東京都心の一等地に残された大規模都有地に、新たな国際交流拠点が誕生する。都が19日に選定した三井不動産を代表とするグループによる築地の再開発計画。約19ヘクタールの市場跡地を活用しスポーツやエンターテインメント、日本の食文化を世界に発信し、世界中から観光客や高度人材を呼び込む。東京都の国際競争力向上につながることが期待される。陸・海・空の交通機能を結ぶ交通拠点のイメージ図陸・海・空の交通機能を結ぶ交通拠点のイメージ図 少子高齢化の加速する日本は、経済面の影響力低下が著しい。1992年まではスイスのビジネススクールIMDの競争力ランキングで1位だったが、昨年は過去最低の35位。タイ(30位)やインドネシア(34位)にも後れを取る。このため、都は募集要項で、築地に「東京の新たな魅力の発信」や「国際的な交流拠点」機能の導入を求めていた。

 今回の再開発計画は、スポーツをはじめ、様々な大規模イベントを開催する約5万人収容のマルチスタジアムを通じた産業の活性化を柱の一つにしている。 日本のスポーツ産業の規模は約13兆円(日本政策投資銀行調査、2019年)、ライブ・エンターテインメント市場は約6300億円(ぴあ総研調査、同年)と、両産業ともに成長著しい。大規模イベントは経済効果も大きく、19年のラグビー・ワールドカップ日本大会は約6500億円、今年2月の米歌手テイラー・スウィフトさんの日本公演(4日間)は約340億円と推計され、築地再開発への期待は高い。 もう一つの柱が、市場時代から続く「食文化」を生かした街づくりだ。観光庁の訪日外国人消費動向調査(2023年10~12月期)によると、外国人観光客が訪日前に最も期待したことは「日本食を食べること」が35・2%で最多だった。計画では、インバウンドでにぎわう築地場外市場と連動したフードホールや、食に関する研究機能を持つフードラボなど、築地の食文化を継承する拠点を整備し、さらに集客を図る。 国際交流拠点にふさわしい「水都東京」の玄関口にするため、隅田川近くに陸・海・空の交通機能を結ぶ交通拠点も整備。都が新設する船着き場に接続する舟運施設、空飛ぶクルマの実用化を見据えた発着所に加え、東京駅と臨海部を結ぶ「臨海地下鉄」の新駅や、首都高晴海線の出口と接続する交通ターミナルを備える。 市川宏雄・明治大学名誉教授(都市政策)は「臨海地下鉄の整備が進んで、羽田空港につながれば、築地はさらに利便性が高まる。国際競争力を高める起爆剤となるには、夜の観光につなげるナイトタイムエコノミーや、国際会議など多様な人が集まるコンテンツ、楽しめる仕掛けをいかにつくるかが重要になってくる」と指摘する。

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