インド科学技術省(MoST)は5月18日、同省科学技術庁(DST)傘下の研究機関であるモハリのナノ科学技術研究所(INST)の研究者らが、強誘電性ポリマーに微量のナノ金を埋め込み、温度変化から電気を生み出す焦電性能を大幅に高める超薄型フレキシブルフィルムを開発したと発表した。研究成果は学術誌Advanced Functional Materialsに掲載された。

(出典:PIB)
開発されたフィルムは、微小な温度変動を電気信号へ効率的に変換できる。スマート光検出器、低品位熱回収装置、ウェアラブル電子機器などへの応用が期待される。
次世代のスマートデバイスや自律型センサーでは、微小な熱変動を利用可能な電気信号に変換できる軽量で柔軟な材料への需要が高い。従来のプラズモン・焦電材料やポリフッ化ビニリデン(PVDF)複合材料でも変換性能向上は示されていたが、多くはミクロン厚のデバイスや制御性の低いハイブリッド界面に依存し、薄型電子機器への適用には制約があった。
ディパンカル・マンダル(Dipankar Mandal)教授が率い、スディープ・ナスカル(Sudip Naskar)氏ら共同研究者を含む研究チームは、電子機器やセンシング用途で広く使われる柔軟なPVDFを用い、少量のナノ金を薄膜の中で「その場形成」する手法を設計した。金・ポリマー相互作用、双極子配向、閉じ込められたプラズモン励起を利用し、薄膜の焦電性能を高める狙いである。
研究者らは、100nm未満の薄膜に六角形のナノ金粒子を取り込み、高度に配列した双極子を持つ、ほぼ純粋なPVDFの極性相を実現した。これは効率的な焦電挙動に不可欠な構造である。
本研究は、ポリマー支持金ナノ粒子の準安定な六方最密充填相と、高度に配列したPVDFマトリックスの極性相を、堅牢な2次元ハイブリッド薄膜に統合できることを示した。薄膜内では、プラズモン、双極子、電子の結合が協調的に働き、焦電性、双極子配列、広帯域光吸収を高める。294~301Kの小さな温度変動範囲で効率的な焦電エネルギー変換を実証し、常温域の熱センシングとウェアラブル・エネルギー回収技術に道を開く成果となった。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
