インタビューに応じるイトーヨーカ堂の山本社長(東京都千代田区で)
東京都内にあるイトーヨーカ堂の店舗(東京都江東区で) セブン&アイ・ホールディングスの祖業、イトーヨーカ堂。最近は業績不振にあえぎ、不採算店舗の閉鎖を始めとした構造改革を進めている。セブン&アイは、2027年以降の株式上場に向けた検討を始めた。改革の指揮を執るイトーヨーカ堂の山本哲也社長に話を聞いた。
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固定費にメス、聖域なく経費の見直し ――閉店を含む構造改革を進めている。 「首都圏で食を中心とした事業に経営資源を集中させる。勝てる店に投資していくのが改革の一番の目的だ。これまでは特に固定費にメスを入れ、聖域なく経費の見直しを進めてきた。すでに発表した33店舗の閉店は24年度に完了させる見通しだ。首都圏の店舗でも、収益性や建物の老朽化を踏まえて判断したい。 北海道や東北地方の店舗は地域経済に与える影響も大きい。お客様にとって買い物の場所をなくさず、従業員の雇用維持を検討する中で、他の企業に承継できた店もある。 これまで、事業内容や展開地域で選択と集中を図るのが中途半端だったという反省がある。集中的に投資して勝つべき事業への取り組みが劣後し、会社全体の業績を落としていた」 ――どんな分野に投資するのか。 「力を入れなければいけないのは、食品の中でも総菜の分野だ。店内調理での作りたてにこだわりすぎて、競合に比べて周回遅れになっていた。セントラルキッチンを使った総菜作りがスタートし、店の作業負担も軽減できる。 売り場の改装も進める。総菜一つをとっても売り方で売り上げは変わる。お客様のニーズに合わせたレイアウトにする。(買い物客が自分で決済する)セルフレジなど、生産性の向上にも投資をしていきたい。 3年間で総額約1000億円を投資する計画を立てており、24年度中に終わらせる。最終利益の赤字脱却は25年度を目指す」 ――早期退職者を募集し、本社も移転する。 「構造改革が背景にあって、人員整理を進めるためではない。閉店によって、生活拠点と働く場所が合わない従業員も出てくる。業務内容が変わる人もいる。辞令1枚で転勤してもらうことも不可能ではないが、従業員に選択肢を示すべきではないかと考えた。再就職は支援したい。
本部移転の一番の目的は、現場との距離感を
払拭(ふっしょく)
することにある。変革を成し遂げるには、本部と店が一体にならなければ、目標は達成できない。移転先に近い大森店(東京都大田区)は、旗艦店の一つだ。
もう一つは、コスト削減。金額ベースでは明らかにできないが、本部費をできるだけ抑えたい。本部費を始め、店ではなかなかコントロールできない固定費の削減は聖域なく行っている。 (移転でグループの関係が変化する可能性は)全くない。店舗とのコミュニケーションを取ることができていなかったのは経営の責任だ。いろいろな臆測が出てくるのはわかっているが、恐れていては何も変わらない」アパレル事業、アダストリアと連携 ――店舗戦略の考えを。 「消費者の価格への感度が高く、本気で取り組まなければならない。牛乳や納豆、野菜などは競合の販売価格を意識した価格設定にしていく。この考え方に基づいて、71品目の値下げを発表した。 安いという感覚を持ってもらいながら、いい商品も買えるという店を目指したい。これを両立できたスーパーはまだないのではないか。医薬品の販売も強化して、単価や購買点数を増やしていく戦略を取る。グループのブランドも活用する。
アダストリアと連携した衣料品「ファウンドグッド」の売り場(東京都江東区で) ヨーカ堂のアパレル事業は祖業でもあるが、やめる決断をした。売り場を空けておくわけにはいかず、検討した結果、アダストリアと連携することにした。我々の課題とする30~40歳代がターゲットで、多くのブランドがある。あらゆる購買データがあり、精度の高い商品開発が期待できる。 我々は販売するだけで、それ以外はほぼアダストリアのノウハウを頂く形でテストを始めた。認知までには時間がかかるが、本格展開に向けてどこかのタイミングで判断したい」 ――配達サービス「オニゴー」と協業する。ネットスーパーや宅配の戦略は。 「高齢化が進む中で、ニーズは間違いなくある。ネットスーパーは定期購買で使われる機会も多いが、すぐに届く即配のニーズはオニゴーでカバーできる。両方そろえることで使い分けられる」
◆山本哲也氏(やまもと・てつや)
1993年早大政経卒、出版社勤務を経て96年イトーヨーカ堂入社。執行役員経営企画室長、取締役常務執行役員を歴任し、2022年3月社長。人事畑が長く、新店開業や閉店にも数多く携わってきた。広島県出身。
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