急激に重症化し、致死率が約3割に上る「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」について、原因菌を攻撃する白血球の働きを助ける仕組みを発見したと、神戸大などのチームが発表した。治療薬の開発につながる可能性があるといい、論文が国際科学誌に掲載された。 溶血性レンサ球菌(溶連菌)はありふれた細菌で、99%以上の患者はのどの炎症など軽症で済む。
 ただ、ごくまれに菌が血液中に入り込み、急速に症状が悪化して手足の
壊死(えし)
や多臓器不全を引き起こすことがある。これが「劇症型」で、50歳以上に多い。国立感染症研究所によると、今年は5月5日までの患者数は801人と、過去最多の2023年(941人)を上回るペースとなっている。
 チームは、溶連菌が作り出し、白血球の免疫機能を妨げる酵素に注目。この酵素の働きを弱める化合物を発見した。化合物を塊状にして溶連菌と一緒に血液中で培養すると、菌の増殖を4割ほど抑え込めたという。化合物が酵素と結合し、白血球の免疫機能を助けたとみられる。 ただ、化合物には細胞をがん化させる作用もあるため、今後、同様の働きがある安全な化合物を探す方針だ。現在、結合の仕組みを分析中で、丸山達生教授(応用化学)は「結合部分の詳しい構造が分かれば治療薬開発のヒントになるはずだ」と話す。 溶連菌に詳しい大阪大の山崎晶教授(免疫学)の話「新たな治療のターゲットを示した点は興味深い。溶連菌が体の組織を壊す仕組みは今回の酵素を含めて複数あり、効果のある薬を組み合わせて使えるようになれば有効だ」

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