2025年12月22日 午前7時30分

 【論説】ネコと人が共有できる土産物開発、えちぜん鉄道車両でお酒を楽しめるバー運営、三国の食材を使った「麻辣湯(マーラータン)」の店舗展開など、多彩なアイデアに興味が引かれた。坂井市の三国湊(三国町の旧市街地)の活性化を目指し、事業化ノウハウを学ぶ市内外の12人が12月上旬、中間発表として各自の案を披露した。市場調査などを踏まえ、来年3月の発表会までにどこまで磨き上げられるかに注目したい。

 三国湊は北前船で栄えた古い街並みの面影が残り、趣がある。ただ、この地域も住民の高齢化と人口減少で空洞化が進む。まちの魅力を後世へと受け継ぎ、次世代のまちづくりを担う人材をどう育てていくか。そんな課題に向き合い8月に始まったのが、12人が研究員として取り組む三国湊共創プロジェクトだ。

 プロジェクトは市とNTT西日本、社会人向け大学院の事業構想大学院大学(本部東京)の連携事業。12人は公募に応じて参加した。講義やフィールドワーク、各自のビジネス経験などを踏まえ、現在、具体的な事業計画案作成段階にまでたどりついた。

 中間発表会では、男性研究員が、えち鉄からの景色を生かした「楽しめる移動手段としての活用」、「夜間の滞在価値の向上」などを目的に、車両内でのバー運営を提案した。講師からは「今あるビア電との差別化はどうするのか」などの指摘があった。電車を降りた後、飲食店にどう誘導するかも課題に挙げた。「かわいらしいカップ酒を開発してほしい。そこで飲むと最高だと情報発信できる(美しい景観などの)動画作成もしてほしい」といったアドバイスもあった。

 「ぶっ飛んだアイデアを期待している」という市職員を驚かせたのは、ネコのペットホテルを運営している男性研究員のアイデア。「ネコ好きが本当に欲しい土産物がない」「実はネコへの土産物の方がうれしい」とし、人とネコが「分けて食べられる」「一緒に食べられる」商品の開発を提案。ネコ目線の動画作成案も披露した。

 講師陣から指摘された課題を乗り越え、事業案の実現可能性を探るこれからが正念場だ。「講師陣の指導はこれから一層厳しくなり、3月の発表会では、がらりと内容が変わっている可能性もある」と市職員。三国湊の活性化プロジェクトは観光客増加だけが目的ではない。三国湊の人々の営み、文化、歴史にも目を向けた事業案が期待される。

 研究員の多くが坂井市外からの参加。三国湊の魅力を知る上で住民らを訪ね提灯(ちょうちん)作りの苦労を学び、太鼓を体験するなどのフィールドワークを重ねた。この学びを生かし、新たな魅力を創出してほしい。

Share.