今年のカンヌライオンズは、96カ国から応募総数26900点、世界中から15000人ほどの参加者が集まり、世界の広告業界 / マーケティング業界 / メディア業界 / クリエイティビティ業界の熱気が感じられた。

数々のセミナー(200以上と言われている)も、カンヌライオンズの大きな魅力の1つだ。なかでも今年いちばん印象に残ったものは、公式アプリのプログラムにも“Festival Opening Seminar”と書かれている、アップル社のマーケティング担当Vice PresidentのTor Myhren氏によるセミナーだった。

その題名は、『Human after All(結局のところ、ヒトだろ、ヒト!)』というものだ。そこで彼が放った「AIは広告を殺さないが、しかし救いもしない。結局は、我々自身が何とかするしかないのだ」という趣旨のフレーズは、すでに名言として、カンヌライオンズ公式のラップアップ(総括レポート)を始め、多くの人が紹介している。

◾️難題に“広告的機知”で一矢を!

目立った事例の中で最初に気になった傾向は、「難題に“広告的機知”で一矢を!」というものだった。

今日われわれを取り巻く世界は、社会課題とも呼べないような困った“難題”で溢れかえっている。例えば、メキシコの人々にとって「メキシコ湾がアメリカ湾に改名された」という問題などは、その典型だろう。アメリカのトランプ大統領が突然そう発表し、グーグル社までが追随し、グーグルマップ上の当該地域の名称もアメリカ湾に変更されてしまう。

そうした“暴挙”に対して、“広告的機知”を用いて一矢報いた痛快な事例が、メキシコのテカテビールによる「The Gulf of Mexico Bar」である。

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