すらりとした立ち姿。どこか
愁(うれ)
いを帯びた
瞳(ひとみ)
。宝塚歌劇団を退団してから5年を経ても、七海ひろきさんのオーラはそのままだ。

いじめに耐えかね、すべてを断ち切りたいと思った中学時代…サヘル・ローズさんを救った養母の言葉

 漫画界の
巨匠(きょしょう)

石ノ森章太郎(いしのもりしょうたろう)
さんの代表作「サイボーグ009」が、作品誕生から60年の今年、初めて2.5次元舞台となる。その主人公、「009」こと島村ジョーを演じる。(読売中高生新聞4月26日号掲載、購読は
こちら

きっかけは「衝撃の演技」七海ひろきさん七海ひろきさん
 
戦闘(せんとう)
に使う目的で人間から改造されたサイボーグ戦士9人について描かれる物語。島村ジョーは、悲しいいきさつでサイボーグにされた少年だ。

 
凜(りん)
としたたたずまいと切なげな表情は、ジョー役にぴったり。「普段の私は凜としているというより、ほわっとしていてのんびり動くんです」と語るが、役作りのためにボクシングジムに通い、アクションの腕を
磨(みが)
いているとか。「
殺陣(たて)
以外のアクションに
挑(いど)
むのは初めて。筋トレを頑張り、舞台上で最大限速く動けるようにしたいです」と意気込む。

 タカラジェンヌを目指したのは小学生の時。テレビで宝塚歌劇団の元トップスター、
天海祐希(あまみゆうき)
さんの演技を見て衝撃を受けたことがきっかけだった。中学時代は演劇部に所属し、地方を
巡(めぐ)
る小劇団の公演や映画館にも足を運んでいた。

 宝塚歌劇団を目指す人のためのスクールに通ってバレエなどを習いながら、学校の成績も落とさぬように勉強に励み、両親に宝塚音楽学校の受験を認めてもらった。青春のすべてをささげた宝塚では、初めは
宙(そら)
組、後に星組の男役スターとして活躍。「
猪突猛進(ちょとつもうしん)
の私を周りがサポートしてくれた」と振り返る。

 今回の舞台には、宝塚時代の仲間で元娘役スターの
音波(おとは)
みのりさんも登場する。「(音波さんは)一緒に組んで踊ったり恋人役をしたりした仲。楽しみです」と共演に心を
躍(おど)
らせる。
 退団後は舞台だけでなく、ドラマや声優にも活躍の道を広げた。「一つ一つ、今、この瞬間に向き合うことが大事だと気づいた」。10代から挑戦を重ねた人生。だからこそ、どんな場所でも輝ける今がある。 (文・武田裕芸 写真・若杉和希)プロフィル
 
ななみ・ひろき
 1月16日生まれ。茨城県出身。2003年に宝塚歌劇団に入団し、男役スターとして活躍。19年に退団し、歌手デビューした。舞台「
刀剣乱舞(とうけんらんぶ)
」などへの出演のほか、22年にはドラマにも主演。声優としても活動している。

Share.