フランスのルコルニュ首相は14日、国民議会(下院)での演説で、政治的安定のための最終手段として、マクロン大統領の主要な経済政策の一つである年金改革の適用を一時停止することを提案すると述べた。政権と来年度予算の議会通過が危うい状況の中、譲歩の姿勢を示した。

  ルコルニュ氏は「2023年の年金改革を、大統領選挙後まで一時停止することを議会に提案する。今から28年1月まで、定年年齢は引き上げられない」と述べた。マクロン氏の年金改革の一環で、フランスでは23年、定年を30年までに62歳から64歳まで段階的に引き上げると決めた。

Sebastien Lecornu

フランス下院で演説するルコルニュ首相(10月14日)

Photographer: Thomas Samson/AFP/Getty Images

  演説に市場は好反応を示し、フランス経済の影響を最も受けやすい企業で構成される、バークレイズのフランス株バスケットは0.6%上昇した。建設や不動産株が上昇をけん引し、銀行株も好調で、ソシエテ・ジェネラルが1.4%上昇した。

  マリーヌ・ルペン氏の極右・国民連合(RN)と極左政党は、16日朝に行われる不信任投票で、ルコルニュ氏の失脚を図ると宣言している。下院の多数派工作の鍵とされる社会党は、年金改革法が棚上げになる場合にのみ、不信任決議で政府を支持するとしている。

  ルコルニュ氏は、自身の唯一の使命は予算成立だとしてきたが、政府崩壊を回避するためには、法案やその他の政策に関して議会の影響力を受け入れざるを得ないと認めた。同氏は「フランスには予算が必要だ。なぜなら遅滞なく講じなければならない緊急措置があるからだ」と訴えた。

  年金改革の停止は、マクロン氏の経済政策や、労働時間を増やして成長率を上げ、公共財政を立て直すという、同氏が繰り返し唱えてきた方針の象徴的な敗北を意味する。

  レスキュール経済・財務相によると、年金改革の完全な凍結には来年4億ユーロ(約704億円)、2027年には18億ユーロの費用がかかる見込みだ。

  ルコルニュ氏の政府は、14日に内閣に示した予算案で、財政赤字を国内総生産(GDP)比4.7%に縮小するとしている。前任のバイル氏の4.6%より縮小幅を若干減らした。今年の財政赤字は5.4%の見通しだ。

原題:French Premier Lecornu to Propose Suspending Pension Reform Law(抜粋)

— 取材協力 Blaise Robinson

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