公開日時 2025年10月05日 15:04更新日時 2025年10月05日 16:46

保護者カスハラ、東京都対策検討 教員負担重く、条例契機

 保護者のカスタマーハラスメント防止策を話し合った東京都の有識者会議=8月、東京都庁

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共同通信

 4月に全国初のカスタマーハラスメント(カスハラ)防止条例を施行した東京都で、保護者らによる教員への過度なクレーム対策の検討が進められている。理不尽な要求で教員が心身に不調を来して退職に追い込まれるケースは後を絶たず、各地の自治体もマニュアルなどを策定。専門家は「学校が保護者や外部に向けて事前に対応方針を公開すれば未然防止につながる」と話す。

 都教育委員会は4月、保護者対応の実態を探るため、都内の公立学校教職員を対象としたアンケートを実施。回答者の22%が保護者らから長時間拘束や暴言、脅迫などを受けた経験があるとした。影響を尋ねると、時間外労働の増加が最も多く、仕事の意欲低下、心身の不調が続いた。

 関東地方の中学校に勤める30代の男性教員は、トラブル対応をきっかけに同僚が心を病むケースを目にしてきた。「保護者に遭遇するのが怖く、勤務校周辺を1人で歩くことができなくなった人もいた」と明かす。

 5月には、東京都立川市立小学校で、男2人が学校に侵入、教員らを暴行してけがをさせる事件が起きた。2人は児童間のトラブル対応に不満を持った保護者から相談を受け、学校を訪れたとされる。

 4月施行のカスハラ防止条例では、教育現場での過度な要求も対象とされた。都教委は条例を踏まえ、研究者や弁護士らが防止策を話し合う有識者会議を設置。学校関係者からヒアリングを行い、会合では「解決が困難な保護者対応が増加している」「カスハラに発展させないよう、教職員にも対応スキルの向上が必要」などの意見があった。年内にガイドライン作成など対応策を決める。

 大分県津久見市や、都と同様にカスハラ防止条例を制定した北海道の教委は対応マニュアルを策定。三重県教委は電話でのクレームを記録するため、県立学校で通話録音機能の整備を進める。担当者は「過度な要求の抑止が狙い。教職員を守ることにつながれば」と話す。

 関西大の池内裕美教授(社会心理学)は「保護者の訴えがいじめ発覚の端緒になることもある。全てをカスハラと決めつけず、意見を丁寧に見極める姿勢が必要だ」と述べた。

 東京都のカスハラ防止条例 客が従業員らに理不尽な要求をするカスタマーハラスメント(カスハラ)を禁じた条例。東京都で昨年10月に全国で初めて成立し、今年4月に施行された。カスハラを「著しい迷惑行為であって、就業環境を害するもの」などと定義。一方で、正当な要望や意見は業務改善に資するとして、顧客の権利を不当に侵害しないことなどを求める。学校など教育現場も対象としており、罰則はない。同様の条例は北海道、群馬県なども制定している。

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