ブランド力<1> ひときわ目を引く赤地に「辰年」の文字。よく見ると「辰」の字のすぐ下に真っ赤な口紅で描いた「口」の字が見える。

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今年1月1日付読売新聞朝刊のリップモンスターの全段広告今年1月1日付読売新聞朝刊のリップモンスターの全段広告 花王の若者向け化粧品KATE(ケイト)が今年1月1日付読売新聞朝刊に掲載した全段広告。大ヒット商品の口紅「リップモンスター」が辰年を「唇年」にしていく。しゃれっ気がある広告はSNSでも拡散し、話題を呼んだ。

 今や「落ちない口紅」の代名詞的存在となったブランドはコロナ禍の2021年春に誕生した。「欲望の塊」「ラスボス」といった独特の色のネーミングはSNSをざわつかせ、マスク生活が続いた女性のメイク欲を刺激した。「ブランドマーケティングの新たな手本となる成功事例を作った」。東洋学園大の八塩圭子教授(マーケティング論)はこう指摘する。 年間10万本売れたらヒットと言われるリップ市場で、シリーズ累計の出荷数は1900万本を突破。コロナ禍を逆手に取り、文字通り「怪物級リップ」になった。マスクに色移らず化粧品専門店に並ぶ落ちない口紅「リップモンスター」(3月、東京都渋谷区で)=安川純撮影化粧品専門店に並ぶ落ちない口紅「リップモンスター」(3月、東京都渋谷区で)=安川純撮影 落ちない口紅「リップモンスター」を目当てに、都内の大学生の女性(19)は、春休み中の3月、友人と原宿の化粧品専門店を訪れた。 新学期が始まる前に、口紅を新調したい。買うならマスクに色が付きにくく、ずっと気になっていた「リプモン」がいい。商品が並ぶ店頭では、スマートフォンを片手にインスタグラムの色評価を確認しながら、色定めを楽しんだ。 価格は百貨店に並ぶ口紅の半額程度の1500円ほど。SNSでは限定色が発売されるたび「どこで買える?」と販売店情報が飛び交う。「品薄だから余計に欲しくなる。きょうは無事に買えてうれしいです」。女性は笑顔を見せる。

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