ユニークな地域資源をいかす商店街は、それだけで訪れたくなるものだ。

■「映画の街」アピール(大映通り)

存在感を放つ大魔神像。御舘さんは「ここは宝の山だと思います」と話す(京都市右京区で)存在感を放つ大魔神像。御舘さんは「ここは宝の山だと思います」と話す(京都市右京区で)

 大映通り商店街(京都市右京区)の食品スーパー前にそびえ立つ高さ5メートルの像は、まさに街の番人。かつてそばにあった大映京都撮影所の特撮映画に登場する大魔神だ。怒りの表情を浮かべた緑色の顔にさびた
甲冑(かっちゅう)
姿で「日本のハリウッド・太秦」をPRしている。

 振興組合の
御舘(みたち)
治さん(71)が通りを一緒に歩いてくれた。「今はマンションやけど、この辺に大映の撮影所があって――」。商店街は大映、松竹、東映の各撮影所に囲まれていた。ファン憧れの地だが、業界の衰退に合わせて住まう関係者も減り、商店街も少しずつにぎわいを失った。

 それでも、御舘さんは「『ないものねだり』ではなく、『あるものみがき』が大切」と言う。1990年代の後半、空き店舗に悩む振興組合は何かにつけて「映画の街」をアピールした。映画会社から有償でフィルムを借りて、空き店舗で開いたミニシアターは想像以上に好評だった。

 映写機の形をした街路灯やフィルム柄の路面も整備し、統一感を演出。そうこうするうち、山田洋次監督の「京都太秦物語」(2010年)の話が浮上し、舞台にもなった。「映画で振興を図る商店街が映画になる。究極の形です」。勢いそのままに2013年、大魔神像を設置した。

 近年、太秦発の時代劇が再注目されている。振興組合も「熱気が冷めぬうちに」と、かつて映画人が暮らした空き家を地域資源として活用できないか――などと思い描く。

 「京都を訪れる人の1%でも来てほしい。そのために商店街にも新しいストーリーが必要やから」

■蔵元と持ちつ持たれつ(伏見大手筋)

伏見大手筋のからくり時計。正時になると動きだし、買い物客を楽しませる(京都市伏見区で)伏見大手筋のからくり時計。正時になると動きだし、買い物客を楽しませる(京都市伏見区で)

 酒どころにある伏見大手筋商店街(京都市伏見区)は、日本酒との関わりは切り離せない。商店街名物の一つ、からくり時計は銘柄入りの
酒樽(さかだる)
が回転すると、伏見の街を形作った豊臣秀吉や酒造りの
杜氏(とうじ)
の人形が出てくる。蔵元と持ちつ持たれつの証しだ。

 商店街は13年、日本酒で乾杯する人数のギネス記録挑戦をきっかけに、集客と日本酒の普及を目指して伏見酒造組合と本格的な交流を始めた。晩秋の「伏見の清酒まつり」は昨年に10回目を迎えた。伏見の蔵元が一堂に集う催しで、酒造組合と共催だ。

 催しには、銘酒を求め府内外から毎回延べ4000人以上が訪れ、商店街の飲食店も屋台化して相乗効果を生んでいる。酒造組合からも「伏見の酒をアピールするのにもってこいの場だ」と好評だ。

 商店街にある酒店「吟醸酒房油長」では、伏見の全蔵元の酒をそろえる。こうした地元ならではの催しや品ぞろえに、振興組合の土田信行さん(60)は「商店街の強みだと自負している。伏見はお酒のまちと知って来訪者が増えたらいい」と話す。

 そこにしかない体験や味もまた、商店街に人を引きつける力になっている。

メモ 

 大映通りは、嵐電太秦広隆寺―帷子ノ辻間の南に並行する。約650メートルに50店舗以上が集まり、三吉稲荷神社には「日本映画の父」の牧野省三の碑がある。

 伏見大手筋は、約400メートルに約120店舗。豊臣秀吉が伏見城を築く際、大手門(大手広庭)に通ずる道として誕生したとされる。京阪伏見桃山駅などが近い。

カット・京をあきなう0513統京都カット・京をあきなう0513統京都
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