インド科学技術省(MoST)は6月5日、インド科学技術庁(DST)傘下のインド宇宙物理学研究所(IIA)の研究者らが、コダイカナル太陽観測所の1907年以降の100年分のアーカイブデータを用い、太陽の巨大な対流パターンが太陽活動にどう応答するかを調べたことを発表した。研究成果は学術誌The Astrophysical Journal Lettersに掲載された。

Fig: Ca II K spectroheliograms from Kodaikanal Solar Observatory. The image on the left is taken during the solar minimum year of 1913, and the one on the right is taken during the solar maximum year of 1917.
(出典:PIB)
太陽内部で生じたエネルギーは、外層を通じて対流で運ばれ、太陽表面に小規模な粒状斑や大規模な超粒状斑による網目状の構造を作る。この網目の一区画に当たるネットワークセルは平均寿命が24時間、大きさは約3万kmで、隣り合うセルの境界にある低温のレーン幅は約6000kmとされる。しかし、超粒状斑がどのように生じるのか、その大きさは何によって決まるのか、さらに11年の太陽周期とどう関係するのかは未解明だった。
IIAのKP・ラジュ(KP Raju)教授が率いる研究者らは、1907年以降のコダイカナル・アーカイブに含まれるCa II K線で撮影された太陽分光写真3万4000枚を解析し、異なる緯度におけるレーン幅、すなわちネットワークセル境界の幅と強度を黒点数と相互相関させた。その結果、両者は黒点数と強く相関し、±11~22度付近の緯度でピークに達することが分かった。ピーク相関は、レーン幅では北緯18±2度と南緯20±2度、強度では北緯13±2度と南緯14±2度で生じ、全ての量で太陽周期をたどる単一の緯度はないことを示した。
また、レーン幅の相関は太陽活動極大期にピークとなる一方、強度の相関は極大期の1.25~1.5年後にピークを迎え、太陽活動への応答に時間差があることが示された。時間差は緯度で異なり、±20度付近ではゼロ、高緯度側で小さく、赤道側で大きくなった。同教授は「超粒状斑のレーン幅や強度は、局所的な磁束と太陽活動レベルの影響を受けていることが示唆されます」と説明した。今回の成果は、太陽活動や紫外線を中心とする太陽放射照度変動の予測に向けた知見となる。高分解能能力を備えた大型太陽望遠鏡(NLST)も、超粒状斑のダイナミクスの解明に大きく貢献すると期待される。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部
