【6月23日 CNS】多くの視線がなお沿海部の産業移転や中部地域の台頭に向けられるなか、長く過小評価されてきた大きな変化が、中国西北部で静かに進んでいる。

その主役が新疆だ。5月9日、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)人民政府新聞弁公室は「第15次5か年計画の始動」をテーマに記者会見を開き、今後5年間、新疆が引き続き「五つの戦略的位置づけ」を軸に、新たな発展の機会を探っていく方針を示した。「第15次5か年計画」の初年度にあたり、中国で最も面積の広いこの自治区が打ち出したのは、辺境地域としての情緒ではなく、中国の戦略的な奥行きを塗り替えるような一連の施策だった。

対外貿易のデータは、その地域の性格をよく映し出す。多くの沿海省が貿易構造の転換に伴う痛みを経験するなか、新疆の対外貿易輸出入額は「第14次5か年計画」期間中に1000億元(約2兆3596億円)規模で4年連続の大幅増を実現した。2025年には5203億7000万元(約12兆2787億円)まで急増し、伸び率は全国トップとなった。その背景には、「五つの口岸(国境検問所・通関拠点)が八か国につながり、一つの道がユーラシアを結ぶ」という地理的な強みがある。ただ、新疆の目標は単なる通過地点にとどまらない。国の「第15次5か年計画」では、中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道や、カスピ海横断国際輸送回廊への積極的な参加が加速段階に入る。

ウルムチ、ホルゴス、アラ山口は、今後「スマート口岸」のモデルへと進化していく。新疆はさらに、「自治区内は1日、中国国内は2日、中央アジアは3日」で届ける高速物流圏という具体的な目標も描いている。

これは明確なメッセージだ。世界のサプライチェーンが安全保障を軸に再編されるなか、新疆は単なる通路型の拠点から、ユーラシア大陸のサプライチェーンを支える重要なハブへと転換しようとしている。従来、新疆の産業といえば、石油、石炭、風力、太陽光というイメージが強かった。しかし「第15次5か年計画」期の新疆は、新たな戦略を打ち出している。伝統産業の高度化、特色ある産業の育成、新興産業と未来産業の配置という三つの方向を同時に進める方針だ。

中でも最も可能性を感じさせるのが、新興産業と未来産業である。一つは人工知能だ。新疆の強みは、アルゴリズムそのものではない。AI時代に最も希少となる二つの切り札、すなわち極めて低コストのグリーン電力と、豊富な産業・越境応用シーンを持っている点にある。

次にバイオものづくりだ。新疆は独自の薬用植物資源と、豊富な化学原料の基盤を持つ。これを生かし、特色あるバイオものづくりの産業クラスターを形成し、現在のバイオ医薬分野の先端である合成生物学にも積極的に取り組もうとしている。

さらに、グリーン水素エネルギーがある。新疆の新エネルギー設備容量は1億7000万キロワットを突破し、全国首位となっている。これこそ新疆の本当の強みだ。外部に送り出しにくいグリーン電力を現地でグリーン水素に転換すれば、天山山脈の南北に広がる豊かな風力・太陽光資源を、将来の国家エネルギー体系に組み込むことができる。誇張ではなく、東部地域がエネルギー消費枠に頭を悩ませるなか、新疆は豊富なグリーン電力を使って、ゼロカーボン型の産業体系を築こうとしている。

新疆の価値が見直されている理由は、国家安全保障を支える重要な基盤になりつつある点にもある。まずエネルギーだ。2025年、新疆の一次エネルギー生産量は標準炭換算で5億1000万トンに達し、全国の約1割に迫った。「第14次5か年計画」期間中、全国のエネルギー生産量の増加分のうち、新疆は約4分の1を占め、全国のエネルギー生産を支える重要な成長軸となった。この規模の供給力があるからこそ、国家エネルギー資源戦略保障基地の建設にも説得力が増している。

次に食料だ。意外に思われるかもしれないが、新疆はすでに「食料が足りない辺境」ではなく、中国の食料供給を支える後方基地になっている。穀物の単位面積当たり収量は2年連続で全国1位となり、自給自足から全国供給へと役割を広げている。この「西部の穀倉」は、「第15次5か年計画」末までに穀物生産量を520億斤(約2600万トン)へ引き上げることを目指している。

エネルギー安全保障と食料安全保障という国家の二つの生命線に対し、新疆は地理的な裏付けを同時に提供している。「新疆」という地名には、かつて「新たに戻った故土」という意味が込められていた。しかし今日、その意味は再定義されつつある。新質生産力の「新」であり、新たな地域発展における「新星」でもある。

成長余地が限られてくる時代には、周縁こそが新たな中心になる。新疆の変化は、一地域の得失にとどまらない。今後10年の世界的な変動に中国が向き合ううえでの大きな支えが、そこに隠されている。中国の国土の6分の1を占めるこの地域が、いま本来の重みを放ち始めている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News

 

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