(CNN) ウクライナは数カ月前から、ジェット推進式の次世代ドローン(無人機)を使ったロシアの攻撃で甚大な被害を受けてきた。同国は今、これに対抗できる迎撃機の開発を急いでいる。

ロシア軍は弾道ミサイルや新型の巡航ミサイルに加え、ジェット推進ドローンでウクライナの首都キーウやその周辺に大きな打撃を与えている。

双方が攻撃対象を大幅に拡大するなかで、ロシアのジェット推進ドローンは倉庫やガソリンスタンド、郵便施設や工場への攻撃にも使われてきた。

ロシアが「ゲラン4」「ゲラン5」と呼ぶジェット推進ドローンは、イランから調達したドローン「シャヘド」の改良版だ。高速で数が多く、従来型より迎撃が難しい。そのスピードはシャヘドの3倍に達する。

ウクライナのゼレンスキー大統領は8月30日、「ドローン攻撃は絶え間なく続く。その多くがジェット推進式のシャヘドだ」と語った。直近の4日間でウクライナに向けて発射されたドローンは、すべての型を合わせると1500機近く。その半分以上がジェット推進式だったという。

ジェット推進ドローンの大量投入は、この2カ月で加速した。ウクライナのベスクレストノフ大統領顧問によると、7月には約1500機、8月には2500機以上が使われた。

ベスクレストノフ氏は先週末、フェイスブックへの投稿で、ジェット推進ドローンが「工場からほぼ直接、ウクライナに向けて発射されている」と述べた。ウクライナ国防省の情報総局によると、ジェット推進ドローンには米国や英国、中国などの外国企業が製造した何百点もの部品が使われている。

その多くがキーウに撃ち込まれてきた。ロシアはキーウに対し、昼夜を問わず集中攻撃を仕掛けている。ウクライナ軍は29日、ロシアから日中に224機のドローンが発射され、その大半がジェット推進式だったと発表した。キーウには30日、午前0時から日没までの間に8回の空襲警報が発令された。

ウクライナ当局者らによると、ロシアは標的を食料の倉庫や店舗に広げ、エネルギー施設への攻撃も継続することで、ウクライナの防空システムを枯渇させ、市民の士気を下げようとしている。

ウクライナのコレツキー首相は先週末、「敵国のねらいはキーウや主要都市の経済活動をまひさせることだ。従ってわれわれは即応体制を変更する必要がある」と語った。

ロシアによる日中の攻撃が激化するなかで、子どもたちは新学期の準備を進めている。

キーウ市当局は31日、学校の授業が中断される可能性は高いと予告。警報が出た時に子どもたちがどう行動するか、どこに避難すればいいか、通学中に危険な状況に巻き込まれた場合はどうするかなど、「シンプルではあるが重要な問題」について各家庭で話し合うよう呼びかけた。

当局は「現状において、これは持ち物をそろえたり制服を用意したりするのと同様に、新学期へ向けた準備のひとつだ」と述べた。

技術革新の頭脳戦

ゼレンスキー氏も認める通り、今のところジェット推進ドローンに対する防護を担っているのは主に戦闘機だ。だがウクライナの小規模な空軍はすでに限界ぎりぎりに達しているうえ、ドローンに対して戦闘機を使うのはコストが高すぎる。

過去5年近くにわたるこの戦争は、双方が一足飛びの技術革新を競ってきたのが特徴だ。ここでまた、新たな競い合いが始まった。

ゼレンスキー氏が先週末に語ったところでは、今までにウクライナ企業4社が当該の迎撃ドローンを開発してきた。フマラ国防相によれば、4機種ともすでに実証実験が始まっている。フマラ氏は29日、「これらをできるだけ速く要求レベルまで引き上げ、生産の規模を数千台単位に拡大することが目標だ」と述べた。

ただし技術を考案することとそれを展開することは、まったく別の難題だ。大統領府のパリサ副長官は28日、「攻撃力は常に防御力の一歩先を行くものだ」と述べた。「われわれが適応しなければならないのは確かだが、それには時間がかかるだろう」

ウクライナ製の有望な迎撃ドローンのひとつに、「スティング」がある。スティングはここ数日でジェット推進ドローン2機を撃墜したと報じられている。

またウクライナ企業「Fドローンズ」も、新たに自社の迎撃機を改良。X(旧ツイッター)への投稿で「ロシアがジェット推進式のシャヘドを展開しているため、新型の『リタブル・プラス』を作った。改良版の迎撃機で、最大速度は時速400キロを超える」と発表した。

ジェット推進ドローンへの対処は、フェドロウ前国防相にとっても最重要事項だ。フェドロウ氏は先日から米国を訪れている。防衛技術企業や「新プロジェクトのパートナーとなり、ウクライナ強化の助けになり得る組織」との協力分野を探るためだ。

同氏はXに「現在戦場で切実に求められている技術をめぐり、新規事業を一から立ち上げる計画もある」と投稿。その例として、「前線の最も危険な戦域から兵員を引き揚げるため」のロボット工学や、低コストの人工知能(AI)誘導型ミサイルを挙げた。

ウクライナ東部ハルキウの住宅地域に落下したロシアの巡航ミサイル「バンデロール」の残骸/Viacheslav Madiievskyi/NurPhoto/AP
ウクライナ東部ハルキウの住宅地域に落下したロシアの巡航ミサイル「バンデロール」の残骸/Viacheslav Madiievskyi/NurPhoto/AP

狙われるウクライナの海上ルート

双方が技術面で相手より優位に立とうとする争いは果てしなく続く。ウクライナが中長距離攻撃ドローンの射程を伸ばすのに成功する一方で、ロシアは「バンデロール」という名の安価な巡航ミサイルを開発した。

全長5メートル、最大速度は時速620~650キロで、射程は最大500キロとされ、150キロの弾頭を搭載できる。

クリミア半島上空のヘリコプターから発射されれば、ウクライナ南部の大半が射程に入る。ここ何週間かのうちに数十発のバンデロールが南部の港湾都市オデーサに撃ち込まれ、ウクライナの穀物輸出が妨害された。

ウクライナのビソツキー農業政策食料相によると、同国が8月初め以降に輸出した穀物と油糧種子は140万トンと、輸出可能な量の約3分の1にとどまった。

ウクライナ海軍のプレテンチュク報道官は、バンデロールによる攻撃で黒海を経由する海上輸送ルートの運航が大幅に減速していると話す。業界の情報筋によれば、絶え間ない攻撃で穀物輸送の保険料も高騰しているという。

ロシア軍はバンデロールをドローンやヘリコプターのほか、地上システムからも発射する準備を進めている可能性もあると、アナリストらは指摘する。

フェドロウ氏は7月に国防相の任を解かれた後、現在は私人として活動中。ウクライナは「しだいに、ゆっくりと」敗戦に向かっていると危機感を示す。

同氏は米首都ワシントンに滞在中、英経済紙フィナンシャル・タイムズとのインタビューで、状況は月ごとに変化するものの、ロシアが最近空爆を激化させ、ミサイルや高度なドローンをかつてない勢いで多用しているのは深刻な問題だと述べた。

「現状では、われわれがこうした問題に対処しない限り、ロシアはわれわれをたたきつぶすだろう」と、同氏は警告している。

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