1.2L直列3気筒ターボハイブリッドでどんな走りを見せてくれるのか。標準仕様の「GTハイブリッド」は受注生産となっているので、実質的なメイングレードである「GTハイブリッド アルカンターラパッケージ」に試乗した。

3008と同様、新しいアーキテクチャー「STLAミディアム」を採用
3代目となる新型プジョー 5008は、ブランドのフラッグシップに位置付けられる3列7人シーターのラージサイズSUV。プジョー 3008のホイールベースを170mm延ばし、リアセクションを拡大したストレッチ版で、このコンセプトは従来モデルから踏襲している。

ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

新型3008と同様に新しいアーキテクチャー「STLAミディアム」を採用したことに伴い、5008もアーキテクチャーから全面刷新、ボディサイズは従来よりひと回りは大きくなり、インテリアスペースも拡大、車格はメルセデス・ベンツ GLCやBMW X3、アウディ Q3といったドイツプレミアムDセグメントに匹敵する。

エクステリアは、伸びやかなサイドビューと高めに構えたリアデザインが特徴で、ヘビーデューティさを残したクロカン系のSUVとは異なる、プジョーらしい洗練さを失わない造形としてまとめられている。

それでもルーフレールを標準装備してSUVとしての機能性を確保し、アウトドア用途や積載ニーズにも対応。都市型SUVの上質感とファミリーユースの実用性を高次元で両立したスタイリングが特徴となっている。

後席2列目のシートバックは40:20:40分割可倒式だが、最大150mmの座面スライドは60:40で行われ、左右ふたりの快適性を重視する形となっている。左右の可倒範囲をずらすことにより、荷室の使い勝手を高めたり、居住性を高めたりと、さまざまにアレンジが可能となっている。

3列目はそれほど広いわけではないが、シート形状は立体的でホールド感、快適性が高められている。3列目シートは完全格納することができる。

プジョーの主力ユニット「1.2L直列3気筒ターボ+48Vハイブリッド」
パワーユニットは1.2L直列3気筒ターボにモーターを組み合わせた48Vマイルドハイブリッド(MHEV)。日本ではコンパクトクラスの「208」から、ミドルクラスの「408」、SUVの「3008」まで幅広い車種に搭載される主力ユニットとなっている。チェーンタイミングベルトやバルブタイミングのコントロールによるミラーサイクル化など、MHEV仕様に向けてのさまざまな適正化が図られた。

もちろん搭載車種にあわせたチューニングも行われており、「5008」ではエンジン本体の最高出力136ps/最大トルク230Nm、モーターは22ps/51Nmを発生し、システム総合出力は145psとなる(軽量な208にはエンジン100ps/205Nm、モーターは21ps/51Nmのパワートレーンを搭載する)。

WLTCモード燃費は18.4km/L。従来型5008に搭載されていた2L 4気筒ディーゼルが16.6km/Lだったので、車両価格や燃料コストを考えると、プジョーの主力ユニットがこのMHEVシステムに移行したのもうなづける。パワーオブチョイスを謳い、ガソリンターボ、ディーゼルターボ、プラグインハイブリッド、BEVなどさまざまなパワートレーンを揃えてきたプジョーだが、現在はこのMHEVが主役となっている。

とはいえ、1.2Lの3気筒で車重1740kgの車格を走らせるのはどうかと心配になるが、モーターのアシストによって発進はスムーズ。その後もストレスなくスピードを乗せて行く。MHEVながらバッテリー容量やモーター最高出力は大きく、力強い走りと従来モデルを大きく凌ぐEV走行を実現している。たしかに、低速域ではググッと押し出されるようなトルクの太さが感じられ、モーターアシストならではの軽快な走りが楽しめる。6速DCTの変速フィールも心地よい。

さすがに上り坂や高速道路の合流でアクセルペダルの踏み込み量は多くなるが、走行モードをスポーツモードにすれば、しっかりとパワーはついてくる。ありあまるパワーで余裕の加速とわけにはいかないが、エンジンを回すことでパワーを引っ張り出してドライブする感覚は、むしろプジョーらしいと感じられる。

もともと小さめのエンジンを回して小気味良く快適に走ることを特長としてきたプジョーだが、いまだに排気量が大きいほど、気筒数が多いほど高級という価値感から抜けきれない日本で、このパワーユニットがどう評価されていくか興味深い。

自動車が大きな転換期を迎え、電動化への道を歩みながらもその過渡期にあるといわれている今、「小さな電動化エンジン」を搭載する5008のコンセプトが注目される。

斬新で先進的なインテリアとプジョーらしい丸くしなやかな乗り味
乗り味もプジョーらしい、丸くしなやかなもので、適度に硬めでスポーティと感じられる。大きな入力をしなやかにいなし、小さな入力が連続する路面でも収まりがよく、リアの動きが安定している。また、挙動が自然で、俊敏すぎず、高速巡航ではゆったりと過ごすことができる。

駆動方式はFFながらきっちりとそのパワーを路面に伝え、SUV=4WDという固定観念をあっさりと超えている。剛性感の塊といった印象のドイツ車とは異なるが、往年のフランス車とも違い、剛性を感じさせるようなキリっとしたシャープな部分も見せる。

インパネまわりのデザインは基本的に3008シリーズと共有。そのアシンメトリックな造形は、前衛的で先進性を感じさせる。

ドライバー正面にはバイザーのない21インチのパノラミックカーブドディスプレイを備えた「プジョー パノラミック iコックピット」を採用、独自の小径ハンドルとの組み合わせでヘッドアップディプレイのような視覚効果を生んでいる

先進的と感じさせながら、ディスプレイの表示や「iトグル」をはじめとしたスイッチ類の配置、操作方法が直感的かつ合理的でわかりやすいのもいい。また、手が触れる部分にはソフト素材やファブリックが使われているのも洒落ている。

アルカンターラパッケージのシートはテップレザーとアルカンターラの組み合わせ。滑りにくく座り心地がよく、包み込むような形状が安心感があるが、着座感はやや固めだ。

5008 GT ハイブリッドアルカンターラパッケージの車両価格は、2026年6月1日の改定で614万円となったが、このクラスの7人乗りSUVとしてアフォーダブルで、日本車と較べてもむしろお買い得と思える。(文:松本雅弘/写真:平野陽)

プジョー 5008 GT ハイブリッドアルカンターラパッケージ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4810×1895×1735mm
●ホイールベース:2900mm
●車両重量:1740kg
●エンジン:直3 DOHCターボ+モーター
●総排気量:1199cc
●最高出力:100kW(136ps)/5500rpm
●最大トルク:230Nm/1750rpm
●モーター最高出力:16kW/4264rpm
●モーター最大トルク:51Nm/750-2499rpm
●トランスミッション:6速DCT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・55L
●WLTCモード燃費:18.4km/L
●タイヤサイズ:225/55R19
●車両価格(税込):614万円

[ アルバム : プジョー 5008 ハイブリッド はオリジナルサイトでご覧ください ]

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