文化庁、宮内庁、読売新聞社による「紡ぐプロジェクト」の文化財修理助成事業で、助成対象となった国宝、重要文化財の修理が続々と完了している。このうち、国宝2件、重要文化財1件について、修理の詳細をリポートする。
和歌山・高野山で守り伝えられてきた平安仏画の傑作、国宝「阿弥陀聖衆来迎図(あみだしょうじゅらいごうず)」が、2021年度から約5年間にわたる修理を終え、〔2026年〕3月25日に保管先の高野山霊宝館に戻された。
迎図は3幅からなり、中央の阿弥陀如来が雲上の31体の聖衆菩薩(ぼさつ)を従え、極楽浄土を目指す往生者を迎えに来た様子が描かれている。縦各約2・1メートル、横幅計約4・2メートルの巨大な画で、かつては比叡山にあった。織田信長による比叡山焼き打ちの際に難を逃れ、持ち出された可能性があるという。現在は、高野山の住職らでつくる「有志八幡講」が所蔵する。
この日、同館に修理後の来迎図が掲げられ、関係者に披露された。有志八幡講の住職らによる記念法要の後、修理経過をたどる画像も交えて技師による解説が行われた。
今回は、絵画が描かれた絹(本紙)を支えるために裏に貼った紙の接着力が低下したり、絵の具が剥落(はくらく)したりするなど、経年劣化が見られたため、長期の修理が続いていた。
文化財の修理実績が豊富な坂田墨珠堂(大津市)が担当し、解体から、クリーニング、絹の補修、剥落止めなどを実施。裏打紙については、直接貼った古い「肌裏紙」を取り除き、新しい肌裏紙と、さらに「増裏紙」を貼って補強した。
同館の大森照龍館長(65)は「修理前に比べ、すごく鮮やかになった」と喜び、「湿気が多い高野山の環境になじむまで1~2年は収蔵庫に保管し、それ以降は、できるだけ多くの皆さんに見てもらう機会を設けたい」と話していた。
(2026年5月5日付 読売新聞朝刊より)
