コーネリア・パーカーの『コルド・ダーク・マター』(Lmaga.jp撮影)
イギリスの作家や作品に焦点を当てる展覧会『テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート』が、6月3日から「京都市京セラ美術館」(京都市左京区)にて開催される。
■ 約90作品が集結!「YBA」とは?
1990年代のイギリスで活躍していたアーティストの総称「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト」(YBA)。同展では、「YBA」に連なる1980年代〜2000年代初頭にかけて制作された約90作品を6つのテーマに分けて展示する。
平安神宮近くの「京都市京セラ美術館 」にておこなわれる『テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート』(Lmaga.jp撮影)
ピカソに並んで20世紀を代表する画家フランシス・ベーコンや、イギリス出身のバンド「ブラー」のジャケットデザインでも知られるジュリアン・オピーをはじめ、50名以上の作家作品が集結する同展。ジャンルを超え、絵画・映像・インスタレーション・写真・彫刻など多種多様な手法で表現された作品を一度に鑑賞できるのが特徴のひとつだ。
『テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート』会場(Lmaga.jp撮影)
第3章では、1990年代のイギリスで巻き起こったムーブメント「ブリットポップ」をはじめとする音楽や広告、アートにまつわる作品が並び、日本にも影響を与えたカルチャーの源に触れることができる。
マイケル・クレイグ=マーティンの『知ること』(Lmaga.jp撮影)
また第6章では、消化器やハシゴなどの日用品をモチーフに選んだ絵画『知ること』を筆頭に、「身近にあるもの」をアートに落とし込んだ社会問題への表現や込められたメッセージにも驚かされる。
■ 社会問題に根差した作品が多数
イギリスの文化や生活を垣間見ることができ、思わずくすっと笑ってしまうようなユーモア溢れる作品もある一方、差別や女性蔑視、戦争や貧困などの社会問題に向き合った作品も多い。
デレク・ジャーマンの『運動失調―エイズは楽しい』ほか(Lmaga.jp撮影)
サッチャー政権時代(1979〜90年)を経て社会における格差が拡大した時代に台頭した「YBA」。1980年代から90年代にかけてはHIV・エイズへの恐れが広がり、同性愛差別がより苛烈になった時代でもある。第4章は病による苦痛や錯乱状態、そして差別に向き合った作品をメインで展示。なかでも力強いタッチとタイトルがインパクトを与える『運動失調―エイズは楽しい』は、いま一度差別や病についての考えを深める作品となるはず。
ヴォルフガング・ティルマンスの『ザ・コック(キス)』ほか(Lmaga.jp撮影)
スタートに先駆けおこなわれた内覧会では、テート美術館の国際連携部長、テッド・マクドナルド=トゥーン氏が登壇。東京会場に続いての開催となった同展だが、「京都の会場では、より親密な雰囲気や作品の強度を身近に感じられるような展示空間になったと感じます」とコメント。
サラ・ルーカス の『煙草のおっぱい(理想化された喫煙者の椅子II)』(Lmaga.jp撮影)
なかでも、コーネリア・パーカーの『コルド・ダーク・マター』を挙げ「非常に強いインスタレーションの作品ということで、ご覧いただきたいと思っております」と力強く語った。ちなみに東京、京都展以降の巡回は予定していないとのことで、全国で鑑賞できるのは現在ここのみとなっている。
「テート美術館」の国際連携部長、テッド・マクドナルド=トゥーン氏(Lmaga.jp撮影)
『テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート』は、6月3日から9月6日まで開催。同展のアンバサダーには細野晴臣と齋藤飛鳥が就任し、音声ガイド(650円)でその魅力をナビゲートする。また、イギリスに縁のあるアーティスト・Vaundyが描き下ろした公式テーマソング『シンギュラリティ』も現在配信中。チケット料金は大人2300円、大学生1500円、高校生900円。
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『テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート』
期間:2026年6月3日(水)~9月6日(日)※月曜休、7月20日は開館
会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ(京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124)
時間:10時~18時(入館は閉館の30分前まで)
料金:大人2300円、大学生1500円、高校生900円、中学生以下無料
取材・文/つちだ四郎 写真/Lmaga.jp編集室