自然災害が激甚化するなか、公的防災組織の先駆けとして知られるドイツのTHWがメルセデス・ベンツの「ウニモグ」を大量発注した。ウニモグは東日本大震災の際には日本に贈られ、被災地支援に活躍した。
オフロードから都市部まで、高い走破性を誇るウニモグだが新型はさらに馬力を高めた。洪水、山火事、大規模災害など、災害対応において車両の活動できる範囲を広げるオフロード車の重要性が増している。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck AG・THW
ドイツの防災組織が「ウニモグ」を大量発注
THWに納車される新型ウニモグU5025
政府が運営しボランティアが所属する公的な防災組織(民間防衛)の先駆けとして知られるドイツのTHW(テーハーヴェー)が、災害救助用の緊急車両としてメルセデス・ベンツの新型「ウニモグ」を大量発注したようだ。
66台の新型ウニモグU5025が2026年中に納車される。エンジン出力を従来より21hp高めた新型ウニモグは、メルセデス・ベンツのヴェルト工場でシャシーを製造し、同社の改造パートナーとなるF&B社がボディを架装する。
東日本大震災の際には当時のダイムラー・グループから日本向けにウニモグが提供され、被災地支援に活躍した。地震、洪水、山火事など、世界的に災害が多頻度・激甚化しており、インフラが破壊されるような大規模災害時にも活動できる車両の重要性が増している。
THWのザビーネ・ラックナー長官は「2021年の集中豪雨によって発生した洪水により、迅速な被災者支援のためにオフロード走行が可能な車両がいかに重要であるか、改めて痛感させられました。66の支部全てにウニモグU5025を導入し、支援物資の輸送と救助活動への対応能力を強化します」と話している。
いっぽう、メルセデス・ベンツ・スペシャル・トラックスのダニエル・ジッテル氏は「パートナー企業のF&Bとともに、THWが必要している車両を納入することで、市民の保護に貢献します。ウニモグはアクセスが困難な状況でも支援を届けることができます。このプロジェクトは、民間防衛部門において信頼できる技術と緊密な連携がいかに重要であるか示すものです」と話した。
あらゆる任務に対応するため標準化された車両コンセプト
THWに納車される新型ウニモグU5025
これらの車両は統一プラットフォームで設計され、任務内容に応じた装備品も標準化されている。緊急車両であることを示す前後の青色灯、無線機、バックカメラのほか、消火器、照明保護グリル、油圧システムなどを備える。
過酷な運用条件を前提に設計されたウニモグU5025は、最大水深1200mmでの渡河のほか、最大500mmの車軸のアーティキュレーション(屈折)が可能。門型アクスルにより最低地上高はディファレンシャル下で480mmあり、浸水した地域や森の中など極めて困難な地形でも走行可能でき、こうした場所でも車両の運用を可能にする。
動力は252hpと1000Nmを発揮するOM934型4気筒ディーゼルエンジンで、馬力は従来のモデルより21hp強化された。
ねじり剛性の高いフレーム設計と門型アクスル、密閉型のドライブシャフトは過酷な環境や冠水した場所での走行に適しているほか、車体下部には保護プレートを備えるため地面や障害物と接触した後も走行を続けることができる。また、全高を3.4m未満に抑え都市部での使いやすさにも考慮した。
ボディはフラットベッド(平ボディ)とローダークレーンが搭載される。標準化された10フィート交換コンテナ用のツイストロックを備え、サイドパネルは取り外し可能。2つのアクセスラダーは乗り降りを容易にするほか、必要に応じて人や動物の救助にも活用できる。クレーンはHMF社製で、4点アウトリガーシステムで車体の安定化を図っている。
積載区画には発電機やポンプ、その他任務に必要な機材を搭載し、様々なモジュールを柔軟に運搬することで多くの要件に対応する。
THWは昨年、メルセデス・ベンツの「アテーゴ」をベースにした機材運搬トラックを240台以上発注するなど、装備の近代化を進めている。新型ウニモグとともに、洪水や山火事、大規模災害への対応を強化する。
【画像ギャラリー】THWが発注したクレーン付き新型ウニモグを画像でチェック!(14枚)
