日本の公立小学校とは
「子どもはインターナショナルスクールに入れたい」
「日本の公立校は心配……」
SNSにはそんな声が少なくない。実際、少子化でこどもの数が減少しているにもかかわらず、減少している子の多くは公立校だ。私立中学に至っては、前年比より増加している。
そんな中、イギリス人の父と日本人の母を持つドキュメンタリー監督の山崎エマさんが、こんなタイトルの書籍を刊行した。
『それでも息子を日本の小学校に通わせたい』(新潮新書)

エマさんは6歳のときにイギリスで公立の小学校に通ったのち、大阪の公立小、神戸のインター中学を経てアメリカの大学に進んだ。そんなエマさんが書籍のタイトルのような考えに至ったのはなぜなのか。
ぜひ書籍を読んでいただきたいが、「なぜ」のヒントになる映画がある。
それが、エマさんがアカデミー賞短編ドキュメンタリー部門にノミネートされた映画『小学校~それは小さな社会~』だ。
6月28日日曜日、FRaU SDGs edu こどもプレゼン・コンテストの2026年HPが更新されるタイミングで、「教育って何だろう」を考えるきっかけになる本作の上映会&トークイベントの開催が決定した。
映画を見て大きな影響を受けたというFRaUweb編集長の新町が、イベント開催にむけて本作をご紹介する。
アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門にノミネート
山崎エマさんが監督をつとめた長編ドキュメンタリー映画『小学校~それは小さな社会~』は、世田谷区の公立小学校で1年にわたって撮影されたものだ。本作はドキュメンタリー映画ながらロングランを続け、また、そこから編集した作品が短編映画『Instruments of a Beating Heart』で、本作が第97回アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門にノミネートされた。
オスカーのレッドカーペットでの山崎エマさん(写真右)と、ドキュメンタリーに登場したときは1年生だったあの女の子と!映画を見た後にこの写真を見ると胸が熱くなります 写真提供/山崎エマ
本作が国を超えて賛辞を得ている理由を、エマさんは『それでも息子を日本の小学校に通わせたい』にて以下のようにつづっている。
”なぜこれらの作品はここまで評価されたのか。それは、日本の小学校が世界でも稀に見る独自の教育を実践しており、その姿が国際的な関心を集めているからだと思います。”
そして教科学習のみならず、掃除・給食・係活動や行事など、日々の生活そのものが教育の一環として位置づけられていることで、勉強を超えた学びが作られていると続けている。コミュニティの一員としてどうあるべきかを考えることができるようになっているというのだ。それをエマさんは「12歳になる頃には、日本の子どもは“日本人”になっている」と表現している。
© Cineric Creative / NHK / Pystymetsä / Point du Jour
確かに、日本は時間に正確な国だとか、清潔な国だと海外からいらした方に驚かれることがある。予定時間にきちんと来る電車、時間ごとに指定でき、かなり正確な宅配便、きれいな公衆便所、きちんと並んで使っているエスカレーター……そういう「きちんとコミュニティで生きる」ための「当たり前」の原点が、日本の小学校での教育にあると山崎さんは「体感した」ということなのだ。
6歳から親元を離れてイギリスの公立小学校で学び、その後大阪の公立小学校で学び、中学からは神戸のインターナショナルスクールに通ってNY大学に進むという多様な教育をうけてきたからこそわかることなのだろう。
「規律を守る=自由な発想を消してしまう」と言い切れるのか
映画『小学校~それは小さな社会~』で印象的なエピソードのひとつが、1年生が新1年生を歓迎する入学式で行う音楽演奏会のオーディションやリハーサルだ。お子さんがいない人でも、自身が経験をしてよくわかると思う人がきっと多いことだろう。つい最近まで幼稚園や保育園に通っていた子が、勇気をふりしぼってオーディションに挑み、うまくいったり、いかなかったり……それだけで涙腺が緩んでしまう人もいるだろうが、それよりもその子どもたちに向き合う教師の姿を見ながら、様々な意見も出るのではないだろうか。
© Cineric Creative / NHK / Pystymetsä / Point du Jour
なにより、撮影をした方々が1年にわたり学校に通い続け、「撮影されることを意識した姿」でない学校の記録をしていることが素晴らしい。
”そこにいて撮影をしていることが当然”という空気を生み出したのだろう。
また、本作を見ていると、自由な発想=個人の好きなようにやっていい「だけ」だろうかと考えさせられる。日本の公立小学校の教育は軍隊のようだという意見も出るが、時間をはじめとした約束を守ること、丁寧に接することは自由な発想を阻害することになるのだろうか。私たちは社会に出てさまざまな規律を守って生きている。それを自然な形で身に付けることができるのではないか。
© Cineric Creative / NHK / Pystymetsä / Point du Jour
日本の教育が手放しでいいとは言い切れない。「規律を守る」だけが重要視されて、子どもをしばりつけてしまった事例に、筆者自身直面したこともある。でも「規律を守るようにできる教育」は捨てたものではないんじゃないか?「日本の公立小学校のいいところ」を軽んじてしまったら、失ってしまうものが多いのではないか。
エマさんは本書の中で「日本と海外のいいとこどり」について触れてもいる。
「日本の公立小学校にはいかせたくない」とやきもきする前に、大切なことも考えさせてくれるのだ。
「自由な発想」
FRaUは、2022年から「FRaU SDGs eduこどもプレゼン・コンテスト」を開催している。応募資格は小学生~高校生まで、テーマは「2030年に創造したい未来」でそのアイデアを自分の好きな形で応募するものだ。
このコンテストを開催した理由は、「アイデアはお金になる」「学びは教科だけではない」「受験がすべてではない」と伝えたかったことが大きい。そして「子どもたちの才能に触れたい」という思いもある。
子どもが自立した大人になり、生き生きと生きるために大人はどんなサポートができるのか。映画を見たうえで、多様な教育を体感した山崎さんの言葉を聞くことで、「私たち大人ができること」を考えることができるだろう。
山崎エマEma Ryan Yamazaki
神戸生まれ。米アカデミー賞・エミー賞にノミネートされたドキュメンタリー監督。日本とイギリスの血を引く大阪育ち。19歳で渡米しニューヨーク大学で映像制作を学ぶ。日本人の心を持ちながら外国人の視点が理解できる立場を活かし、人間の葛藤や成功の姿を親密な距離で捉えるドキュメンタリー制作を目指す。
⻑編初監督作品『モンキービジネス:おさるのジョージ著者の大冒険』は、2017年ロサンゼルス映画祭でワールドプレミアののち、翌年日本で劇場公開された。
最新長編作『小学校〜それは小さな社会〜』では、日本の公立小学校での1年間に密着。1年生と6年生に焦点を当て、「小学校という名の社会」に入り生き方を学んでいく様子を観察。2023年の東京国際映画祭でプレミア上映され、ドイツのNIPPON CONNECTION、ニューヨークのJAPAN CUTSなど、欧米最大の日本映画祭で観客賞などを多数受賞し、2026年米テレビ界のアカデミー賞とされるエミー賞にノミネート。 日本では13館で劇場公開された後、100館以上に拡大公開され、広く話題を呼んだ。
『小学校〜それは小さな社会〜』から生まれた短編『INSTRUMENTS OF A BEATING HEART』は、第97回米アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門にノミネートされ、山崎は日本を題材にした作品で同部門にノミネートされた初の日本人監督となった。
前作の『甲子園:フィールド・オブ・ドリームス』では高校野球を社会の縮図と捉え、夏の100回大会の年に大谷翔平の母校・花巻東を含む2校に密着。高校野球連盟から特別な許可を得てNHKとの国際共同制作として挑んだ。2020年、米スポーツ局ESPNで全米放送され、日本でも劇場公開。ニューヨークタイムズ紙の「海外映画おすすめトップ5」にも選出されている。
2026年には、初の著書『それでも息子を日本の小学校に通わせたい』(新潮新書)を出版。各国の多様な教育を受けてきたドキュメンタリー監督が自身の経験から「“当たり前”の中にある価値」を綴る。
FRaUこどもコンテスト第5回開催キックオフイベント
山崎エマさん『小学校~それは小さな社会』上映会&トークイベント

◾️イベント詳細・応募方法◾️
プログラム内容:
1)映画『小学校~それは小さな社会』上映
掃除や給食の配膳などを子どもたち自身が行う日本式「普通の」教育。これらが「TOKKATSU(特活)」として海外で注目が高まっている。山崎エマさんらスタッフが1年間、150日、700時間(監督が現場で過ごしたのは4,000時間)に及ぶ撮影と1年を要した編集を経て完成した一作。
2) 山崎エマさんに聞く映画撮影の裏側「日本の公立小学校に息子を入れたい理由」
開催日時:2026年6月28日(日)
・14:00〜16:00(映画上映99分+トークイベント30分)
※当日のタイムスケジュールは、参加者のみなさんにお送りする事前のご案内にてお伝えいたします。
会場:講談社
〒112ー8001 東京都文京区音羽2ー12ー21
https://www.kodansha.co.jp/company/about#company-profile
募集人数:100名様(ペア、単独、親子での参加も可能)
※当日、突然のご参加は会場の隻数の関係上お断りさせていただきます。
対象: 小学生以上
※未就学児不可。ただしお子さんが声をあげてしまう場合は会場の外に出ていただく可能性もございます。
参加費:無料
申込方法:下記の応募フォームに必要事項を記載の上、ご応募ください。
1)FRaUSDGs会員登録をする(登録無料)。
※本イベント応募には事前に FRaU SDGs会員への登録が必要となります。 ▶︎▶︎登録はこちら◀︎◀︎
※FRaU SDGs会員とは、FRaUとともに、 SDGsの認知拡大や実現を目指すチームです。
▶︎▶︎もっと詳しく知りたい方はこちら◀︎◀︎
2)応募フォームから申し込みをする。
▶︎▶︎申し込みはこちらから◀︎◀︎
応募締切:2026年6月11日(木)23:59まで
※当選の連絡は6月12日(金)〜14日(日)を目安にご登録いただいたメールにお送りします。
※当選連絡が届いた方は6月15日(月)23:59までに参加有無のご連絡を返信いただけるようお願いします。返信いただけない場合は辞退となってしまうのでご注意ください
※当選後、諸事情によりキャンセルする場合も6月15日(月)23:59までにメール(frau_sdgs.contest@kodansha.co.jp)にてお知らせください。
注意事項:
※応募にはFRaU SDGs 会員への登録(大人)が必要となります。
※当日の参加者の撮影や録画は禁止です。
※応募が参加人数を上回った際は、厳正なる抽選の上、当選者を決定いたします。
※イベント当日、会場内の模様や参加者の様子を、FRaUweb公式SNSでご紹介させていただく場合がございます。
※写真撮影が入りますので、あらかじめその旨をご了承ください。
※体調の優れない方はご遠慮ください。
※事前の出席確認、また緊急の場合には、メールまたは電話にてご連絡させていただく場合がございます。
※イベント内容は予告なく変更する場合がございます。
※当日の進行状況により、終了時間が多少前後する場合がございます。
※急な体調不良など特別な理由がない限り、必ず参加できる方のみご応募をお願いいたします。
※参加者の会場までの移動時などのトラブルには責任を負いかねますのでご了承ください。
※応募受付完了後、FRaU SDGs プロジェクト(frau-sdgs@uniikey-cloud.com)から自動送信メールが届きます。上記からのメールを受信できるよう設定をお願いいたします。自動送信メールが届いていないという方は、お使いのメールサービスの迷惑メールフォルダなどをご確認ください。また、当選のご連絡などは(@kodansha.co.jp)からのご案内になります。併せて受信できるよう設定をお願いいたします。
※抽選の経過や結果などに関するお問い合わせにはお答えできません。
※ご本人の承諾を得ずに住所・氏名などの個人情報を第三者に提供することはありません。個人情報の取り扱いについて
※会場を走るなどの行為はご遠慮願います。
※指定された場所以外の入場はご遠慮ください。会場内の展示品・施設・什器・備品等の汚破損がないようご注意ください。
※当選権利はご本人様のみ有効です(転送不可)。
※本当選通知は非売品です。複製・譲渡・転売・アップロードすることを禁止します。金券ショップ、ネットオークションでの売買は違法ですのでご注意ください。また、本当選通知の転送、共有は固くお断りいたします。
※会場までの交通費はご当選者様のご負担となります。また、駐車場はございません。公共交通機関をご利用ください。
※当日の詳細は予告なく変更となる場合がございます。
※事故防止等の観点から、スタッフの指示には必ず従ってください。スタッフの指示に従っていただけない場合、入場をお断りする場合や、イベントの運営を行うために必要な適宜の措置をとる場合がございます。
※天災や事故などが発生した場合は途中でも中止する場合がございます。
※上記ご注意点に従わずに発生した事故・トラブルに関しましては、主催者等運営側では一切責任を負いません。
※体調の優れない方は、ご入場をお控えください。
※予告なくイベントが中止、日程や時間が変更となる場合がございます。
